訪問診療に従事する医師の仕事内容を紹介

訪問診療では、医師をはじめとする医療従事者の連携により診療が円滑に行われています。もちろん、患者様やご家族の協力なしでは診療できません。そこで、今回は訪問診療に関わる医療従事者の役割を紹介するとともに、医師の仕事内容についても紹介していきます。

◼ 訪問診療とは?

訪問診療に従事するスタッフを紹介する前に、訪問診療について少し理解を深めていただきたいと思います。訪問診療とは、医師が患者様のご自宅や入居している高齢者施設などに訪問して医療を提供することです。医療は大きく分けて3つに分類できます。外来医療・入院医療・在宅医療です。外来医療は、一般的な診療所・クリニックなどの医療機関で受ける医療のことで、患者さんが医療機関に出向き、受診することで成り立ちます。入院医療は、病院や有床診療所に入院して医療を受けることです。そして、在宅医療ですが、この在宅医療の中に訪問診療は含まれています。

訪問診療に似た言葉で、往診という言葉があります。そこで訪問診療と往診の違いについて少しみていきましょう。

  • 訪問診療と往診の違い

訪問診療と往診の違いをよく利用者さまや患者様・ご家族の方からも質問を受けます。訪問診療と往診は言葉の意味は違えど、どちらもご自宅などに医師が出向いて診察し、状態観察や処方箋の発行、点滴などの治療を行います。

▶︎訪問診療

訪問診療とは、医師が定期的に訪問する医療サービスのことです。おおよそ1週間や2週間に1回のペースで訪問することが多いですが、週に2回の訪問診療なども珍しくありません。医師が患者様やご家族と相談し療養の計画をたて、診療・治療だけでなく薬の処方や病気に関する相談なども受け付けています。また、訪問診療は外来診療よりも時間をかけてもらえないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。どちらかといえば外来医療よりも患者様と向き合う時間が長いことが多いです。これは、関係医療機関から他の疾患に罹患していないか、各種検査情報の共有などをしてもらい患者様の情報を深めていきます。さらに、患者様がどのような治療を希望していてどのように進めていきたいと考えているかを重視しています。他にも、ご家族や患者様ご自身の経済的な事情も加味して診療スケジュールを構築していくのが訪問診療です。

▶︎往診

往診とは、医師が不定期に訪問する医療サービスです。主に急病や応急処置など突発的に対応する医療サービスで、患者様より要請がきてから初めて診療に伺えます。病気の急変や救急車を呼ぶほどではないような体調の変化のときに利用する方が多いです。往診を受けるためには日頃からホームドクターとして往診を対応できる医師に診療してもらう必要があります。

◼ 訪問診療に従事する医療従事者

訪問診療には、各種医療従事者が関わっています。そこで、医師をはじめとしてどのような医療従事者が関係しているのか紹介していきます。

  • 医師

医師は、基本的に診断と治療方針の立案をおこないます。また、患者様や利用者様の病状に応じて注射や点滴療法の指示を行います。医師についてはこの後詳細を書くので割愛させていただきます。

  • 看護師

看護師は、医師の診療補助業務を行います。また、訪問診療の中でも訪問看護は看護師が主導します。訪問看護では、医師から発行された訪問看護指示書に従い注射や点滴、尿道留置カテーテルの交換など医療的処置やケアを行います。また、患者様やご家族向けに療養に関するアドバイスも行います。

  • 理学療法士

理学療法士は、怪我や病気が原因で身体に障害のある方へ医学的リハビリテーションを提供します。障害がある方だけでなく、これから障害の発生が予測される方にも、日常生活の基本動作が維持できるようなサポートも行います。理学療法士は、立つ・歩くなどの動作に関する専門家です。通院が困難な患者様の場合などは、寝返りが打てない・自分では起き上がれないなど身体の動作に関するトラブルが発生しやすくなります。医師からリハビリテーションの指示のもと、患者様のご自宅や入居している施設へ訪問します。

  • 作業療法士

作業療法士は、入浴や食事などの日常生活に関する動作や料理、手芸・園芸などレクリエーション関係まで作業活動と呼ばれる活動を通じて、身体だけでなく心のリハビリテーションを行います。例えば、今まで料理や手芸、工作などを趣味にしていた方が脳梗塞などで麻痺症状が残ったとします。そうすると、せっかくの趣味が楽しめなくなってしまい、日常生活に張り合いがなくなり役割がなくなったと感じてしまうことで閉鎖的な毎日を送るようになる方も少なくはありません。作業療法士は料理や手芸・工芸など細かい難易度の高い作業ができるようにサポートするため、心に大きな潤いを与える働きがあります。

