健康格差が広がる原因は?個人でできる対策を紹介します

世界中で格差が広がっています。日本も例外ではなく、格差が広がっており政府は格差を解消しようとあらゆる政策を打っているのです。今回は数ある格差の中から健康に関連する健康格差について紹介していこうと思います。健康格差を個人レベルで解決するにはどうしたら良いでしょうか。気になる方は読み進めてください。

●全国で広がる健康格差とは?
日本国内では、教育格差や所得格差など社会的状況で格差が生まれています。社会情勢の研究が進み、社会経済状況と健康状態には相関性があるとWHO(世界保健機構)も表明しています。実際に文献を調べてみると、「所得格差が一定以上大きくなった結果、健康への影響も大きくなっている(Kondo N, Sembajwe G, Kawachi I, van Dam RM, Subramanian SV, Yamagata Z. Income inequality, mortality, and self rated health: meta-analysis of multilevel studies. British Medical Journal 2009;339(nov10_2):b4471-.)」ことや、「所得が低く地域の人と社会関係を上手に築けず孤立していると、死亡リスクが高く、結果的に寿命が短くなる(Saito M and Kondo N(Equal contribution), Kondo K, Ojima T, Hirai H. Gender differences on the impacts of social exclusion on mortality among older Japanese: AGES cohort study. Social Science and Medicine 2012;75(5):940-5.)」などがわかっています。
▲具体的な格差の条件
健康格差が広がる要因にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。まず明確なのが所得です。所得が低い人は高い人と比べて、健康診断などを受診する機会が少なくなります。結果的に病気の早期発見・早期治療ができなくなるため寿命が短くなってしまうのです。教育年数が短い人は、長い人と比べて死亡リスクが1.5倍高いという結果が出ています。また、通勤時間が長い人は短い人と比べて死亡リスクが高いというデータもあります。
▲なぜ格差が生まれるのか?
では、なぜ所得や学歴が健康状態へ影響するのでしょうか。基本的に収入が少ないと、健康維持に欠かせないサービスを購入できません。日本の医療制度はフリーアクセスと言われるほど簡単にアクセスできるもので、どこでも誰でも好きな医療機関を受診できます。これは国民皆保険制度が整っているからです。国民皆保険とは、国民全てが何かしらの保険に加入しており、それにより一部負担金のみで医療を受診できるという制度です。しかし、現実には約160万人ほど無保険者がいるとされています。これにより約160万人は医療を受けることが難しくなるのです。さらに、所得の少ない人は病院の受診回数が少なく、体調が悪く医療機関を受診すべきときでも受診控えをしていた可能性があります。具体的にパートやアルバイトなど不安定な仕事についている人は医療機関の受診回数が少ないだけでなく、健診の受診率も低いことがわかっています。医療サービスの利用抑制は健康悪化につながるため、健康格差が広がってしまいます。

