新型コロナウイルスの流行や緊急事態宣言下でのがん検診の重要性について

みなさんは定期的に通院が必要ですか?糖尿病・高血圧・がんなど様々な病気で定期的な通院を必要としている方がいます。しかし、2019年から世界へ流行し始めた新型コロナウイルスの影響により、定期的な通院ができなくなっている人がいます。今回はそんな様々な人の病院事情について紹介していこうとおもいます。

  • 緊急事態宣言中の病院

2020年3月に日本国内で初めて感染者を確認してから同年4月に緊急事態宣言が発出されるまでそう時間はかからなかった印象があります。コメディアンの志村けんさんがコロナウイルス感染症が起因となる肺炎で亡くなられ、世間のコロナに対する見方も変わったように思えます。

病院は今までは体調不良になったときに行けばよかったところでしたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、「病院へいくといらぬ病気をもらうのではないか」と思う人が増えてきました。実際、コロナ対策当初はコロナ患者を受け入れていた病院の詮索や誤った情報が相次いでいたのではないでしょうか。病院によってはコロナ患者を受け入れるなという心ない声を受けるところもありました。さらには、医療関係者に対してもコロナ患者を受け入れている病院で働いているのなら出歩くな、子供を幼稚園へ連れてこないでくれなどの心ない声を耳にすることがありました。

そんな声があるように病院へ行く人の数も減り、身体の具合が少し悪くても病院へ行かないという人が増えた1年でもあります。発熱やだるさなど自覚症状がある人は「帰国者・接触者外来」という専用ダイヤルへ電話をし、指定された病院で診察を受けるよう指示があったことも影響しているのではないでしょうか。

そんな中、1回目の緊急事態宣言が発出されたとき病院はどのような対応をしたのでしょうか。多くの病院は入院患者への面会禁止・発熱者は帰国者・接触者外来へ電話をし指示を受けるようにする・急患対応のみ・健康診断などは原則延期などの処置を取りました。その結果、定期的に通わなくてはいけない患者さんにとっての「医療崩壊」が起きてしまったのです。

▲がんに関する人々の意識

新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を振るうまでは、日本人の死因第一位「がん」に対する恐怖心は大きかったとおもいます。2人に1人はがんを経験する時代となりましたが、がん検診の推進や普及により早期発見できるようになっているのも事実です。また、がん治療精度の向上に伴い、5年生存率も年々上昇傾向となっています。

国立がん研究センターがん情報サービスをみるとがん検診の受診率の偏移を読み取ることができます。2010年、胃がん検診を受けた人は男性で36.6%・女性で28.3%でした。2019年には男性が48%・女性が37%となっています。他にも肺がん検診は男性が26.4%→47.5%。女性で23%→45.6%となっています。女性特有の子宮頸がんや乳がん検診も2010年と比較すると受診率が上昇しており、がん検診に対する関心の高まりを表しています。

▲新型コロナで変わる意識

新型コロナウイルスは飲食店へ大きな影響を与えました。しかし、それと同じくらいがん検診をはじめとする医療にも影響を与えているのです。SOMPOひまわり生命保険株式会社が行った「コロナががん検診に及ぼした影響及び定期検診の受診状況に関する調査」をみると2020年に予定していたのにもかかわらず、新型コロナウイルスの影響でがん検診を受けなかった人は10.2%いたとされています。さらに、緊急事態宣言の影響でがん検診を受診していない人も多いです。日本対がん協会・がん検診研究グループマネージャーを務める小西宏氏はアストラゼネカ社主催のメディアセミナーの中で「がん検診受診者はコロナで半減した」というコメントを出しています。がん検診受診者の月別推移を見てみると2020年1月〜7月の受診者合計は108万5630人で、前年実績243万7822人や一昨年実績の241万5180人を大きく下回っていることが明らかになりました。特に緊急事態宣言が発出されて以降は受診者数の減少が顕著で、毎月3万人程度まで落ち込んでいるというコメントも出しています。

