【1人で悩まないで】家族が認知症になったときに頼れる窓口はここ!

ある日突然、家族が認知症を発症し、途方に暮れている人は多いでしょう。認知症は、介護や税金の問題に加えて、介護者の精神的な負担も大きくなることから、悩みを一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。

本記事では、家族や親族が認知症を発症してしまったとき、頼りになる相談窓口について詳しく解説しています。自身やご家族の負担を軽減するためにも、ぜひ参考にしてください。

家族が認知症になったらどこに相談すべき?

認知症高齢者が迷っている

家族が認知症になったときは、下記の相談窓口を利用するのが良いでしょう。

  • 地域包括支援センター
  • 自治体の福祉課
  • かかりつけ医
  • その他の相談窓口

地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、地域の高齢者や認知症の方、その家族が抱えるあらゆる相談に応じ、必要な援助を行うための専門施設です。全国の市区町村に約5,000ヶ所以上設置されています。

当施設には、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員など、介護や医療の専門知識を持った職員が在籍しており、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすためのサポートをしています。

また、認知症疾患医療センターなどと連携しながら、認知症介護の適切なサービスや制度の利用につなげるためのさまざまな支援も行っています。

「どこに相談すれば良いか」について悩んでいる場合でも、最適なサービスや機関に連携し、多角的なサポートをおこなってくれるため、迷ったらまずは相談してみるのがおすすめです。

自治体の福祉課

自治体の福祉課でも、認知症の相談が可能で、特に介護保険や各種サービスの申請・相談をすることができます。

具体的には、試験を受ける方の介護度を「要介護1〜5」「要支援1〜2」の7段階で評価し、これらの度合いに合わせて「家事援助」「通所介護」「福祉用具の利用」などの支援申請を行います。

また、認知症に関するあらゆる相談ができる「認知症相談会」や、介護をしている人同士が気軽に交流できる「介護者の集い」などを自治体が主催していることもあります。こうした機会を利用して認知症の相談をしてみるのも良いでしょう。

かかりつけ医

家族の認知症が疑われた場合は、患者のかかりつけ医に相談するのも有効な方法です。

認知症は初期の対応がその後の病状の進行にも大きく影響してくるため、まずは医師による正しい診断を受けましょう。

もし、かかりつけ医がいない場合や、かかりつけ医では対応が困難だった場合は、近所の認知症診断が可能な医療機関に相談してください。脳神経外科や心療内科に行くのも有効ですが、近年では認知症の専門的な診断が可能な「もの忘れ外来」を併設した医療機関や「認知症疾患医療センター」の設置が増えているので、こちらに相談するのも良いでしょう。

その他の相談窓口

上記3つの相談窓口以外にも、認知症の相談を受け付けている窓口は多数あります。

例えば、公益社団法人「認知症の人と家族の会」では、認知症に関する相談受付をはじめ、認知症に詳しい専門家によるセミナーを開催しています。全国47都道府県に支部を構えているので、何かあれば最寄りの支部へ連絡し、相談してみるのも良いでしょう。

また最近では、NPO団体や地域の医療法人、社会福祉法人などが運営する「認知症カフェ」も増えています。形態はさまざまですが、昼食やお茶を楽しみながら、認知症の高齢者とその家族同士が気軽に交流したり、体を動かすエクササイズ教室や、手芸や料理などのカルチャー教室などを開催したりしています。

こうした情報は、自治体の福祉課や地域包括支援センター、各支援団体のホームページから確認できるので、チェックしてみてください。

認知症介護の負担を軽くするにはどうすれば良い?

介護士が認知症のケアをしている

認知症は、さまざまな原因によって脳の働きが悪くなり、日常生活にさまざまな影響をきたす病気です。もの忘れや記憶障害などに加え、病状が進行すると暴言や暴力、徘徊、排泄障害などの症状も見られるようになります。そのため、患者本人だけでなく、家族など介護者の負担も大きく、疲弊してしまうことも多いのが現状です。

では、少しでも認知症介護の負担を減らすためには、どのようなことができるのでしょうか?

