加齢で変わる身体の機能!新型コロナウイルスで重症化する基礎疾患も紹介しています

若い頃とは違って〇〇ができなくなったという言葉を聞きます。

年齢を重ねるごとに身体的な変化が起き、できたことが出来なくなってしまうなんていう事態が起きるのです。今回はそんな身体の変化について紹介していこうとおもいます。

  • 高齢者になると避けられない変化「老い」

国内には65歳以上の高齢者と呼ばれる方が約3500万人います。これは総人口からみると約27%にもなり、日本の高齢化社会の深刻さを顕著に表しています。

歳を重ねることは自然なことで、悪いことではありませんが冒頭で書いたような「できないことが増える」と加齢は悪いことのように感じてしまいがちです。何ができなくなるのかを年齢を重ねてから知るのではなく、今から知っておけば対処のしようもありますよね。そこで、ここでは高齢者になると実際にどのような変化があるのか紹介していこうとおもいます。

▲細胞の変化

人間の身体は細胞によって構成されています。細胞は日々、細胞分裂をしながら増殖をしていますが、増える分減ってもいるのです。古くなった細胞は自然に死滅するようプログラミングをされており、これをアポトーシスと呼びます。

アポトーシスした細胞は細胞死がおき、新しい細胞のためのスペースとなるのです。細胞は一生涯で限られた回数しか細胞分裂できず、規定回数細胞分裂すると死滅します。この細胞分裂に関与しているのがテロメアという構造です。

テロメアは細胞の寿命に関係し、細胞分裂をするたびに短くなります。限界まで短くなると、細胞分裂終了のサインとなるのです。細胞分裂は常習的に体内で行われていますが、化学療法や日光・放射線などが起因となることもあり、その時は望まれない細胞分裂が起きるのです。体内でプログラミングされていない細胞分裂が起きるとがん化するリスクや細胞が突然死する確率が高くなります。

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▲臓器への影響

細胞は身体を構成しているため、臓器へも影響を与えます。臓器を構成する細胞が機能しなくなると、臓器の働きも低下するのです。具体的にどの臓器でどのような変化が起きるというのは後述で紹介しますが、加齢とともに体内の細胞数は減少するため臓器の働きも低下するのです。細胞分裂によって細胞死が起きたら、新しい細胞へと置換されるのが一般的ですが一部の臓器では細胞数が減少したままとなることがあります。その例が脳です。

▲記憶力の低下

高齢になると問題視されるのが記憶力です。記憶を司る脳の中には脳細胞がありますが、加齢とともに脳細胞数は減少するのです。一度減少した脳細胞数は戻ることなく、減少し続けるため記憶力や思考力が低下するのです。

ここで脳の話ついでに認知症やアルツハイマーについても話を深めていきましょう。認知症やアルツハイマーも記憶力へ影響を与える疾患ですが、これらは発症する要因があります。認知症は脳へ変性タンパク質が沈着することで発症します。アルツハイマー型認知症も記憶力が低下する疾患ですが、いまだ原因不明のことが多く発症の要因は多岐に渡ります。

これら病的な記憶力の低下と異なり、脳細胞数が減少することで起きる記憶力の低下は加齢によるものとされています。加齢とともに細胞数は減少します。それは脳細胞も同じです。20歳を頂点に年々、脳細胞数が減少し脳が萎縮することが明らかになっています。

ちょっとした物忘れや名前を思い出せないなど高齢者に多いうっかり忘れは加齢による物忘れに分類されます。日常生活に影響が出るほど記憶力が低下してしまうと認知症の疑いが強くなるため、あまりに物忘れが酷くならない限りは加齢変化として対処して大丈夫です。

▲骨や関節機能の低下

人体の中で最初に加齢変化の兆候が出るとされるのが骨や関節です。中でも女性の場合、骨の密度を表す「骨密度」が低下していきます。これは女性ホルモンと関係があります。女性は閉経すると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が少なくなります。

