食中毒の原因となる細菌やウイルスを紹介!各種特徴もピックアップしています
食中毒の発生件数は年間1000件前後で推移しています。令和元年では1061件(患者数13018人)となっています。その内訳は細菌性食中毒が約4割、ウイルス性食中毒が約5割です。残りの1割は寄生虫や自然毒などが占めています。今回はそんな食中毒の原因となる細菌やウイルスの種類について紹介していくとともに、特徴も一緒に紹介していきます。
- 食中毒の概要
食中毒は大きく細菌性食中毒とウイルス性食中毒に分けることができます。食中毒は年中通して発生件数が一定数ありますが、内訳をみると季節性が出ています。例えば夏場は日本の土地柄高温多湿となるため細菌にとって好環境となります。一方、冬場は乾燥するためウイルス性食中毒の数が多くなっています。
▲食中毒予防の一手
食中毒予防で国は食品衛生に注力しています。各飲食店には食品衛生責任者という役職を設置する義務があります。また、厚生労働省の「食品事業者が実施すべき管理運営基準に関するガイドライン」をみると
・施設及びその周辺は、定期的に清掃し、施設の稼働中は常に衛生上支障のな いように維持すること。
・製造、加工、処理、調理、保管、販売等を行う場所には、不必要な物品等を 置かないこと。
・施設の内壁、天井及び床は、常に清潔に保つこと。
・施設内の採光、照明及び換気を十分に行うとともに、必要に応じ、適切な温 度及び湿度の管理を行うこと。
・窓及び出入口は、開放しないこと。やむをえず、開放する場合にあっては、じん埃、そ族、昆虫等の侵入を防止する措置を講ずること。
・排水溝は、排水がよく行われるよう廃棄物の流出を防ぎ、かつ、清掃及び補修を行うこと。
・便所は常に清潔にし、定期的に清掃及び消毒を行うこと。施設内では動物を飼育しないこと
と明記されています。
- 食中毒の原因一覧
食中毒の原因として以下の原因が考えられます。
▲食品の保存状態
刺身などには元来寄生虫が寄生していることがあります。特にイカやサバにはアニサキスという寄生虫がいます。取り除ける範囲で取り除けば、アニサキスによる食中毒を予防できます。他にもサバは腐りやすいため一般的には〆る作業をしますが〆が甘い場合はサバの中でアレルギーの元となる成分が増殖してしまいます。
夏場に多い細菌性食中毒の原因細菌はO157やO111などで、これらは7度以上で増殖し始め、40度前後で増殖が活発になるのです。夏場は日差しが当たるところで40度前後いくことも珍しくなくなりましたよね。冷蔵庫で保存しなければいけない食品を常温で保存するなど食品の保存方法に問題があると食中毒が発生する原因になります。
▲食品の選別
食品を仕入れるときに消費期限がすぎていては意味がありません。また、鮮度の低い魚や肉は十分な加熱が求められます。きのこや山菜では毒を有するものもあるためしっかりと見極める力がなければいけません。
▲細菌の伝染
例えば、食中毒の原因となる細菌が包丁についているとします。この包丁を未消毒で使い回すと、切ったもの全てに細菌が付着してしまうのです。また、まな板も使用し続ければ細菌が伝染するベクターとなります。細菌の伝染を防ぐためにも定期的に包丁やまな板など調理器具の消毒をするようにしましょう。
- 食中毒の原因全種類と特徴
・腸管出血性大腸菌(O157やO111など)
O157やO111などは動物の腸内にいる大腸菌の一つです。代表的な細菌としてO157やO111などがあります。毒性はベロ毒素と呼ばれており、食品を介して体内へ入り込みます。主に肉に付着している腸管出血性大腸菌は生状態や半生状態で死滅していないと危険です。症状としては腹痛や水様性下痢、出血を伴う下痢があります。小児や高齢者が感染すると死亡することもあります。
・カンピロバクター
カンピロバクター は鶏肉に付着していることが多い細菌です。鳥レバーを提供しているお店でカンピロバクターによる食中毒が多く報告されています。鳥レバーは牛のように規制されておらず生食でも提供できるからです。しかし、報告が多いことからわかるように食中毒の原因となるため注意が必要です。主な症状は頭痛や発熱・筋肉痛などがあります。
・サルモネラ属菌
