介護保険の認定調査とは?正しい判定には事前準備が大切
認定調査は、介護認定を受ける上でとても重要です。認定調査を正しく実施できないと、介護認定に影響が出る可能性があります。「認定調査ではどんなことを聞かれるの?」「当日どんな準備をしておけばいい?」など不安になる方もいるのではないでしょうか。
今回は認定調査の内容や事前に準備しておくことなどを解説します。介護認定に向けて、今から準備をしておきましょう。
Contents
要介護認定とは
介護サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。身体状況や認知面に応じて、要支援1〜2・要介護1〜5の認定結果が出ます。介護量が増えると、介護度も高くなる傾向があります。介護度によって、利用できるサービスや回数が異なります。
要介護認定までの流れ
要介護認定を受けるまでの流れについて解説します。
①お住まいの自治体へ申請
まずはお住まいの自治体の窓口で申請しましょう。申請書は窓口やインターネットに掲載されていることもあります。自治体によっては郵送で申請を受け付けていることがあるため、本人が申請に行けない場合、家族が申請書を記載して郵送することも可能です。
本人・家族が申請できない場合、地域包括支援センターへ相談してみましょう。入院中であれば、病院のソーシャルワーカーが申請してくれることがあります。申請自体、手数料はかかりません。
②認定調査
申請を受けると、自治体の職員や委託を受けた関係機関が、本人の状況確認のために認定調査を行います。自治体や時期にもよりますが、申請してから大体1〜2週間後ぐらいに行われます。認定調査は本人以外も同席することができます。
認定調査については、後ほど詳しく紹介します。
③一次判定
認定調査の結果をコンピューターに入力すると、一次判定の結果が出ます。
④主治医意見書
自治体からの依頼で、かかりつけの主治医が意見書を記載します。主治医がいない場合は、自治体で指定を受けた医師が記載することができます。
⑤二次判定・審査会
一次判定・認定調査の特記事項・主治医意見書の結果を元に、審査会が開かれ、認定結果が決まります。
⑥認定結果通知
審査会の数日後に、自宅へ認定結果が郵送され、介護保険証が届きます。申請してから結果が出るまで30日程ですが、状況によっては1〜2カ月以上かかる場合があります。
要介護の認定基準
要介護度の認定基準は国で定められており、介護にかける時間に応じて認定することになっています。
介護の分類
介護の分類 | 介護内容 |
直接生活介助 | 入浴、排泄、食事等の介護 |
間接生活介助 | 洗濯、掃除等の家事援助等 |
問題行動関連行為 | 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等 |
機能訓練関連行為 | 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練 |
医療関連行為 | 輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助 |
要介護認定等基準時間の分類
要介護度 | 基準時間 |
要支援 | ・上記5分野の要介護認定等基準時間が25分以上32分未満 ・またはこれに相当する状態 |
要介護1 | ・上記5分野の要介護認定等基準時間が32分以上50分未満 ・またはこれに相当する状態 |
要介護2 | ・上記5分野の要介護認定等基準時間が50分以上70分未満 ・またはこれに相当する状態 |
要介護3 | ・上記5分野の要介護認定等基準時間が70分以上90分未満 ・またはこれに相当にする状態 |
要介護4 | ・上記5分野の要介護認定等基準時間が90分以上110分未満 ・またはこれに相当する状態 |
要介護5 | ・上記5分野の要介護認定等基準時間が110分以上 ・またはこれに相当する状態 |
認定調査とは
自治体の職員や、自治体から委託されたケアマネジャーなどが本人の元を訪問し、78項目ある調査を行います。調査は【基本項目】・【概況調査】・【特記事項】の3つに分かれています。
①基本項目
基本項目は「身体機能・起居動作」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会生活への適応」の5つに分かれている。
身体機能・起居動作 | 麻痺の有無、関節の動きの制限、寝返り、起き上がり、座っていられるか、立つことができるか、視力聴力の確認 |
生活機能 | 移乗や移動方法・食事摂取の状況について・排泄ができるか・歯磨き、洗顔、整髪・衣類の着脱・外出の頻度 |
認知機能 | 意思の伝達、生年月日、年齢、名前を言えるか、今日の日付や季節などの確認、場所の理解、徘徊の有無 |
精神・行動障害 | ひどい物忘れ・情緒不安定・被害妄想や作り話をする・昼夜逆転・同じ話ばかりする・突然大声を出す・物を破壊する |
社会生活への適応 | 薬の服薬・金銭管理・集団行動の可否・買い物・簡単な調理 |
※その他に過去14日以内に受けた医療行為(点滴・経管栄養・透析など)
②概況調査
利用しているサービス状況や、周辺環境(自宅の状況・家族の状況・疾患など)を確認されます。
③特記事項
基本調査項目の中で、介護の手間を適正に評価するために、具体的な内容を記載する。
調査の内容はどの自治体でも共通です。まずは日頃の本人の様子を正確に伝えることが大切です。
では、当日の認定調査でどのような準備をしておけば良いのでしょうか。
正しく認定してもらうためのコツは?
認定調査は介護認定でも重要なものになりますが、正しく認定してもらうためのコツや、当日準備しておくべきことはあるのでしょうか。
①調査内容を理解する
上記で解説している、調査内容をしっかり理解しておきましょう。何を聞かれるかを事前に理解していれば、当日慌てることもなくなります。自分なりに答えをまとめておくのも良いでしょう。
②家族が立ち会うようにする
できるだけ状況がわかっている家族が立ち会うようにしましょう。
よくありがちなのが、本人だけで認定調査を行い、本当はできないことをできると伝えてしまうパターンです。人によっては強がって見栄を張ってしまうことがあります。
間違ったことを伝えてしまうと、適切な結果が出ません。また認知症がある方だと、うまく質問に答えられない可能性があります。
誰も立ち会えない場合、担当のケアマネジャーが立ち会えないか相談してみるのも一つです。
③普段の状況を伝えられるようにする
普段どんな介護をしているのか、どんなことに困っているのかをまとめておくと良いでしょう。認定調査で急に聞かれると、うまく伝えられなかったり、伝えたかったことを忘れてしまうことがあります。
生活の中で、本人ができないことを伝えられるように、細かくメモに書いておくことをおすすめします。
④入院中に申請する
怪我や病気での入院をきっかけに、身体機能が落ちてしまうことがあります。そのため、入院中に介護保険を申請するのも一つです。
相談すれば、病院のソーシャルワーカーが代わりに申請してくれる場合があります。また入院期間によっては、病院で認定調査を実施できることもあるため、本人の状況を看護師が正確に伝えてくれます。
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