▲検診を受けないことの影響

がん検診を受診しないことでどのような影響が起きるのでしょうか。世界肺がん学会理事長の光冨徹哉氏は「がん診断数の減少、早期発見数の減少により、末期がん患者やステージ進行した患者が増える。その結果、将来がんによる死亡の増加が懸念される」とコメントしました。がんの中でも肺がんは罹患率の多い部位で、ステージ1の5年生存率は81.6%と高いものの、ステージ2で46.7%・ステージ3は22.6%・ステージ4になると5.2%とステージが上がるごとに生存率は低くなります。肺がんは特に発見が遅ければ遅いほど5年・10年生存率が低くなるとされており、検診の重要性が取り上げられています。

▲定期検診にも影響が出ている

2020年に志村けんさんが新型コロナウイルスで逝去されたことが話題となりましたが、岡江久美子さんもお亡くなりになりました。死去後、報道されましたが岡江さんは乳がん治療を受けており、そのこともがん治療中の方や経過観察・定期検診中の方の悩みのタネとなったのではないでしょうか。がん治療をしている病院でもコロナ患者の受け入れを行なっており、がん患者さんからすれば通院するネックとなっているのではないでしょうか。

そんな疑問にがん研有明病院病院長・佐野先生は「コロナ患者を受け入れているが、がん診療は絶対に縮小しない。がん研有明病院では、がん治療をコロナへ譲る気持ちはありません。機能分担をしてそこはしっかり守っていきたい」と話されています。がん検診だけでなく定期検診などもしっかり受けることでがん患者さんの未来が大きく変わっていくのです。

 

  • がん検診時における新型コロナウイルスへの対応

がん検診を実施している各がん検診学会は、がん検診における新型コロナウイルスへの対応を公表しています。

▲肺がん検診学会

肺がん検診では、胸部レントゲン撮影や喀痰細胞診が重要となります。胸部レントゲン写真を撮影する際には、受診者が触れる場所をアルコールや次亜塩素酸にて消毒すること。喀痰細胞診を実施する際には、検体内にコロナウイルスが混入している可能性があるため、採痰容器の蓋がしまっていてもグローブやマスクを着用し、感染防止対策を行うことが望ましいです。

▲日本乳がん検診学会

乳がん検診学会では、新型コロナウイルスの特徴から「完全に感染者を検査対象から除外することはできない」としています。そこで3週間以上新規感染者が報告されていない地域においては「感染者が受診する可能性が低い」という認識を発表しています。

乳がん検診は肺がん検診のように喀痰を採取する必要はありません。一般的に新型コロナウイルスが存在するのは感染者の肺や唾液・鼻水などと想定されています。夏場は汗をかくことも多いですが、汗の中にウイルスは存在しないと考えられるため、乳がん検診で一般的に行うマンモグラフィーや乳房に対する超音波検査ではコロナウイルスに触れる可能性が低いとされています。

▲日本消化器がん検診学会

日本消化器がん検診学会では、消化器がん検診における新型コロナウイルス感染対策として、胃内視鏡検査実施時にマスクやフェイスシールドだけでなく、ガウンの着用も推奨しています。また、大腸がん検診に有効な便潜血検査においては便に直接触れることはないですが、便の入っている容器や封筒などにウイルスが付着している可能性も否定できないため、検体を取り扱う際にはマスク・グローブの着用が必須となっています。

便潜血や内視鏡検査の結果、精密検査を必要とする受診者に対しては「がん」が疑われるケースが多いため、検査者が十分な感染対策を講じて検査を行う必要があるという見解を出しています。

  • 安心して検診を受けてほしい

日本肺がん学会理事長の弦間昭彦氏は、検診を受ける施設はどこも「3密」を回避している。と話されています。また、紹介したように各種学会では感染対策についてしっかりと取り決めをしています。コロナ流行により、普段よりも感染対策に気を使っている病院が多いくらいです。新型コロナウイルスを恐れるのも正しいが、がんの進行は待ってはくれません。がんの好発年齢の方や、最近体力に不安がある方は積極的にがん検診を受診してほしいところです。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。

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