認知症の症状により寂しがる原因とは?孤独感を軽減するための方法も解説

「認知症が進行すると、寂しがる方が多くなるのはなぜ?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。特にご家族や親戚に認知症の方がいる場合、どのような対応をするのが良いのか悩む方も多いはずです。 

認知症の方が寂しがってしまうのには、さまざまな原因が考えられます。そのため、周囲が原因を理解しておくことで、認知症による孤独感を軽減させることも可能です。

この記事では、認知症の症状により寂しがる原因について解説します。また、孤独感を軽減するための方法についてもご紹介しますので、ぜひ記事を参考にしてください。

認知症になると寂しくなってしまう原因

認知症になると寂しくなってしまう原因

認知症により寂しがってしまうのには、以下3つの原因が考えられます。

  • 認知症の進行により不安を感じるため
  • 物忘れが増えるため
  • 人と関わる時間が減るため

それぞれの原因について解説します。

認知症の進行により不安を感じるため 

認知症になると寂しくなってしまうのは、病状の進行による不安が原因です。病状が進行してくると、今まで自分で出来ていたことができなくなります。人間は誰しも自身の身体的な衰えや心身の機能の低下には少なからず恐怖心を覚えることがあるたるかと思います。その不安が寂しがる症状として現れます。

特に高齢者の方は、加齢による身体的な衰えを感じているため、「役に立たない」と思われているのではないかと悲観的な気持ちになりやすいです。そのため、認知症が進行した高齢者に寂しがる様子がみられた場合には、上記のような背景を理解して接する必要があります。

物忘れが増えるため 

高齢者が寂しく感じてしまう原因として、認知症による物忘れの多さも考えられます。物忘れの症状が強くなると、以前体験したことも全て忘れてしまうため、記憶に残すことができません。

その結果、本人は毎日同じことをしていても、初めて体験するような不安を感じてしまいます。また、物忘れによる症状の進行を自覚している方であれば、周囲の人も忘れてしまうのではないかと、不安に思う方もいるでしょう。

〈関連記事〉「認知症」と「もの忘れ」の違いは?|予防・進行させないために必要なことも解説

人と交流する時間が減るため 

認知症の方が寂しさを感じる原因は、人と交流する時間の減少です。厚生労働省によると、超高齢化社会である日本は、2025年には全体の約26%が一人暮らしになるといわれています。[1

高齢の世代になると、配偶者に先に旅立たれてしまったり、離婚やパートナー解消などによる離別などにより一人暮らしになる方も少なくないでしょう。一人暮らしになると、人と交流する時間が減少してしまうため、寂しさを実感しやすいです。 

認知症により寂しくなった時にみられる行動

認知症により寂しくなった時にみられる行動

認知症の方が、寂しさを感じているときにみられる行動は以下のとおりです。

  • 不安感を訴える
  • 徘徊してしまう
  • 電話が頻繁にかかってくる

それぞれの行動について解説します。

不安感を訴える 

寂しい時にみられる言動のサインとして、最も分かりやすいのが不安感の訴えです。認知症のある高齢者に限らず、人間は寂しさを感じる際には不安感を訴えます。

特に認知症になると、今まで出来ていたことができなくなったり、物忘れがひどくなるため不安が絶えません。そのため、認知症の方が寂しさを感じていると、「孤独感を感じる」や「この先どうしていけばいいか分からない」などの言動として現れます。

不安感の訴えは、本人がどのような寂しさを感じているのか理解するヒントにもなるので、周囲の方々が話を傾聴するように心掛けましょう。別居していて話す機会が少ない場合には、定期的に電話をかけるなどして、不安感の訴えがみられないか確認しておくことも重要です。

徘徊してしまう

認知症による徘徊は、本人が寂しいと感じているサインかもしれません。本人の寂しい気持ちが強いと、「配偶者や家族を探している」や「元の家に帰りたい」などの理由により、徘徊行動を起こしてしまいます。

徘徊は、認知症による単なる症状と思われがちです。しかし、徘徊してしまう背景には、本人が不安に感じる理由が存在します。そのため、徘徊行動を起こしてしまう理由を把握しておくと、なぜ本人が寂しがっているのか知るヒントにもなります。

認知症による徘徊は、行方不明になってしまったり、重大な事故に巻き込まれるケースも少なくありません。徘徊がみられた場合には、いち早くサインをキャッチし、なぜ行動を起こしてしまうのか把握しましょう。