サルモネラ菌は家畜の腸内にいる細菌です。卵や食肉を介して体内へ入り人間の腸内で増殖し発症します。食後、半日から2日くらいしてから胃痛や嘔吐・吐き気・腹痛などの症状が出ます。
・セレウス菌
セレウス菌は香辛料などが感染源となります。香辛料を使うスープやチャーハンなどが媒介食品として有名で、2種類の毒素型に分けることができます。2種類とは嘔吐型と下痢型の2種類で、嘔吐型は食後5時間以内という短いスピードで発症します。下痢型も18時間以内という早いスピードで発症。セレウス菌自体は熱に強いため、加熱で予防するのは難しいです。ただし、少量であれば発症しないため菌の増殖を防げるかがポイントとなります。
・黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は人の皮膚やのどにもいます。黄色ブドウ球菌により汚染された食品を食べると、3時間前後で急激に嘔吐や吐き気、下痢などが起こります。
・ノロウイルス
牡蠣など二枚貝に付着しているウイルスがノロウイルスです。感染力が強いため冬場になると老人施設や養護施設などで集団感染が起きることも珍しくありません。一般的なウイルスはアルコール消毒で消毒できますがノロウイルスにはアルコールが効きません。次亜塩素酸ナトリウムを使用して消毒する必要があるので注意しましょう。
- 自然毒の種類と特徴
自然毒とは自然界に存在する毒のことです。生物そのものが保有している毒が多いです。
・フグ毒
フグ毒とはふぐが保有している毒のことです。フグの種類や部位により毒性の強弱がありますが概ねフグには毒があるという認識をしておくと良いです。年間30件ほどのフグ中毒が発生しており、およそ50名の人が亡くなっています。原因としてはフグ調理の初心者が家庭料理としてフグを捌いた結果、フグ毒を排除できずに感染する事案が多いです。
フグ毒は時間の経過とともに4段階に分けることができます。
第一段階:唇や指先に痺れが出る。歩行困難になることも。
第二弾:嘔吐し、運動不能になる。言語障害や呼吸困難が感じるようになる。
第三弾:血圧が急激に降下。呼吸困難となる。
第四弾:意識消失。呼吸停止。死亡。
フグ毒の毒成分はテトロドトキシンという名前で神経毒となっています。フグ調理の資格保有者に捌いてもらうことで予防できます。
・ドクツルタケ
英語名でデストロイングエンジェルと呼ばれています。日本語に訳すと「破壊する天使/殺しの天使」。日本国内最も毒性の強いきのこの一つと言っても過言ではありません。食後6時間〜24時間でコレラの様な症状が見られます。その後、72時間以内に肝臓肥大が起きて死亡することがあります。
- 正しい手洗い方法
では、食中毒を予防するために何をしたら良いでしょうか。答えは手洗いです。正しい手洗いをして食中毒を予防しましょう。
また、しっかりと石けん液を泡立てることが大切です。泡立てることで、手全体や手のしわなどに石けんがいきわたります。
・流水で手を濡らす(できれば10秒くらい)
・石けんを手に取り、手のひら同士でくるくると手を擦り石けんを泡立てます
・指を組み合わせて擦り、まんべんなく石けんの泡を広げます
・右の手のひらを左の甲に重ねて指を組み合わせ、まんべんなく指の間と甲を擦ります、そして逆も同様に
・右手で左の親指を握るようにくるくる回転させます。そして逆も同様に
・左の手のひらの中で、右手は卵をつかむ時の様に爪を軽く立て、くるくる泡だてるように回転させ、そして逆も同様に
・右手で左の手首もくるくると、そして逆も同様に
・流水で手をすすぐ
・水気を拭き取ります
ぬれたままのタオルやハンカチは雑菌が増えやすいので要注意。こまめに交換しましょう。使い捨てのペーパータオルなどの利用もおすすめです。
- 食中毒はできる限り予防しよう
食中毒は予防できます。食品を適温で保存し食中毒を発生させない様にしましょう。冬場だと外気温も低いからと冷蔵庫で保管しない人を見かけますが、それでは食中毒の発生リスクを高めてしまいます。食品は冷蔵庫または冷凍庫で保管し出来るだけ早く食べ切る様にしましょう。
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