次の3つについて解説していきます。

  • 頑張りすぎない
  • 誰かに相談をする
  • 介護制度やサービスを頼る

頑張りすぎない

認知症介護の負担を少しでも軽減するためには、何より「頑張りすぎない」ことが大切です。

認知症介護は、特に介護者の身体的・精神的負担の大きい介護です。ですが、認知症介護を「家族の問題」と考え、誰にも相談せず、自分ひとりで抱え込んでしまうケースは少なくありません。

しかし、それでは介護者の「介護うつ」を引き起こし、要介護者(認知症介護を受ける家族)と共倒れになってしまう危険があります。

ですので、認知症介護の問題を自分や家族だけで解決しようとするのはやめましょう。そして、長期的に介護を続けていくためには、何よりも「頑張りすぎない」ことを意識するようにしてください。

誰かに相談する

「認知症介護は頑張りすぎない」ことを理解したうえで、介護で感じた悩みは一人で抱え込まず、定期的に誰かに相談するのも大切です。

どんなに親しい家族であっても、共に長い時間を一緒に過ごしていたらストレスや疲労を感じるものです。特に、認知症介護は患者の突飛な行動によって、要介護者の日常生活が思うようにできなくなることも多いです。そのため、日々のちょっとしたストレスから「介護うつ」の原因になることも少なくありません。

ですので、「日々の介護が辛い」や、「相談とまでは言わないけど、愚痴だけでも聞いてほしい…」など、少しでも介護に行き詰まりを感じたら、 必ず誰かに相談するようにしてください。

もし、身近に介護の相談ができる家族・友人などがいない場合は、上記でも紹介した介護の相談窓口を利用すると良いでしょう。

<認知症の相談ができる相談窓口>

  • 地域包括支援センター
  • 自治体の福祉課
  • かかりつけ医
  • 認知症相談のフリーダイヤル
  • NPO団体などが主催する「認知症カフェ」や「認知症患者とその家族のつどい」など

介護制度やサービスを頼る

デイサービスの車で認知症利用者の家まで迎えに行っている

認知症介護をしている人の中には、「大事な家族の介護だから、できるだけ自分の力でやらなきゃ…」と介護制度やサービスに頼ることを躊躇する人がいますが、認知症介護をすべて自分だけで全うするのはかなり大変です。

ですので、認知症介護をする際は、介護保険やそれに伴う介護制度・サービスを積極的に利用しましょう。

介護者の負担軽減につながる主な介護サービスは次の通りです。

  • 訪問介護:ホームヘルパーが訪問して、排泄・入浴・食事介助などの身体介護や生活支援を行う。
  • 訪問入浴介護:専用の浴槽を自宅に持ち込んで、介護スタッフが入浴介助を行う。
  • デイサービス:要介護者の自立支援及び介護者の負担軽減のために、要介護者が介護施設などに通い、食事や入浴などの生活支援やレクリエーションを受ける日帰りサービス。
  • ショートステイ:要介護者が介護施設に宿泊できるサービス。ショートステイは、介護者の休息(レスパイト)としての機能も果たす。

上記以外にも、保険適用外にはなりますが、ホームヘルパーによる生活援助や民間事業者による配食サービスなども利用できるため、詳しくは地域包括支援センターや自治体の福祉課などに相談してください。

まとめ

認知症について家族での話し合い

今回は、家族が認知症になったときに相談できる窓口と、認知症介護の負担を軽減するためのポイントについて解説しました。

認知症介護は、要介護者だけでなく、介護をする家族の負担がとても大きくなることが多い介護です。

そして、その負担を一人で抱え込んでしまうと、自分自身を追い詰め、介護うつや高齢者虐待にも発展する可能性があります。

こうした事態を防ぐためにも、地域にある相談窓口は大いに活用し、悩みを一人で抱え込まないようにしてください。そして、利用できる介護サービスはすべて使い切るつもりで利用し、少しでも介護生活の負担を少なくして、介護者・要介護者が共に気持ちよく生活できるようにしていきましょう。