〈関連記事〉認知症の徘徊対策5選|外出したがるのを放置できずお困りのご家族へ、家族だけで探さないなど具体策を解説

電話が頻繁にかかってくる 

本人からの電話が頻繁にかかってくるようになったら、寂しさを感じている可能性があります。頻繁に電話をかけてしまう行動は、認知症の方に多く見られる症状のひとつです。

しかし、徘徊行動と同様に、電話を頻繁にかける行動にも理由が存在します。そのため、本人が電話を頻繁にかけてしまう理由を知っておくことが重要です。認知症の場合、症状による強い不安や混乱、恐怖が重なり、心配でご家族に電話をかけてしまうのかもしれません。

強い不安や混乱、恐怖が重なり、孤独感や寂しさを感じる認知症の方も少なくないため、きちんと傾聴するのも大切です。もし、電話対応で困ったことがあれば、地域包括支援センターや認知症に関する電話相談窓口などのサービスを利用しましょう。

認知症による寂しさを軽減させる方法 

認知症による寂しさを軽減させる方法 

認知症による寂しさを軽減するには、以下4つの方法が考えられます。

  • 話を傾聴する
  • 定期的に電話をかける
  • コミュニティやボランティアに参加して仲間を作る
  • 地域包括支援センターに相談する

それぞれの方法について解説します。

話を傾聴する 

認知症による孤独感や寂しさを軽減するには、話の傾聴を心がけましょう。高齢者は、加齢による認知能力や身体機能の衰えにより、周囲から隔離されたような心境に陥ります。

さらに認知症になってしまうと、時間や記憶も分からなくなってしまうため、さらに不安も大きくなることでしょう。不安に寄り添うように話を傾聴すると、寂しさを感じている認知症の方にも安心感を与えることができます。

相手側に寄り添う傾聴をするには、寂しさや不安を理解しようとする姿勢を作ることが重要です。話を理解しようとする姿勢をみせることで、相手側はきちんと寄り添ってくれていると安心感を与えられます。

定期的に電話する時間を作る 

もし、認知症の高齢者が別居している場合は、普段から会話を行うことが難しいため、定期的に電話をする時間を作るようにしましょう。人との交流が少ない認知症の方は、周囲から隔離された心境になりやすく、寂しさや孤独感を感じやすいです。

そのため、定期的に電話をする時間を作ることで、相手との繋がりを実感でき、寂しさや孤独感を軽減できるでしょう。また、こちらから電話をかけることで、相手から認められているという安心感が生まれ、寂しさや孤独感が軽減される可能性もあります。

認知症の方の場合、記憶力の低下により毎回話が重複してしまう場合もあるでしょう。しかし、本人にとっては相手に初めてお話する内容だと思われているので、きちんとお話を聞いてあげることが大切です。

コミュニティやボランティアに参加して仲間を作る 

認知症による寂しさを感じている場合には、コミュニティやボランティアなどに参加して仲間を作ることがおすすめです。コミュニティやボランティアなどに参加し、人との関わりを持ち続けることで、まだまだ社会に必要とされていると本人が思えます。

認知症による寂しさに多い原因が「孤独感」です。息子や娘が遠方に住んでいたり、配偶者が先に旅立たれてしまっていたりすると、孤独感を感じやすくなります。

コミュニティやボランティアなどに参加すると、さまざまな方と交流する機会が増えるため、認知症による寂しさを軽減する効果も期待できます。

地域包括支援センターに相談をする 

「家族が認知症により寂しがっているが、どうすればいいか分からない」とお悩みの場合は、管轄内の地域包括支援センターに相談をしましょう。地域包括支援センターは、高齢者に関する医療福祉面の相談やその他サポートを行うための公的機関です。

特に認知症のご家族が遠方に住んでいる場合は、ご自身で様子がみられないため、心配に感じる方も多いはずです。地域包括支援センターは、高齢者の生活に関する悩み事であれば総合的に相談にのってくれるので、認知症のご家族を持つ方にとっては心強いでしょう。

また、認知症のご家族が寂しがっている悩みに対しても、適切なアドバイスをしてくれます。その他にも、高齢者の方が安心して暮らせるように、介護サービスや日常生活支援の相談も可能です。

まとめ

まとめ

認知症になってしまうと、今まで出来ていたことができなくなり、自分が自分でなくなってしまうような不安を感じることでしょう。認知症の高齢者が寂しがってしまう背景には、さまざまな理由が存在します。

そのため、認知症により寂しがっている様子がみられたら、まずは話を傾聴してあげることが重要です。まずは、本人が抱える悩みを傾聴し、何に対して不安を感じているのか理解するように心掛けましょう。

わたしたちメドアグリケアは、医師と看護師を中心としたチーム医療で、自宅での生活をサポートします。また、訪問診療所と有料老人ホームを展開しているため、ご家族の暮らし方についてお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

【参考文献】

[1]厚生労働省/高齢化の状況/2008年2月/https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/dl/s0227-8au_0002.pdf