新型コロナウイルスワクチンの世界接種割合と接種のトラブル
新型コロナウイルス感染症の切り札として期待されたワクチン。政府は接種を進めていますが、感染者数はいまだ増加し続けています。東京都内だけでなく、大阪府などでも感染拡大が続き、今や国内で感染抑制をするのは困難となっているのです。そんなコロナを抑える起爆剤として期待されたワクチンは日本国内でどのくらい接種されているのでしょうか。また、世界ではどの程度接種が進んでいるのでしょうか。
- ワクチン接種までのヒストリー
日本国内で最初に新型コロナウイルス感染症患者が確認されたのが2020年1月です。その後、感染者数は徐々に増えていき国内感染が広がっていったのです。世界レベルの感染となり、各国も対応を迫られました。
日本政府はコロナワクチンを高齢者や基礎疾患を持つ人へ優先的に接種させる方針を固めます。2020年10月には欧米製薬会社とワクチン供給を受ける契約を結び、国内における接種順序の選定へ移りました。この時期、世界中でワクチン開発が進んでいました。それも異例のスピードです。アメリカのファイザー社はmRNAという遺伝子を使ったワクチンで、安全性を確認したうえで緊急使用の許可を出すと報道されました。イギリスのアストラゼネカ社とモデルナ社のワクチンも最終段階へ進んでいると報道されたのもこの時期です。ロシアには、スプートニクVというロシアだけが承認しているワクチンがありました。
このようにワクチン開発が進む中、政府は国民全員が接種できる量のワクチンを来年前半までに確保する方針を固めます。
内訳としてはモデルナ社が2500万人分、ファイザー社が6000万人分、アストラゼネカ社が1500万人分です。その後、住民票登録の市町村が窓口となり、接種する方向性を固めました。
▲歴史が動いた特例承認
2020年12月18日、ファイザー社は日本での使用へ向け特例承認の適用を求めました。特例承認とは、通常1年ほどかかる医薬品の審査手続きを簡略化して、早期に承認することを意味します。適用するには病気の蔓延を防ぐために緊急使用する必要があること・代わりの医薬品がないこと・アメリカやイギリスなど日本と同水準の承認制度がある国で承認されていることという3つの条件をすべて満たす必要があります。2009年に新型インフルエンザが流行した際、初めて適用され、2種類のワクチンがたった3ヶ月で承認されました。新型コロナウイルス感染症関連では、治療薬としてレムデシビルが2020年5月に適用され、それ以来の特例承認申請となりました。
▲海外と日本の違い
海外ではファイザー社・モデルナ社・アストラゼネカ社の3社が中心となり、ワクチン接種が加速しました。ファイザー社がアメリカ・ブラジルで行った臨床試験では、ワクチンに夜予防効果はおよそ95%という結果が出たのです。さらに、12月2日には世界で初めてイギリスでワクチンが承認され接種が始まりました。アメリカでは12月14日より接種が始まったのです。
日本ではこの頃、特例承認の申請真っ只中で国産ワクチンにも期待が集まっていました。しかし、日本は諸外国と比較して感染者数が少ないという背景があり臨床試験への参加人数が集まらないという問題があったのです。感染者が増えることは望ましくないですが、ワクチン開発に関していえば感染者数が一定数以上必要だったのです。
- 接種から接種に関連する諸課題
2021年2月より、医療従事者を対象に先行接種が始まりました。医療従事者370万人のあとに高齢者3600万人、その後、基礎疾患のある人が820万人いて40歳以下の健康的な人となります。しかし、接種は思うように行きません。世界中でワクチンが必要とされる中、日本だけが接種を優先できないのです。国産ワクチンがない中では、ワクチンを輸入しなければいけないのです。医療従事者の先行接種・高齢者への先行接種と自治体や国が中心に行う接種はありますが、職場や各種団体による職域接種もスタートしました。温泉組合や商工会など各種団体が職域接種を実施したため国内のワクチン数はさらに少なくなりました。
▲接種側の人材不足
接種に関連する諸問題の一つに接種側の人手不足が挙げられます。接種をするには問診が必須となり、問診する医師が確保できない自治体が相次いだのです。そのため、地域医師会へ協力を得たのですが医師会だけでは1億人へ2回接種するという大きな問題を解決できなかったのです。さらに、接種をする看護師や会場案内スタッフ・急変者へ対応する看護師など多くの医療従事者が必要な接種となったのです。
▲接種に対する副反応
ワクチン接種後に出る反応は副反応と呼ばれています。多くは接種後の注射部位の痛みや腫れですが、中には高熱が出る場合や頭痛・疲労などの全身症状が見られることもあるのです。これらは軽度の服反応ですが、中には重篤な副反応(アナフィラキシーショック)を起こすこともあります。アナフィラキシーショック発生時には、現場の医療従事者が対応するため多くは問題になりません。
アナフィラキシーショックやワクチンの副反応との関連性はわからないですが、ワクチン接種後に突然死亡するという事例もあります。2021年8月8日現在で「ワクチン接種と死亡の因果関係は認められない」が、死亡した件数は1002人いました。ファイザー社製で100万人あたり19.6人、モデルナ社製で100万人あたり1.2人という結果になりました。すべて厚生労働省が因果関係を認めておらず、接種に影響を与えるものではないと見解を出しています。
▲接種後の生活
ワクチンの2回目接種後、2週間を経過すれば体内で抗体が産生されるとされています。ここで問題となるのが接種後の日常生活です。接種を終えたからといって、コロナ以前の生活ができるわけではありません。コロナ感染の恐怖やリスクは未だ続いているのです。
- 2回接種しても感染するブレイクスルー
新型コロナウイルス感染症はワクチンを2回接種しても、抗体が産生されても感染を完全に防ぐことはできません。あくまで重症化を予防できるのです。では、2回接種を終え、抗体が産生されているであろう人が感染する「ブレイクスルー感染」はどのように起きているのでしょうか。
▲アメリカの接種率とブレイクスルー
アメリカでは2021年8月現在、62%が接種完了しています。しかし、7月6日〜7月25日にマサチューセッツ州バーンステーブル郡で陽性となった469検体のうち、74%がワクチン接種済の患者からとった検体でした。アメリカでは、店内であればマスク着用が義務付けられていますが、屋外であればマスク着用の義務がありません。アメリカは人口10万人あたりの新規感染者数が最も多かったです。
▲フランスの接種率とブレイクスルー
フランスは国内接種率が70%でした。世界の中ではイギリス・中国・カナダに並びますが、人口10万人あたりの新規感染者数は未だ増加し続けています。フランスといえば3年後にパリオリンピックを開催することで知られています。東京オリンピックの閉会式では、次のオリンピック開催国であるフランスへ映像が飛びました。エッフェル塔の近くには多くの国民が集まり歓声を上げてパリオリンピック開催を喜んでいました。そうです。パリでは屋外において人々が何人で集まっても良いとなっているのです。厳密には、ヘルスパスというパスがあり陰性証明やワクチン接種など基準を満たした場合に5000人を限界として人が集まって良いとされています。
しかし、パリは日本よりもワクチン接種率が高いにもかかわらず、死亡者数や重症化率が高くなっています。
- コロナ以前の生活に戻るには…
コロナ以前の生活に戻るためには、ワクチン接種だけに頼ってはいけません。ワクチンもさらに効き目のあるワクチンや、治療薬が開発されることでしょう。ワクチン接種の割合が高い国を見ればそれが明確です。引き続き感染対策をしっかりとして日常生活を送っていきましょう。
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