都道府県別に医療施設データをみると東日本と西日本のある違いがわかりました

都道府県における医療の格差は広がりつつあります。実際に地域別で医療がどのような推移をしているのかみていきましょう。皆さんの都道府県はどのような数値になっているのかも併せて確認してください。

 

  • 都道府県別にみる医療施設の推移

厚生労働省による平成30年現在の厚生統計をみると医療法人の数の推移がわかります。平成2年には14000件ほどでしたが、平成30年には53000件近くまで医療法人が増えています。そんな医療法人ですが、都道府県別にみるとどうなっているのでしょうか。実際に表をご覧ください。

<都道府県別医療法人数>

(平成30年厚生統計参照)

これをみると首都圏や大都市のある北海道・大阪府・福岡県・愛知県などに多くの医療法人が点在していることがわかります。これを人口10万対施設数の都道府県別でみてみましょう。

<都道府県別・人口10万対医療施設数>

(2017年厚生労働省・医療施設調査参照)

医療法人数とリンクする部分がありますよね?人口10万対病院数も大都市や首都圏に集中している傾向があります。全国の人口10万対平均施設数は6.6で、それを基準で考えると田舎の地域では5ポイント台となり、大都市や首都圏では9ポイント台以上あるところもあります。先ほどの縦長の表の上半分と下半分をみてください。

北海道から東北エリア・関東エリアとエリアごとに都道府県が紹介され、九州エリアとなっていますが、西日本と東日本でみると大きな違いがあります。人口10万対施設数の割合が東日本では1桁台が多いのにもかかわらず、西日本では2桁台が多いのです。人口10万に対して施設数が多いということは、患者さんの取り合いをしているといっても過言ではありません。東日本と西日本で面白いデータも見つかるものですね。

  • 都道府県別にみる医療の変化〜看取り編〜

終末期医療という言葉は一昔前まで「がん患者」の方だけの言葉でした。末期がんでがん性疼痛が強い場合や治療をしても回復が望めないような方のために痛みを緩和させる処置をメインに行います。終末期医療は「看取り」と関係することが多いです。看取りは患者さんの最期を看取ることをいいますが、近年では自宅や入居している施設で看取るケースも増えてきています。まずは、看取りがどれくらいの推移をするのかみていきましょう。

2015年現在で年間死亡者数は約125万人です。その後も、年間死亡者数は増加の一途を辿り2040年には170万人になると予測されています。死亡者の多くは病院で亡くなっています。日本は亡くなった方の約80%が病院というデータですが、諸外国のデータをみてみると少し日本と異なります。スウェーデンでは42%が病院で31%が高齢者向け施設・20%が自宅で亡くなっているのです。オランダでは35%が病院、32%が高齢者向け施設、31%が自宅で亡くなっています。そしてフランスでは58%が病院、10%が高齢者向け施設・25%が自宅で亡くなっています。オランダはこの中でも1:1:1に近く、患者さんが亡くなる場所を選べる社会になっていると予想できますね。

実際に、日本国内で死亡する場所の年次別死亡率をみてみると、1951年には自宅で亡くなることが多かったですが、段々と病院で亡くなる方が多くなります。1980年ごろにはその割合が1:1になり、2015年現在で病院が約80%という結果になっているのです。

▲看取りの地域差

看取りという言葉を「自宅での看取り」と定義づけて話を進めていきます。自宅で死亡する方の割合が最も多い地域は東京都です。その次に兵庫県・奈良県・千葉県と続きます。その一方、自宅で死亡する方の割合が最も少ない地域は大分県です。ついで北海道・佐賀県と続きます。

▲訪問診療の地域差

看取りと一緒に考えられるのが訪問診療です。訪問診療とは、患者さんの自宅や入居している施設へ出向き医師が診察を行うことをいいます。訪問診療は在宅療養支援診療所と訪問看護施設の2施設の協力が必要です。

人口あたりの都道府県別在宅療養支援診療所数(平成27年厚生労働省・医政局・地域医療計画課・在宅医療推進室発表)をみると訪問診療を実施している施設が多いのは長崎県です。次いで、大阪府・広島県の順で多くなります。その一方で、少ないのは富山県です。次いで新潟県・千葉県と少ない地域が続きます。この一覧も左右で見比べてください。グラフ中央から左側は東日本・右側は西日本とすると面白いデータがみえてきませんか?

そうです。東日本エリアの在宅療養支援診療所の数は全国平均よりも少ない地域が多く、西日本は多い地域が多いのです。都道府県別の施設数などと同じで東日本よりも西日本エリアの方が医療施設を開業し、訪問診療など幅広い診療をしていることが多いですね。

では、訪問看護事業所はどうでしょうか。これも同様に都道府県別でみた訪問看護事業所の違いです。全国平均6.8ポイントよりも少ない地域は東日本に多く、西日本では訪問看護事業所の数が多い傾向がみられますね。

  • なぜ東日本と西日本で医療施設などに差が生まれたのか

東日本と西日本では医療施設数に大きな違いがあることがわかりました。その結果として、近年ニーズの増えている在宅看取りにも実施数で差が生まれているのです。まずは、なぜ医療施設数が少ないのかみていきましょう。

▲医療従事者の数と比例する

厚生労働省が発表した2016年衛生行政報告例をみると「人口10万あたりの看護師・准看護師数は1位が高知県・2位が鹿児島県・3位が佐賀県・4位が宮崎県・5位が熊本県でした。その一方で、43位は茨城県・44位は東京都・45位は千葉県・46位は埼玉県・47位は神奈川県という結果でした。見事にワースト5には首都圏の5都県がランクインしました。東京都をはじめとする首都圏は「一極集中」という言葉が使われるほど多くの物や人が集まるとされていますが、医療だけは例外でした。看護師数だけでなく医師数も東日本と西日本では数の偏在がみられます。東日本の方が医師数が少なく、1人の医師が診察できる患者数も限りがあります。同じく厚生労働省の資料によると人口10万人あたりで医師数が最も多いのは徳島県、2位は京都府・3位は高知県でした。逆に最も少ないのは埼玉県・ついで茨城県とまたも首都圏の県がランクインしています。医師数が少なくなることで必然的に医療施設数も少なくなっているのです。

▲大学の偏在

では、なぜ医師数が東日本と西日本で偏在しているのでしょうか。それは医学部設立の歴史にまで遡る必要があります。突然ですが関東地方に医学部が何校あるか答えられる方はいますか?正解は25校です。一方、四国は何校あるでしょうか。答えは4校です。関東地方の方が医学部数は多いですが、人口あたりで考えると四国の方が人口あたりの医学部数が高くなります。また、医学部には地元で医師をする「地元枠」という特別枠があります。これにより僻地医療や地域医療の担い手を育成するのですが、その繋がりでその地域で開業するという医師も多いようです。

 

都道府県別に医療施設数をみると東日本と西日本で面白いデータが見つかりました。

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