がん検診で不安なあなたへ!がん検診の歴史と最新がん検診情報

日本の中で死因の第一位となるのが「がん」です。一昔前までは、がん=死ぬ病気というイメージがありましたが、最近ではどうでしょう。芸能人でも多くの人ががんの告白をして、職場へ復帰しています。また、みなさんの周りでもがんと戦っている方(通称:がんサバイバー)がいるのではないでしょうか。今回はそんながんの検診にスポットライトを当ててみます。

  • がん検診の今と昔

まず、日本においてがんの罹患者数は年々増加傾向にあります。その理由は高齢化です。少子高齢化の波に襲われている中、日本の高齢者増加率(高齢者が増える率)は諸外国と比にならないレベルで上がっています。しかし、これはあくまで見え方です。高齢者数の増加により日本の死亡者数が増加していますが、日本の医療水準は右肩上がりで上昇しているのです。その証拠として、人口の高齢化の影響を除いた年齢調整率で見ると、がんの罹患は2010年以降横ばいとなっています。死亡に関しては1990年代半ばをピークに減少傾向となっているのです。つまり、日本の医療水準が上昇したことでがんの検出が容易になり治療を続けたことで死亡数が減少傾向となっているのです。国内における5年生存率・10年生存率は年々上昇傾向となっており、がんの部位は問われていないです。

▲がんの歴史

そもそもがんについて議論が開始されたのは今から1世紀以上も前のことなのです。最初にがん研究会なる組織が旗揚げされたのは1908年でした。当時は明治時代で、ヨーロッパを中心にがんに対する関心が高まっていた時期でした。がんに対する国際的な動きもあいまり、日本でもがん研究やがん撲滅へ向けて動いていったのです。昭和33年には日本対がん協会が設立されました。がん研究会は、厚生労働省から「がん無料相談事業」なども委託されていました。

そんながん研究会が難航したのが募金活動です。学術集会など今で言うセミナーの開催や治療専門施設の建設などで莫大な資金が必要となりました。しかし、当時は明治〜昭和の時代です。がんよりも伝染病(はしか・風疹・水疱瘡・結核など)が主流となっていました。国民もがんよりも伝染病の方が怖いという認識だったのです。そんな中、大正11年に天皇陛下から当時の価値で1万円の寄付を受け、これがきっかけで募金活動が進んだとされています。

昭和9年にはがん専門の研究所と附属病院が西巣鴨に開院しました。募金を開始してから実に26年の歳月が掛かったのです。そんな研究所と病院も戦火の被害を受けます。昭和20年に起きた東京大空襲で、全焼してしまったのです。終戦後には銀座の南胃腸病院を買収し、再び診療を再開しました。銀座にある病院はがん治療の専門病院として名を馳せることになります。昭和37年、国立がんセンターや愛知県がんセンターが開設されます。地方にもがんを専門とする病院が多く誕生したのでした。政府も黙っていません。がん治療に対して補助金を支給するようになります。

  • がん検診の今

がんの検出率が上がった背景には、がん検診があります。がん検診が始まったのは1960年といわれています。当時の東北大学黒川教授が中心となり、宮城県内で胃がん検診用のX線装置搭載検診車で巡回検診をおこないました。東京都内では、1972年に御茶ノ水へ設立された「東京都がん検診センター」が中心となりがん検診をスタートしたとされています。その後、多摩がん健診センターも開設されました。

国立研究開発法人国立がん研究センターの運営するがん対策情報センターによれば、がん対策の基本として「がんの罹患率・死亡率を減少させること」としています。この目標を多圧制するために予防・診断・治療・緩和ケアなどの対策が取られているのです。その中でも重要視されているのががん検診です。がん検診を実施することで早期発見・早期治療につなげることができると考えられています。がん検診には「がん検診アセスメント」と「がん検診マネジメント」「受診率対策」の3要素が重要と考えられています。

▲がん検診アセスメント

がん検診アセスメントとは、質の高い検診をおこなうことです。有効性の確立した検診を実施するためにも、エビデンスに基づいたがん検診ガイドラインの策定をおこなっています。

▲がん検診マネジメント

がん検診マネジメントとは、徹底した精度管理をおこなうことで正しい結果を出すことです。がん検診マネジメントで不備があると、正しい検査を実施しても結果が異なる場合があります。

▲受診率対策

がん検診が正しくおこなわれ、正しい結果が出るようになっても受信者数が少ないのでは意味がありません。がんの死亡率を減少させるためには受診者の増加はもちろん、がんやがん検診に対する正しい知識を習得してもらう必要があります。患者教育を含めて受診率対策となるのです。

  • 日本のがん検診

日本におけるがん検診は対策型検診と任意型検診の2種類があります。対策型検診とは市町村などが代表して実施される検診です。人間ドックなどで自主的におこなう検診を任意型検診と呼びます。対策型検診は、有効性の確立されたがん検診を実施し、任意型検診は有効性が定かではない検診内容もあるのです。

対策型検診は1983年に施行された老年保険法により実施されています。当初は胃がん検診と乳がん検診のみ適用でしたが、次第に適用症例が増えていき、現在では肺がん・乳がん・大腸がん検診が導入されています。市町村主体ではなくても、人間ドックなどでもがん検診は実施されています。それらを全て合わせてもがん検診の受信者は40%と推測できます。

▲がん検診の実績は?

平成27年の資料にがん検診の実績がありました。胃がん検診は胃X線検査を実施します。そのうち、がんが見つかったのは0.12%でした。大腸がんは0.22%、肺がんは0.05%、乳がんは0.33%、子宮頸がんは0.04%という結果でした。

▲市町村主体のがん検診へ

がん検診は科学的に根拠のある検査法です。そこで国もがん検診を健康増進法に基づき、健康増進事業として市町村が実施できるようにしました。また、厚生労働省において「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、市町村による科学的根拠に基づくがん検診を推進しています。市町村が主体となり実施しているがん検診は胃がん検診・子宮がん検診・肺がん検診・乳がん検診・大腸がん検診があります。

胃がん検診は40歳以上が対象で、問診及び胃部X線検査を実施しています。子宮がん検診は子宮頸部の細胞診を実施します。20歳以上の女性が対象です。肺がん検診では、胸部X線検査や喀痰検査を実施します。40歳以上が対象で年1回行われます。乳がん検診は触診とマンモグラフィ検査を実施します。大腸がん検診では便潜血検査を行います。近年では、がんは2人に1人がかかるといわれることからがん検診の周知も進んでおり、年々受診率は増加しています。

▲民間のがん検診

がん検診は一つの検査で1つのがんしか調べることができません。そこで全身状態を一度の検査で把握できるCT検査やPET検査に人気が集まっています。CT検査は軟組織や硬組織の状態を一度の撮影で把握できます。身体をスライス状にカットした画像を構成し、医師により診断を受けます。PET検査は血液中にグルコースを注入して、がん細胞を観察します。がん細胞はグルコースを好む傾向があり、これを利用した検査なのです。2つの検査ともに、検査精度が高いため人気の検査となります。民間のがん検診ではこれらが行われることもあり、1回に10万円近くする場合もあります。

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