  • 言語聴覚士

言語聴覚士とは、言葉や嚥下(飲み込む)機能など「喉」が関係する動作のサポートをする職業です。高齢になると、食べ物や飲み物を飲み込む力が衰えます。その嚥下障害を放置してしまうと、特に高齢者の場合は危険な誤嚥性肺炎に繋がることがあります。肺炎は、現在日本人の死亡原因第3位という高い割合を占めていますが、後期高齢者の肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎とのデータもあります。高齢化社会が進んでいる日本では、これから理学療法士・作業療法士とともに言語聴覚士のリハビリテーションの需要が高まっていくことでしょう。

訪問診療は高齢者だけのものではありません。口唇口蓋裂と呼ばれる唇や口の中の天井(口蓋)、歯茎(上顎)に先天的に欠損がある場合の、哺乳や発音改善にも言語聴覚士は活躍しています。お子さんの場合は口唇口蓋裂だけでなく、絵本から言葉や文字の習得指導なども言語聴覚士の仕事内容に含まれています。

  • その他

訪問診療は今まで紹介してきた職種以外にも多くの人が関係しています。そこでここまで紹介してきた医療職以外で訪問診療に関係している職業を紹介していきます。

▶︎訪問診療コーディネーター

訪問診療コーディネーターとは、当社のような医療サービスを提供する側と患者様・ご家族のように医療サービスを受ける側の架け橋となる存在です。円滑な診療となるようにご家族と打ち合わせたり患者様の要望をお伺いしたり、患者様の治療歴や病状等、医療に関する情報を関係医療機関等から受け医療従事者へ伝達します。また、患者様のご自宅への走行のルートや最寄り駐車場をリサーチしておき医師や看護師がすぐに患者様の元へ伺えるよう準備をしてくれています。一度、訪問診療コーディネーターを介することで医療が円滑に進むと考えていただけたら幸いです。

▶︎薬剤師

薬剤師は薬の調合を行います。医師が診察し患者さんに合った薬を処方します。薬剤師は医師の処方箋のもと、薬の調合を行い患者様の自宅や入居している施設へ届けてくれるのです。

▶︎ケアマネージャー

ケアマネージャーとは、介護保険を利用して訪問看護などを利用している場合に関係してきます。介護保険の申請や介護に関する相談を受け付けているほか、介護が必要な人と当社のようなサービス提供事業所をつなぐ架け橋の働きをしています。

◼ 訪問診療における医師の仕事内容や役割

訪問診療における医師の仕事内容や役割について紹介していきます。

  • 医師の仕事内容

主に医師は患者様の元へ決まった周期で訪問診療を行っています。仕事内容としては患者様へ問診と診察を行い、必要に応じて各種検査を実施し病気や治療の評価を行います。

訪問診療だけでなく、訪問看護も必要だと判断されれば訪問看護を実施するための「訪問看護指示書」というのを発行します。訪問看護は基本的に訪問看護指示書をベースに療養が提供されます。注射や点滴が定期的に必要な場合はそれに関連する指示書も発行します。

  • 医師の役割

訪問診療において医師とは、患者様や家族と他の医療従事者とが連携を取るために連結し中継するハブのような働きをします。薬剤師へ薬の処方箋を出し、看護師へ日々の療養に関する指示を出します。他にも患者様の身体的な障害に対して理学療法士・作業療法士へリハビリテーションの指示を出します。

◼ まとめ

訪問診療は、医師を中心に診療をしていますが他にも多くの医療従事者が関わっています。どの職種も共通しているのが患者様へ安定して良い療養を提供したいということです。また、患者様が希望するような療養を実現したいと考えています。日本の医療は超高齢化社会を迎え、また多様な価値観やニーズに応え入院医療から在宅医療へとシフトチェンジしています。病院だけでしか医療を受けられないと考えていた方も一度当社へご相談ください。今の訪問診療は今まで皆さんが思っていた医療とは大きく違い、病院とほとんど同じような治療を受けられます。

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