遺伝する病気の種類ってどれくらい?遺伝疾患を解説します
●健康と病気
突然ですが、病気と健康の違いについて皆さんはどのくらい理解しているでしょうか?
世界保健機関(WHO)は健康について次のように定義付けしています。「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」
日本国内で特定疾患に指定されている疾患は331種類あります。この他にも数百種類もの疾患がこの世には存在しているのです。これらに罹患している人全てが不健康かと言われればそうではありません。中には病気と上手に付き合いながら健康を維持している人だっているのです。
▲病気の種類
病気には大まかに種類があります。簡単に分類とどのような病気があるのか紹介していきます。
■感染症
感染症とはウイルスや細菌が体内へ入ることで症状が出る疾患のことをいいます。人から人へ感染するだけでなく昆虫から人や牛から人など、人以外からの感染も感染症として分類されます。
「感染すれば全て感染症」という定義で話を進めると、疾患数は多岐に渡ります。風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症も感染症です。これらは、飛沫感染と呼ばれる感染経路で、感染経路には他にも接触感染や空気感染があります。新型コロナウイルス感染症の報道で話題となったエアロゾル感染は、空気感染の一種です。
これら3つの感染経路を含めれば、A型肝炎・B型肝炎やAIDS、ノロウイルス なども感染症に分類されるのです。また、牛から人へ感染する恐れがあるものとして、BSEがあります。
■生活習慣病
生活習慣病とは、日常生活が原因となる疾患のことです。代表的なものに糖尿病・高血圧・脂質異常症・肝臓がん・肺がんなどがあります。日常生活をもう少し具体的にすると、適度な運動やストレスの有無・飲酒や喫煙歴の有無となります。
■遺伝疾患
遺伝疾患とは、遺伝子が原因となり発症する病気のことです。代表的なものにダウン症候群やターナー症候群・フェニルケトン尿症などがあります。これらは発育の段階で何かしらが原因となり、体を作る染色体に異常が起きるまたは、遺伝子に異常が起きると発病します。
- 遺伝疾患とは?
ここからは遺伝疾患について詳しく話を進めていきます。
遺伝疾患と呼ばれる病気には大きく分けて2つの原因があります。一つ目は環境要因、二つ目は遺伝要因です。
環境要因とは、母体や母親の卵子や父親の精子に異常があるのではなく、妊娠中にウイルス感染を起こしてしまったなどというケースです。例えば、風疹ウイルスが妊娠中、母体へ感染すると胎児には先天性風疹症という病気が発症しやすくなります。これは、難聴や心疾患・白内障・緑内障・精神発達遅延などの障害を子供が持つことを意味しています。また、妊娠中の放射線治療や国内未承認薬の服用・喫煙や多量の飲酒なども胎児へ影響があるといわれています。
一方、遺伝要因とは元々病気を発症する遺伝子を保有していた両親から遺伝する要因のことです。代表的なものに成人T細胞白血病リンパ腫という病気があります。白血病の一種なのですが、発症要因に遺伝子が関係しているのです。成人T細胞白血病リンパ腫は、授乳期に母乳から母子間でHTLV-1ウイルスというウイルスが感染することで発症します。HTLV-1ウイルスは潜伏期間30年〜50年ともいわれており、長い間潜伏した後に発症することが多いのです。2021年には元広島カープの北別府氏が成人T細胞白血病リンパ腫を発症し、治療を受けていたことがニュースとなりました。
- 遺伝疾患には何がある?
▲単遺伝子疾患
単遺伝子疾患とは、体内にある数万種類の遺伝子の中で、ある1つの遺伝子に異常が起きることで発症する疾患です。遺伝子の組み合わせにより、常染色体優性遺伝病・常染色体性遺伝病・X連鎖遺伝病に分けられます。常染色体優性遺伝病にはフォンレックリングハウゼン病があります。常染色体劣性遺伝病には600種類もの病気があるといわれています。X連鎖遺伝病にはビタミンD抵抗性くる病や血友病などがあります。
▲染色体異常疾患
染色体異常疾患とは、体を構成する染色体の数や構造異常が原因で発症する疾患のことを指します。一般的に染色体は46本23対で構成されています。どの染色体も欠けてはいけないのですが、中には原因不明で染色体に異常が出ることがあります。
■ダウン症候群
ダウン症候群は染色体で対になっているペアの21番目の染色体が3本になっているときに発症する疾患です。ダウン症候群を発見したイギリスの医師・ダウン氏にちなんでこの名前になっています。従来、ダウン症候群で生まれた子供は病気になりやすく、長生きはしないといわれてきましたが医療の発達により長生きしながら自分の趣味も謳歌している人がいます。身体的なハンディキャップだけでなく、発達がゆっくりすすむことも影響し、同級生と同じような学校生活を送るというよりか、支援学級で勉強をするケースも多く見受けられます。
■13番トリソミー
13番トリソミーとは、13番目の染色体が3本になっているときに発症する疾患です。重度の知的障害が起きるだけでなく、耳介の形成不全なども起きます。
■18番トリソミー
18番トリソミーとは、18番目の染色体が3本になっているときに発症する疾患です。ダウン症や13番トリソミーと大きく違う点は、寿命が極端に短いということです。特異的な治療法はなく、生まれて1週間以内に半数以上の子供が亡くなってしまいます。
▲先天性風疹症
先天性風疹症は妊娠時期により発症リスクが変わってきます。発症リスクは妊娠4週〜6週で100%、妊娠7〜12週で80%、妊娠13〜16週で50%、妊娠17〜20週で6%、妊娠20週以降は0%というデータがあります。
- 遺伝疾患を知ろう
遺伝疾患と聞くと、「今発症していなければほとんど問題なし」や「親はがんじゃないから問題ない」と思う人がいますがそれは間違いです。遺伝疾患はあくまで「要因」であり、発症している・していないに関わらず可能性があるということを理解していなければいけないのです。つまり、親が高血圧だったら自分も高血圧になりうると理解していなければいけません。
最近では、遺伝子検査が民間で行われるようになりました。自分の遺伝子を検査することで最大300項目近くの「病気なりやすさ」がわかるのです。病気だけでなく、体質や性格など自分のルーツになることも調べられます。
他にも遺伝疾患について見聞を広めておくことは重要です。
それは自分を責めないようにすることにもつながります。例えば、自分の家族や身内に遺伝子疾患を抱えた子供が生まれたとします。染色体異常があり、長く生きられない・または障害とともに生きなければいけないという状況になったら、元気に産めなかったと自分を責める人が一定数いるのではないでしょうか。
また、心ない人からそれに近い言葉を浴びせられる人も0ではありません。そんなとき遺伝疾患について正しい知識があればどうでしょうか。誰も悪くないことが証明でき、一人で抱え込んでいる人を救えます。
- 遺伝疾患を抱えている人こそ定期的に医療を受けよう
遺伝疾患は生活に影響を与えるものもあれば、全く影響を与えないものもあります。しかし、遺伝疾患の可能性がある人は定期的に医療機関を受診してメンテナンスしましょう。健康と病気は表裏一体です。今は問題なく過ごせていてもいつ病気を発症するかわかりません。当院では一緒に皆さんの健康管理をしていきたいと考えております。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
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