高齢者の体調管理方法を紹介!ポイントを抑えて健康をキープしよう
高齢の方は若い世代よりも健康に対する意識が高い傾向があります。これは一重に血圧の上昇や内臓機能の低下だけでなく、「長生き」を意識する年齢になるからでしょう。そこで今回は高齢者における体調管理の方法について紹介していきます。体調管理についてもう一度見直していただき健康を手に入れましょう。
- 高齢者における身体的変化
高齢になると身体的な変化が起きやすくなります。具体的にどのような変化が起きるのでしょうか。
▲免疫力の低下
人間の体の免疫力は基礎体力と免疫細胞で司られています。免疫細胞は身体の胸腺や骨髄で分化・成熟し、体内へ拡散されます。加齢とともに胸腺や骨髄の機能が低下するため免疫細胞の数も少なくなり、免疫力が低下するのです。さらに、高齢になればなるほど基礎体力も低下します。
▲血圧の上昇
血圧とは血管の中を流れる血液の圧力を意味しています。血管はホースのような形状をしていて、血管が柔らかいと血圧は低く血管が硬くなると血圧が高くなります。血管が硬くなっている状態を「動脈硬化」といいます。血管は加齢とともに硬くなる傾向があり、持病がなく一般的にいう「健康体」の人でも高齢になればなるほど血圧は高くなります。加齢による高血圧と、生活習慣病などが起因となる高血圧は緊急性が異なるため注意しましょう。
▲呼吸器機能の低下
高齢になると肺の動きが悪くなります。肺は空気を吸ったときに膨らみ、空気を吐いたときには収縮します。この動きが悪くなり上手に空気の吸い吐きができなくなってしまうのです。吐気時に肺の中へ残っている空気を機能的残気量といい、加齢になればなるほど機能的残気量が多くなります。つまり、吐気時に空気を吐ききれていないということです。このように呼吸器系の機能が低下しているときに肺炎を併発すると重篤化しやすくなるのです。
▲筋力の低下
運動をしないと筋肉が落ちやすくなります。また、歳をとっても筋肉は落ちやすくなるのです。高齢者は特に筋肉の低下が顕著で、大腿骨(太腿の大きな骨)を骨折してしまい寝たきりで骨折の治療を受けていると筋力が低下してそのまま自立生活できなくなってしまったということも珍しくはありません。身近な話をすればジャムの蓋を開けられなくなった、大きな荷物を持って歩けないなども筋力低下として挙げられますね。
- 高齢者の体調管理
高齢者の方は日々自分の身体に起きたことを記録する癖をつけると良いでしょう。日々の記録がもしものときに役立つことがあるからです。今はタブレットやスマートフォンを持っている方も多いですし、血圧などを測定したときに記録するノートなども市販で販売されています。他にも家庭用の血圧計や体温計も精度が高く短時間で測定できるものが増えています。具体的にどのようなことを記録しておくべきなのか紹介していきましょう。
▲血圧
高齢者における体調変化のバロメーターと言っても過言ではないのが血圧です。血圧計は家庭用のものも精度が高く、ドラッグストアなどでも簡単に購入できます。また、血圧は診療所や病院・訪問診療中など医療関係者が近くにいると高く測定される傾向があります。これを白衣性高血圧と呼びます。昔から医師や看護師など医療関係者の前では緊張してしまうという方がおり、調査したところ自宅と病院などでは数値が異なる傾向が多いです。血圧は家庭で朝・昼・夜の3回測定し記録を取っておくことが望ましいです。
▲体温
高齢者の方は若い方と比べて体温が低く計測される傾向があります。しかし、2020年に流行している新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなど発熱が症状として見られる疾患は多いです。血圧測定同様に1日数回測定して、自分の平熱を把握しておきましょう。
▲排泄周期
便や排尿の回数・周期も体調管理で不可欠となります。便が決まった時間に出ている方は腸内環境が良いと言えます。排尿もおおよそで良いので回数を確認しておくと医療機関から聴取を受けたときにすぐ答えられるのではないでしょうか。
▲食事内容・回数