エストロゲンが減ることで骨密度の低下が進行し、骨折しやすくなります。他にも骨の強度に関係するカルシウムの摂取量が少なくなることで骨密度が低くなることも明らかになっています。骨密度が低くなって最初に影響を受けるのは太ももにある大腿骨です。大腿骨の骨密度が低下し、骨折を起こすと高齢者の場合、寝たきりの原因となることもあり危険です。

さらに関節にも加齢変化が起きます。関節には骨同士を円滑に動かすための関節円盤があります。この関節円盤はクッション材のような働きをしていますが、加齢とともに薄くなり関節痛を起こす原因となるのです。

▲眼の変化

加齢とともに眼の中にある水晶体が硬くなり近くのものが見えにくくなります。一般的には老眼と呼ばれ近くのものをみるときにぼやける原因となります。さらに眼の神経細胞が減ることで奥行きの認識が甘くなります。いわゆる空間認知機能です。

車の運転で高齢者の事故が増えるのは奥行きを認識できないことが影響しています。他にも眼で生成される涙液の量が減るため、眼の渇きを実感する様にもなります。この他にも高齢者になると水晶体の中が白く濁り、白内障という病気になることがあります。

▲耳の変化

長期的に大きな騒音を聞くことで難聴を発症します。加齢により起きる難聴では、高音が聞き取りにくくなり、これを老人性難聴と呼びます。老人性難聴になると話が聞き取りにくくなり、籠もって聞こえる様になります。特に母音より子音が聞こえなくなる傾向があり、老人と会話をするときは子音を意識して発音すると聞き取りやすくなります。

▲味や匂いの変化

加齢とともに味覚が変化します。味を感知する味蕾という部位が減少することで、味覚を感じにくくなります。味覚とともに嗅覚も低下します。鼻の中にある嗅神経が減少することで匂いが感じにくくなるのです。

▲口腔の変化

口腔内の変化で代表的なものといえば歯の喪失です。加齢とともに歯茎が退縮して、歯周病が進行し最終的に歯が抜けてしまうのです。

▲皮膚の変化

皮膚は薄くなり、弾性を失います。結果、コラーゲンの欠乏などが起き、しわや肌荒れが起きます。他にも日光に長年さらされることでシミが発生することもあります。

▲脳神経の変化

加齢とともに脳神経細胞の数が減少します。細胞数が減ると脳の萎縮が起きます。脳は20代をピークに年々萎縮していき、80代の頃にはおよそ80%程度までなると言われているのです。脳の萎縮とともに記憶力も低下。記憶力の低下は認知症を心配する人もいますが、加齢でも起きる立派な生理現象です。

  • 新型コロナウイルスにおける高齢者の立ち位置

新型コロナウイルス感染症を語る上で、高齢者の存在を無視することはできません。新型コロナウイルス感染症自体は毒性が低く、重症化する割合も低いです。しかし、それは全年齢層の合計で、高齢者だけに注目するとそうではありません。高齢者だけをみると重症化は8.5%・死亡する割合は5.7%という結果が出ています。全年齢でみると重症化率は1.6%、死亡率は1.0%です。およそ5倍リスクが高くなっていることが分かりますね。

新型コロナウイルス感染症は高齢者であればあるほど重症化や死亡率が高くなっていますが、基礎疾患を持っていれば年齢に関係なく重症化するリスクがあります。基礎疾患とは慢性閉塞性肺疾患(COPD)や慢性腎臓病・糖尿病・高血圧・心臓疾患・肥満などです。これらの疾患を抱えていなくても妊婦の方や喫煙者の方は未だ解明されていないことが多いため注意しましょう。

  • 高齢者だから〇〇ではない

加齢とともに老いることは避けて通れません。しかし、毎日ウォーキングをする・適度な運動をするなどで自分の体力を維持できます。健康面では加齢とともに血圧上昇・視力低下など問題は発生しますが、定期的に医療機関で経過観察しておくことでいざという変化に対応できるのです。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
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