寝たきりの方の介護はどうしたらいい?介護のポイントや対策について紹介

寝たきりになっても、住み慣れた自宅で過ごしてほしいと思う一方、介護者の負担は大きくなることがあります。
寝たきりになっても自宅で過ごすためには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。今回は寝たきりの方の介護ポイントや、介護疲れを軽減するための対策などを紹介します。
家族の介護に悩んでいる方や、今後の介護について心配がある方は、ぜひ参考にしてください。

寝たきりの症状とは?

寝たきり

体を動かせなくなると、どんどん体力が落ちて、寝たきりになってしまいます。寝たきりが続くと、1週間程度で10〜15%の筋力低下を引き起こすと言われています。そのような状況で、引き起こされるさまざまな症状を「廃用症候群」と呼びます。
廃用症候群では、以下のような症状を引き起こします。

・運動機能障害:筋肉が衰える、関節が動かしづらくなる。
・循環・呼吸器障害:心臓のポンプ機能が低下し、血栓などのリスクが高まる。嚥下機能が落ちて、誤嚥のリスクが高くなる。
・自律神経・精神障害:うつ症状が見られる、ぼーっとすることや寝ていることが多くなる、場所や日時がわからなくなる。

寝たきりになるきっかけとしては、体調を崩してしばらく動けなかったり、怪我や病気で入院したことが原因になることがあります。
嚥下機能も衰えると食事が進まなくなり、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。
寝たきりになると、要介護4〜5の認定になることがほとんどです。介護度が高くなるにつれ、介護者の負担も大きくなるため、介護に対しての対策が必要となります。

寝たきり介護のポイント

介護

寝たきりでも自宅での生活は可能ですが、介護者の負担が大きくなるため、ポイントを押さえておく必要があります。

①食事介助に気を付ける

寝たきりになると嚥下機能が低下し、水や食事がうまく飲み込めなくなってしまいます。先程もお伝えした通り、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があり、命に関わることもあります。
まずは食事の姿勢が大切です。椅子や車椅子に座れるようであれば、足の裏をしっかり床につけて、椅子に深く腰掛けましょう。そしてテーブルの高さを調整し、少し俯いた姿勢を取れるようにするのがベストです。
寝たきりになると、ベッド上での食事になることがあります。ベッド上で食事をする際は、リクライニングの角度を45~80度にし、頭の下に枕を挟んで、頭部は顎を引いた姿勢になるようにすると飲み込みやすくなります。
頻繁にむせてしまうようであれば、食事の形態を変えることも検討しましょう。白米はお粥にしたり、おかずは細かく刻むといいです。準備するのが大変な方は市販の物でも代用可能です。ドラックストアなどでレトルトのおかずや、とろみ材も販売されているので、簡単に用意できます。

②床ずれに気を付ける

寝たきりになると床ずれになりやすいです。床ずれとは、身体の一部が長期間に渡って圧迫を受けることで循環障害が起きてしまい、皮膚の一部が壊死してしまう症状を指します。
床ずれの部分から菌が入り、菌血症などの重症な病気を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
対策としては、定期的な体位交換、体に合わせた寝具を用意、下着やパジャマが皮膚に食い込まないようにしましょう。
介護保険で、床ずれ防止のマットレスや自動体交できる電動ベッドもレンタルできるため、介護負担の軽減ができます。

③排泄ケア

排泄は介護者の負担が大きいだけでなく、介護される側も「恥ずかしい」「申し訳ない」と感じてしまうことが多く、身体的・精神的にもデリケートなケアと言えます。
廃用が進んでくると、トイレに通うのが難しくなってくるため、ベッドの横にポータブルトイレを置くことで、楽に排泄できます。ただ誰かが排泄物を定期的に片付ける必要があったり、本人の羞恥心もあり使いたがらないという場合が多いです。寝たきりが続くと、おむつへの排泄も必要になります。
排泄ケアは本人のお気持ちと介護者の負担が大きくなるため、相談して決めることが望ましいです。

④清潔に気を付ける

小さな傷から菌が入ると、体調を崩してしまったり、最悪の場合命に関わる病気を引き起こす可能性があるため、清潔を保つことは大切です。
寝たきりになると、浴室での入浴は難しくなるため、清拭がおすすめです。タオルをお湯で濡らして拭くだけでも体は清潔になり、リラックス効果も得られます。
また介護保険のサービスで、訪問入浴があります。スタッフが折りたたみ式の浴槽を持ってきて、寝たまま入浴できるサービスです。

寝たきりの方の介護は、家族だけでは負担が大きいため、介護保険のサービスなどをうまく活用していくのがおすすめです。

介護負担を軽減するためには?

介護

介護は徐々に負担が大きくなることが考えられるため、一人で抱え込まないことが大切です。では一体どのような対策があるのでしょうか。

居宅サービスを利用する

介護保険で要介護認定を受ければ、自宅でサービスを利用できます。以下が自宅で利用できるサービスです。

・訪問介護(ヘルパー)
 ヘルパーが自宅へ訪問し、食事・排泄・入浴などの身の回りの介助を行ってくれる。

・訪問入浴介護
 スタッフが1〜2人訪問し、組み立て式の浴槽を自宅に運んでくれ、入浴介護をしてくれる。寝たきりでも浴槽に入ることができる。

・訪問看護
 看護師が定期的に訪問し、健康管理や医療行為などを行ってくれる。

・訪問リハビリ
 作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が定期的に訪問し、リハビリや自宅内の動作指導をしてくれる。

・福祉用具貸与
 電動ベッド、車椅子などの福祉用具を貸与できる。介護を楽にしてくれる福祉用具がたくさんある。

・ショートステイ
 宿泊ができるサービス。介護者が自宅にいれない時や介護疲れがある時などに、利用することができる。

他にもさまざまなサービスがあり、通所サービス(通所介護・通所リハビリ)で、日中施設で過ごせるため、介護者の負担を減らすことができます。
まずはケアマネジャーへ相談し、どんなサービスが利用できるか相談してみることをおすすめします。

他の家族の手も借りる

一人で抱え込まず、他の親族からの援助も借りられるか、相談してみることも必要です。
介護は同居している家族だけが介護すればいいというわけではありません。別居している家族も介護に関われるか相談してみましょう。
誰かに相談することで、気持ちも楽になるかもしれません。

施設への入居も検討

施設

寝たきりが続く場合、介護者への負担はとても大きくなるため、施設を検討するのも一つです。
「施設に入るのは可哀想」と思われる人も多いかもしれませんが、介護のために退職して生活が苦しくなってしまったり、介護疲れで共倒れしてしまっては意味がありません。本人・家族が健康的に生活するためにも、施設へ入所することも選択肢に入れましょう。寝たきりの方だと、介護老人保険施設や特別養護老人ホーム、介護医療院や介護付き有料老人ホームなどを検討できるでしょう。
施設では面会や外出ができるところもあるため、家族と過ごす時間も作れます。介護疲れを感じている方は、自宅にこだわらず、生活の場所を検討してみても良いかもしれません。

「寝たきりの方の介護に疲労を感じている」「介護サービスを利用したいがどうしたら良いかわからない」などのご不安がある方は、ぜひメドアグリケアへご相談ください。
メドアグリケアサービスでは、介護や医療の専門職が自宅での生活をサポートしています。
自宅での生活に心配がある方など、何か困っていることがある方はぜひ一度お問い合わせください。