高齢者は知らないうちに低栄養状態となることがあります。昔に比べて食事の量が減った・肉類を食べなくなったという方は多いですが食事内容を記録しておき定期的に栄養士さんなどにチェックしてもらうとより良い食事バランスになるのではないでしょうか。
▲睡眠時間
高齢になると睡眠時間が短くなる傾向があります。1日どの程度睡眠時間を確保できているのかもメモとして手元残しておきましょう。
- 数値だけではない体調管理
今まで紹介してきた体調管理方法の多くは数値(基準値)が決まっています。例えば血圧であれば135mmHg未満、85mmHg未満となっています。しかし、数値だけでは測れない部分でも高齢者の体調管理は行われます。
▲精神的な体調管理
数値に捉われないで体調管理をするには高齢者の精神的な体調管理も必要となります。高齢者は加齢により「できなくなる」ことを受け入れられないことがあります。日常動作でできないことが多くなる・家族の介助が必要になるなどで恥ずかしい気持ちや情けない気持ちになる人が多くなるからです。動きの他にも聴力や視力など感覚器官も機能が低下してしまい、ひどい場合はうつ症状を起こすことがあるようです。
また、加齢に伴い認知機能や記憶力の低下も見られます。それらに伴い、思考力も低下してしまい性格が厳しくなることもあります。わがままになったり、起こりっぽくなったり、ひがみっぽくなることがあります。
このような精神的な体調不良が起きている場合は、近くにいるご家族や定期的に通っている訪問介護・訪問看護のスタッフが気付くことが多いです。高齢者におけるうつ病は決して珍しいものではないですが、「自分の家族がまさか」と思っているご家族の方は多いです。定期的に訪問しているスタッフからお話させていただいても、話として聞いてはくださいますがまさかうつ病になっているとは…という反応をする方もいます。高齢の方も家族にうつ病と知られるのが嫌だと感じたり、自分でも病気を認められなくなり、うつ病の症状を隠すことがあります。このような状態を「仮面うつ病」といいます。ご家族が少しでもおかしいと感じた場合はうつ病の隠れたサインかもしれませんので早めに対応するようにしましょう。
▲心の体調を保つには
高齢者の方の心の健康を保つためにはどのようなことをすると良いのでしょうか。今日からできる心の健康の保ち方を紹介していきます。
■規則正しい生活
高齢者の方の多くは仕事をリタイアして自由な生活を送っていることでしょう。自由時間がたくさんあるからといって、不規則な生活リズムを送っていると睡眠障害を引き起こしうつ病や自律神経の乱れを引き起こします。高齢者以外の方にもいえることですが、出来るだけ毎日規則正しい生活リズムを送り、よく眠るようにしましょう。中には昼寝をしているから1日の睡眠時間は長いだろうと考えている方がいますが、夜中にしっかりと睡眠を取ることが大切です。
■軽い運動
高齢者だからといってゴロゴロしてばかりでは身体が鈍ってしまいます。ウォーキングや軽いスクワットなど運動を毎日の習慣に入れることで気分転換になるだけでなく、病気の予防にも効果を示します。ただし運動をして怪我をしてはいけません。十分に準備運動をしてから運動をしましょう。
■食事はバランスよく
食事はバランスよく食べるようにしましょう。バランスの良い食事をすることで動脈硬化や高血圧など生活習慣病を予防することができます。運動だけでなくバランスの良い食事をすることで身も心も健康になります。
- 高齢者は症状が一つではない
高齢者の方は同じ病気を発症しても同じ症状とは限りません。患者さん一人ひとりで症状が異なるのです。また加齢により、薬を処方しても効果が必ず出るとは限りません。若い世代と比べると薬の効きが悪いです。つまり、病気を発症しないような予防が大切になるのです。予防をするにはまず自分の健康状態を調べて、注意すべきポイントを把握する必要があります。今回紹介した体調管理のポイントを参考にしてみなさんも健康管理をしてみてください。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。