●様々な要因が関わる健康格差
肉体労働をしている人と事務作業をしている人、企業などで管理職をしている人では明確な健康格差が生まれています。社会的立場が高い人の健康状態は良い期間が長いですが、社会的立場が中程度または低い場合は健康状態に問題を抱えている人も多くなります。ある調査では、企業や官公庁に務める男性約9500人・女性約7700人のデータを分析しました。雇用形態や企業規模とストレスの関連を調べたところ、男性ではアルバイト契約の人・女性では契約社員や派遣社員の人がストレスを最も感じていたのです。日本では労働者の約35%gに相当する1800万人が非正規雇用者となっています。ストレスは生活習慣病や突然死などの原因となるため、問題視されるべきです。
ストレスが実際に仕事へどのような影響を及ぼしているか調べたデータがあります。結果をみると仕事のストレスが大きい男性は脳卒中のリスクが約3倍高くなることがわかりました。また、女性の場合は仕事のストレスが原因で脳卒中のリスクが5倍高くなりました。仕事とストレスの問題に皆さんも着目すべきではないでしょうか。
▲支出と栄養バランス
アメリカでは、所得が少ないと所得が多い集団と比べたとき死亡リスクが4倍も高くなるとされています。その原因としてあげられるのが栄養バランスです。特に海外では栄養状態が悪い人は総じて貧困層であるという結果が出ています。
日本において11000人を母集団として、各家庭の支出を4つの階層に分けました。各階層ごとにみていくと、家計支出が多いほど総エネルギー・脂質・タンパク質・炭水化物・カルシウム・ビタミン・食物繊維などを多く摂取しているというデータになりました。これは厚生労働省が示している食事摂取基準も超えるとされており、支出の多さと栄養素をとれているかには関係があったのです。逆に家庭の支出が少ない家庭ではどのような結果となったのでしょうか。女性に関しては家計支出が少ないほど、心臓病や脳卒中など循環器系の疾患を発症するリスクが高くなったのです。
▲人間関係
人間関係が豊かな人はそうでない人と比較して、風邪を引きにくく死亡率が低いことがわかっています。一方、そうでない人は他人とのコミュニケーションが疎になり、サポートを受けられず健康状態が悪化してしまうのです。また、社会的立場が高い人は相対的に人間関係が密で豊かだというデータがあります。日本国内でも同様の研究は行われ、友達との交流が少ない人は死亡リスクが高いとされています。
▲生活習慣と健康
生活習慣と健康は切ってもきれない関係にあります。生活習慣病という病気は生活習慣が影響し、発症するもので糖尿病や高血圧などの総称でもあります。社会的立場が高い人ほど、生活習慣がよく、健康的な行動を取っているとされています。学歴や所得が高い人ほど、定期的に運動をしているという研究結果もあります。その一方で、学歴や所得が低い人では喫煙率の高さや運動習慣のなさが目立っています。

●個人でできる健康格差解消法
このように健康格差は所得や学歴など様々な要因が関係しているのですが、多くの人はそのことに気付いていません。現代ではコミュニティーにおける信頼度や結束感などを「ソーシャルキャピタル」と呼ぶ傾向があります。事実、自分の周囲にいる人を信頼していますか?という問いを投げかけると多くの人は「いいえ」と答えるようです。自分が周囲の人へ信頼をおいていないと、そうでない場合と比較して高齢者が要介護になりやすいというデータが出ています。
健康格差について話を進めてきましたが、ここまで聞いてある一つの疑問にぶつかりませんか?生まれてきたばかりの子供はどうなのか・健康格差で優位な方を選んでいけば寿命は伸びるのかなど思う方がいるのではないでしょうか。結論からいえば生まれた家や地域によって病気のリスクが決まっているといっても過言ではありません。その理由として、日本は先進国の中でも貧困率が高く、上昇し続けているからです。子供時代に貧困だった人は大人になっても貧困である傾向が強く、幸福度も低いことが多いのです。子供時代の貧困は人生に影響を与えてしまうという結果もあり、大人はその事実をしっかりと理解しなければいけません。子供時代に問題となるのがいじめや育児放棄(ネグレクト)です。これらの経験がある子は大人を信頼しなくなり、適切な時期に適切なサポートを受けられず、学歴が低くなる傾向が強いです。その結果、所得も少なくなってしまうのです。
個人でできる健康格差縮小の方法としては、ストレスを貯めずに自分の好きな仕事を好きな時間する・地域など自分の周りのコミュニティーを大切にするなどが重要になります。

●健康格差解消には自分で動くことが大切
健康格差を縮小するために私たちができる第一歩は人との交流を増やすことです。遠方であれば電話をする・手紙を書くなどできることを一つずつやっていきましょう。人との関わりを保ちつつ、地域の中で自分の立場を上げていくと健康格差解消につながるのではないでしょうか。そして何より病気は早期発見・早期治療が重要です。身体の不調を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。

メドアグリケアからのメッセージ