【高齢者の肺炎】特徴的な症状とは?原因や予防方法についても解説

「最近、咳が止まらない」

「発熱が続いているけど、病院に行くべきか迷っている」

体調が悪くても病院に行くか迷ってしまう高齢者の方は多いのではないでしょうか。

高齢者の肺炎は風邪との区別がつきにくく、病院で検査を受けたら肺炎だったということもあります。肺炎だった場合、進行が早く重症化しやすいため、早期発見と適切な対策が必要です。

本記事では、高齢者に特有の肺炎の症状や原因について詳しく解説します。また、予防策についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

肺炎は高齢者にとって重大な健康リスクとなる

肺炎でせき込む高齢者

肺炎は、細菌やウイルスが肺に感染することで引き起こされる呼吸器疾患です。

高齢者は免疫力が低下しているため感染症にかかりやすく、特に肺炎は重症化しやすい病気の一つです。また、基礎疾患を持つ高齢者にとっては、肺炎が命に関わるケースも少なくありません。

日本人の死因をみても、肺炎は5位に入っており、肺炎は全死亡者数の約4.8%を占めています。[1]肺炎は特に高齢者や幼児において重大な健康リスクになります。

 

高齢者が肺炎になる時の症状や特徴

肺炎で体調が悪く体温を測定する高齢者

高齢者の肺炎は、典型的な症状が現れにくいことが特徴です。以下に高齢者の肺炎に関連する主な症状を挙げます。

  • 発熱
  • 咳や痰  
  • 倦怠感や食欲不振

それぞれ解説していきます。

発熱

肺炎による発熱は高齢者にとって特に注意が必要です。

高齢者は体温調節機能が低下しているため、若年者に比べて高熱を出すことが少なく、微熱や平熱でも肺炎が進行していることがあります。

ただの風邪だと思い、そのまま放置しておくと重症化するケースもあるため、注意が必要です。

咳や痰

高齢者の肺炎では、咳や痰があまり見られない場合でも注意が必要です。

若年者に比べて症状が軽く見えることが多く、肺炎が進行しているのに気付かないことがあります。そのため、軽い咳や痰でも油断はしないようにしましょう。

全身のだるさや食欲不振

他に肺炎の症状として、疲労感や倦怠感などから生じる倦怠感や、食欲不振による食事量や体重の減少があります。

これらの症状も風邪や他の病気と区別がつきにくいため、注意深く観察し、異変を感じたら早めに医療機関を受診することが重要です。

わたしたちアグリーグループでは、関東を中心に1都8県34箇所(2024年10月現在)に訪問診療所を展開しています。急な体調の変化に対しても、24時間365日対応が可能なため、お気軽にお問い合わせください。

高齢者が肺炎になる主な原因

高齢者の肺炎の症状について説明する医師

高齢者が肺炎になる原因は以下の3つのケースが多いです。特に免疫力の低下や嚥下能力の低下により高齢者がかかりやすいです。

  • 誤嚥
  • 細菌感染
  • ウィルス感染

それぞれ解説していきます。

誤嚥

高齢者によく見られる肺炎の一つは誤嚥が原因の誤嚥性肺炎です。これは、本来食道を通って胃に入るはずの食べ物や唾液、痰などが誤って気管に入り込み、病原菌とともに肺に到達することで発症します。

高齢者は嚥下機能が低下していることが多く、誤嚥が起こりやすい状態です。特に、脳卒中や神経疾患などで嚥下障害を持つ高齢者はよりリスクが高くなります。

誤嚥性肺炎は、食事中や飲み込みの際にむせることが多い場合や、夜間に咳き込むことが増えた場合に疑われます。

〈関連記事〉誤嚥性肺炎の原因!嚥下障害を徹底解説

細菌感染

細菌感染による肺炎は、主に肺炎球菌が原因で発生します。

これらの細菌は、飛沫感染や接触感染を通じて広がり、特に免疫力が低下している高齢者に感染しやすいです。

細菌性肺炎は、発熱、咳、痰、呼吸困難などの典型的な症状が現れることが多いですが、高齢者の場合はこれらの症状が軽微であることもあります。

ウィルス感染

ウィルス感染による肺炎は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどが原因で発生します。

ウイルス性肺炎は、特に冬季に流行しやすく、高齢者は重症化するリスクが高いです。

症状としては、発熱、咳、喉の痛み、筋肉痛、全身の倦怠感などが見られます。

高齢者が肺炎にならないための予防法

手洗いで肺炎を予防する高齢者

肺炎の予防法のポイントは以下の5つになります。

  • 基本的な感染対策
  • 食事と運動
  • 予防接種
  • 口腔ケア
  • 口腔体操

高齢者の場合、様々な要因から肺炎になりやすいため、これらの予防はしっかりとしておきましょう。

基本的な感染対策

一般的に言われる感染対策で、これが最も実践的で重要です。

手洗い、うがい、アルコール消毒、マスクの着用、換気などがあげられます。

  • 手洗い:外出先から帰宅した際や食事前、トイレの後などにしっかりと手を洗う。
  • うがい:外出後や食事後は手洗いとセットでうがいをする。
  • アルコール消毒:手洗い後はアルコール消毒も行う。
  • マスクの着用:人混みや病院などに行く際にはマスクを着用し、飛沫感染を防ぐ。
  • 換気:室内の空気を新鮮に保つために、定期的に窓を開けて換気を行う。

食事と運動

食事と運動は、免疫力を高め、全身の健康維持のためには欠かせない要素です。

  • 栄養バランスの取れた食事を摂取することで、体の免疫力が向上します。
  • 十分な水分補給:水分を適切に摂取することで、感染症に対する抵抗力を高めます。
  • 適度な運動:散歩や軽い体操など、無理のない範囲での運動を日常生活に取り入れることで、体力や免疫力を高めます。

予防接種

予防接種は、特定の感染症に対する免疫を高めるために非常に効果的です。

肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチンなど、それぞれの感染症に対してのワクチンを定期的に接種することが推奨されます。

〈関連記事〉インフルエンザの重症化を防ぐには予防接種が有効

口腔ケア

口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防に特に重要です。

  • 毎日の歯磨き:食後や寝る前に歯を磨くことで、口腔内の細菌の増殖を防ぎます。
  • 定期的な歯科検診:歯科医による定期的なチェックとクリーニングを受けることで、口腔内の健康を維持します。
  • 口腔内の清潔:入れ歯を使用している場合は、毎日清掃し、清潔に保つことが重要です。また、口腔内の乾燥を防ぐために、適度な水分補給を心がけましょう。

口腔体操

口腔体操は、口腔機能改善やむせ予防に効果的です。結果、肺炎になりにくくなります。

  • 首のストレッチ
  • 頬の運動
  • 舌の運動
  • パタカラ体操
  • 唾液腺マッサージ

これらの口腔体操を食事前に行うのが効果的です。  

〈関連記事〉高齢者がむせる原因とは?|予防策まで解説

高齢者の肺炎は早期発見が鍵になる

高齢者の肺炎は気付きにくく、気付いた時には重症化しているケースもあります。

上記の項目でお伝えした症状を踏まえて注意深く観察し、異変を感じたら早めに医療機関を受診するようにしてください。

わたしたちアグリーグループでは、関東を中心に1都8県34箇所(2024年10月現在)に訪問診療所を展開しています。急な体調の変化に対しても、24時間365日対応が可能なため、お気軽にお問い合わせください。

<参考文献>

[1]令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html