高齢者における健康面の悩みを調べてみました
高齢者の方でも若い世代の方でもそれぞれ「悩み」を抱えています。特に近年では、ストレス社会と呼ばれるほどストレスを抱えている人が多いです。若い世代ではストレスが原因で「自殺」をしてしまう人が多く社会問題となっています。では、高齢者の世代ではどのようなことが悩みとなるのでしょうか。今回は高齢者における悩みについて考えていこうと思います。
●高齢者にも悩みはある
高齢者はどのような悩みを抱えているのか調べたデータが内閣府にあります。平成26年度「高齢者の日常生活に関する意識調査」をみてみると高齢者の悩みがわかります。全国の60歳以上の男女6000人をターゲットにして調査をしました。6000人という数字は日本国内の高齢者のおよそ5000分の1ですが、調査数値としてはしっかりしているのではないでしょうか。さて、そんな高齢者の日常生活に関する意識調査では高齢者の生活様式についても調査をしていました。高齢者が離婚や死別などで独居している割合は全体のおよそ12%、高齢者夫婦で生活している割合はおよそ40%です。高齢者の方とその親で生活している割合はおよそ7%、子供世代と同居している割合はおよそ25%、子供だけでなく孫世代と一緒に生活している割合はおよそ10%でした。高齢者夫婦で生活している・高齢者が独居している割合だけで全体の50%を占めており、自分たちの生活は自分たちでするという家庭や子供たちに迷惑をかけられないと考えている家庭が一定数あるのではないでしょうか。
では、本題です。高齢者にはどのような悩みがあるのでしょうか。悩みには金銭・生活・健康の3つで分けることができるため、この3つで分けながら話を進めていきましょう。
▲金銭的な悩み
金銭的な悩みは高齢者でも若い世代でも変わりません。現役世代のときのように働くことができないために収入面の不安を抱えている高齢者の方も少なくありません。また、年金は国民年金か厚生年金かなど入っている年金の種類によってもらえる金額が異なります。自営業やフリーランス・専業主婦(夫)の方は国民年金だけですが、会社員や公務員の方は厚生年金にも加入していますよね。厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をみると国民年金だけでは月額約5万6000円、厚生年金と国民年金の場合は14万5000円もらえることになっています。しかし、2019年に麻生太郎副総理が発言した「老後2000万円発言」が問題を起こします。厚生労働省「平成27年度国民生活基礎調査」をみると高齢者世帯の平均所得は297万円です。そして何が問題かと言うと平均所得を超える支出があることです。総務省統計局に家計調査のデータがありました。2020年の最新データをみてみると2人以上の世帯では月中の支出が約267000円でした。これを年ベースに置き換えると年間約320万円となります。毎年およそ30万円の赤字になってしまうのです。
■消費の順位
高齢者世帯は何に消費を多く使っているのでしょうか。家計調査をみると何にどれくらい出費をかけているのかわかります。高齢者世帯では食費に多くのお金をかけていることがわかります。その次に交通・通信費、光熱費・水道費などにお金をかけています。高齢になると少し高くても良いものを買いたい・少し高くても国産を買いたいと言う方が多くなる傾向があります。その結果として食費にかかる割合が多くなっているのではないでしょうか。また、高齢になると自動車免許証を返納してタクシーやバス・電車移動をメインにする方もいます。その結果として交通・通信費に割合がかかっています。
■見えない終わり
高齢者の方は自分で生活できるうちは自分で生活しようと言う意欲が高い人が多いです。その結果、お金の悩みを子供や孫へ相談できない・亡くなるまでにどれくらいかかるのか分からなくて不安だという方が多くなります。
特に2000万円問題は高齢者の方のネックになっているのは間違いないことでしょう。総務省の家計調査をみると高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯あたり2386万円、中央値をみると1560万円でした。つまり、高齢者世帯の多くは2000万円以下の貯金しかないのです。2000万円報道があってからこれではダメだと感じ、お金に関しての悩みが増えた方は多くなっているのではないでしょうか。
