がんの発見は血液だけ?最新がん検診情報を紹介

今、がんは日本人の2人に1人がなるといわれています。国立がん研究センター「がん情報サービス」によると2019年にがんで死亡した人の数は37万6000人でした。また、2017年に新しくがんと診断された症例数は97万7000例でした。そんながんには「早期発見・早期治療」が推奨されています。がんを早期で発見して、小さな段階で治療をスタートすれば5年生存率も高くなるとされているからです。今回はがんの早期発見に有効的ながん検診について詳しく紹介していこうと思います。

  • 2021年!がんの最新情報

日本国内のがん統計は数年遅れて公表されています。罹患データに関しては2年〜3年、死亡データは1年〜2年遅れて公表されるため、2021年時点での最新データは2019年のものとなるのです。国立がん研究センターでは、2020年のがん罹患数や死亡数に関する予測データを公表しています。

2020年のがん罹患予測数は約101万2000例となっています。2019年のがん罹患予測数は約101万200例なので微増となっています。一方、2020年のがん死亡予測数は約37万9400例で、2019年のがん死亡予測数は38万300人なので微減となっています。1年間の数字の変化を読み取ると「がん患者数は増えているが、がんで死亡する人は減少傾向となっている」のがわかるのではないでしょうか。では、なぜこの結果になったのでしょう。それは「がん検診の普及や精度が向上している」という一言に尽きるのではないでしょうか。

▲芸能人とがん

がんに限ったことではないですが、病気と芸能人は切ってもきれない関係にあります。というのも、芸能人も人なので病気にかかるのは当然といえば当然となるのです。しかし、芸能人はその性質上、スキャンダルや事件・事故などが起きれば報道されてしまいます。病気も同じです。病気にかかると多くの芸能人は公表しています。仕事を休養する関係やその後のブランディングに関わることもあるのです。

ここ数年で芸能界に衝撃となったのが掘ちえみさんのがん公表です。舌にできた出来物を近医にて口内炎と診断され、そのまま放置していました。口内炎に効くとされるレーザー治療まで初め、結局舌がんが広範囲に浸潤する結果となったのです。舌は人間の体の部位でも目で見ることができます。そんな部位でさえ、がんの発見が遅れるリスクがあるのです。

堀ちえみさんのようにガンが進行してから見つかる人もいますが、早期発見できた人もいます。それが宮迫博之さんです。お笑い芸人として活躍していた2012年にスキルス胃がんと診断されました。スキルス胃がんとは、症状が出にくく発見が遅れやすいとされるがんです。宮迫さんは幸運にも早期発見し、早期治療できたのです(2021年現在再発なし)。宮迫さんの場合は人間ドックで内視鏡検査をした際に発見され、その後セカンドオピニオンとして来院した病院にてスキルス胃がんと確定診断されました。

歌手のつんくさんもがんでした。つんくさんは咽頭がんを患い、声帯を摘出したのです。歌手にとっての命ともいえる声帯を切除しても、生きることを選んだつんくさんにメディアは注目しました。このときのもう少しがんの発見が早ければ声帯を温存できたかもしれません。芸能人ががんを公表することで、がんという病気が遠い誰かの病気ではなく、自分も定期的に検査を受けなければいけないと思わせてくれるのです。

▲がんの早期発見

昔は「がんに罹ると死ぬ」というイメージが強く根付いていました。今も一定数そういう思いを抱いている人がいます。しかし、今となってはがんは誰でも罹るリスクがあるのです。だからこそ、定期的ながん検診が必要で、そのための検査精度が求められているのです。

考えたくもないことですが、体の中にがん細胞が一つあるとします。この細胞が1cmになるまで1年半という時間で進行するのです。がん検診の項目や精度は改善されていますが、まだ1cm以下のがんを検出する精度は高くありません。一般的に早期がんと呼ばれるがん細胞の大きさは2cm以内です。1cm〜2cmの大きさでがんを早期発見するにはがん検診を1年〜2年おきに行うのがベストとなります。

がんと聞くと「何年生きられるのか」と不安になる方もいるでしょう。がんに罹患してから何年生きられるかというのは「5年生存率」というもので表されます。5年生存率とは、あるがんと診断された人が5年後に何割生存しているかを表しています。2020年3月に国立がん研究センターが公表した「全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療例について5年生存率、10年生存率データ更新」を見ると全部位・前病期の5年生存率は68.4%でした。がんは発症する部位や発見されたステージで生存率が異なります。例えば、膵臓がんです。膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、症状がでません。体調が悪く検査したら膵臓がんの末期だったということも珍しくありません。一方、前立腺がんは比較的早期発見しやすく、ステージによる予後もあまり影響ないといえます。実際、2020年3月の発表で前立腺がんに関してはステージ1〜3まで5年生存率が100%という結果でした。

さらに乳がんのステージ1も同様に5年生存率100%という素晴らしい結果を出しています。乳がんは30〜40歳代の女性で好発しやすい病気で、乳がん検診など積極的に自治体が主催して推奨している地域があります。もちろんテレビやラジオでも乳がん検診の重要性は啓蒙されており、結果として乳がん検診を受診する人が増え、ステージ1という早期発見につながっていると考えられます。

  • がん検診にはどんなものがある?

がんについて話を進めてきましたが、ここからは肝心ながん検診についてです。実際にがんを発見するためにどのような検査が必要なのでしょうか。早期発見できる検査を中心に紹介していきます。

▲血液検査

がん検診における血液検査は大きく2種類に分けられます。医療機関で体調不良者へ行う血液検査とがんに特化した血液検査です。体調不良者へ行う血液検査では、白血球や赤血球の量を測定し体のどこで異常が起きているか検査しています。他にも腎臓の値や肝臓の値をみて臓器に異常がないか検査しているのです。

がん検診に特化した血液検査はがん検診を受けたくても時間がなくていけない人へ向けた検査です。血液1滴で13種類ものがんを見つけられるのです。原理は血液中のマイクロRNAというものを使います。マイクロRNAは、物質を表現している記号のようなもので健常な人のマイクロRNAとがん患者のマイクロRNAは異なります。また、がんの種類によりパターン化されたマイクロRNAが見つかることを研究で明らかになったのです。

このことからマイクロRNAを用いて、すでにパターンが特定されているがんの発見に活用しているのが、血液を用いたがん検診です。がんの検出率は99%といわれており、血液採取から2時間で結果が出るため実際に臨床の現場で大活躍すると期待されています。

血液を用いたがん検診は血液1滴で13種類ものがんを発見できるため、コストパフォーマンスが良いです。他の検査では、肝臓がんは発見できるけど前立腺がんが発見できない・胃がんは発見できるけど膵臓がんは発見できないなど一長一短がありました。がん検診において必ず発見できるという保証はできませんが、発見しやすくなったのは人類にとって大きな一歩ではないでしょうか。

▲CT検査

体の内部構造を観察してがんがないか判断します。一般診療所ではCT装置がないことも多く、大きな病院へいかなければできない検査の一つです。

▲超音波検査(エコー検査)

軟組織へがんができている疑いがある場合、超音波検査をします。軟組織内に異物があるか調べられます。超音波検査は熟練した技術が必要なため、検査する医師によりばらつきが出ることもあります。

  • がんは治る時代へ

がんについて少しは見方が変わりましたか?がんは確実に治る病気へと変わっています。しかし、がんで不安な日々を過ごしたくはありませんよね。少しでも不安を感じたら、がん検診を受けてみませんか?

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