▲生活の悩み
高齢者の方は生活面でも多くの悩みを抱えています。その理由として自分の体が動かなくなっていることが挙げられます。高齢になると若い頃に比べて、関節の動きが悪くなり腰痛をはじめとする関節痛が起きやすくなります。また、筋肉量が落ちることで生活に制限がかかることもあります。そんな高齢の方が生活面でどのような悩みを持っているのか紹介していきましょう。
■外出への意欲
高齢になると出不精になると聞いたことはありませんか?人混みを嫌がるだけでなく、友人や知人と会うことを避けるようになる人もいます。さて、高齢者の日常生活に関する調査をみると高齢者のおよそ60%が外出したいと考えており、約40%が外出したくないと考えています。これにはその人の背景や住んでいる地域も関係しているため参考に見ていきましょう。
外出したいと回答した人の多くは、都市部に在住していました。一方、郊外に住んでいる人は都市部に住んでいる人と比較して外出への意欲が薄いことがわかりました。さらに、友人が多い人は外出したいと考えるようになり、友人が少ない人は外出する機会が少なくなります。他にも階段を登ることが苦になっている・掃除や散歩などが困難に感じるなど、身体的な制限が出てきているような人はそうでない人に比べて外出したいと思わない頻度が高くなっていました。
■外出への障害
高齢者の方へ外出時に何を障害に感じるかという質問をすると以下のものが障害に感じるという回答を得ることができました。
・道路の段差や傾斜
・ベンチや椅子など休む場所の少なさ
・公共交通機関の不十分
・トイレが少ない
・道路が複雑でどこを歩いているのか分からない
都市部では地下鉄網が張り巡らされているため、どこを歩いているのか分からなくなる人も多いですね。他にも新しくできる駅もあるため全てを把握している人は少ないでしょう。
■日常生活の楽しみ
日常生活での楽しみはどのようなものがあるでしょうか。高齢の方は外出意欲が少なくなり、結果として友人や知人と疎遠になることも珍しくありません。日常生活での楽しみを調査したところテレビ・ラジオが最も多く、新聞・雑誌、友人との交際、食事、旅行という順になりました。今は地上波放送のテレビだけでなく、過去に放送していたテレビドラマや映画を見ることができるようになりテレビをより楽しむ環境が整っているように思えます。
▲健康の悩み
高齢者の方の多くが健康面の悩みを抱えています。内閣府「平成29年度高齢者の健康に関する調査結果」を見ると高齢者の方が医療サービスを受ける頻度の高い疾患がありました。
・循環器系
・内分泌系
・筋骨格系
・目の病気
・泌尿器系
・悪性新生物
の順で多いです。循環器系とは主に高血圧や糖尿病などのことです。加齢とともに血圧は高くなり、尿糖も高くなります。内分泌系は女性ホルモンの乱れや脂質異常症が挙げられます。筋骨格系とは腰痛や肩こり・関節痛などが挙げられます。このように高齢者は病院へ通うリスクが高くなり健康面の悩みが増えます。
さらに、高齢者は健康面に付帯した悩みも抱えています。それが介護問題です。介護を受けなければいけない「要介護状態」にならないか不安に抱えている人が多いです。その理由について以下のような回答がありました。
・家族に肉体的・精神的負担をかける
・身体の自由が効かなくなる
・介護に要する経済的負担が大きい
・漠然とした不安を感じる
・人生の楽しみが感じられなくなる
・希望する施設へ入れない
・収入がなくなる
・介護してくれる家族がいない
・現在の住宅構造に問題がある
・近くに緊急時対応してくれる病院がない
・介護に関する情報が少ない
これらも高齢者における健康面の問題と言えるのではないでしょうか。
●高齢者の悩みは千差万別
高齢者の方が抱える悩みはそれぞれ異なります。金銭的な問題だけでなく、それぞれの家庭環境が関係しており、千差万別・十人十色の悩みがあります。その中でも健康面の悩みに関しては全国で一定レベル以上の治療や相談ができるシステムづくりが整いつつあります。健康面にお悩みを抱えている方はお気軽にご相談ください。
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