在宅医療の問題の解決策!これが地域の課題となっている

在宅医療が推進されるようになり、しばらく経ちました。高齢化は止まることなく、人口あたりにおける高齢者の割合は増加の一途を辿っています。人口あたりの病床数は国内でも十分とは言えません。新型コロナウイルス感染症の流行時にも、医療機関の収容可能人数が足らないという話が問題となりました。そこで、今回は在宅医療を受ける高齢者が増える今、在宅医療における問題点や解決策にどのようなものがあるのか紹介していきます。

●厚生労働省における在宅医療の問題点について

厚生労働省は平成23年2月15日の厚生労働省保健局医療課事務連絡で、「在宅医療における患者紹介等について」という資料を公開しています。その中では、在宅医療における患者紹介等問題点として次のことが書かれています。

「最近、在宅医療を行う保険医療機関が在宅医療を要すると考えられる者が多く入居する集合住宅等を所有または管理している民間事業者及び当該事業者と特定の関係のある事業者との間で、患者の紹介に係る有償契約を結び、当該事業所から集中的に患者の紹介を受けているとの情報が寄せられているところです。こうした行為については、患者が保険医療機関を選択する際に、当該事業者により一定の制限が行われる恐れがあり、また、不必要な往診を行う等の過剰な診療を招く原因となる可能性があること等から、望ましくない場合があると考えております。各地方厚生局におかれましては、患者の選択を制限する恐れがあると考えられる事案、または過剰な診療をする恐れがあると考えられる事案を把握されました場合には本省医療課企画法令第一係までご連絡いただくとともに、本事務連絡の内容を保険医療機関へ周知する等の対応をよろしくお願いいたします。」

つまり、高齢者が入居しているような特別養護老人ホームや有料老人ホームなどと専属契約をする代わりに、施設長や理事長などへ一定額をバックマージンとして支払っているという事例です。実際に厚生労働省で紹介している事例では20%のキックバックを要求している施設があると明記しています。そうした事例で契約する場合、キックバック分を取り戻そうと、入居者300名を毎月4日程度で診察しているという実態とかけ離れたケースも散見されるようです。このような問題は診療の独占契約となり、患者が保険医療機関や保険医を自由に選べる選択を侵害する恐れがあります。

●地域で抱える在宅医療の問題

現在、世界ではSDGsを推進する動きがあります。SDGsとは、持続可能な課題を解決していこうという世界レベルの目標になります。地域ごとにSDGsはあると思っていて、それぞれの地域で在宅医療に関するSDGsとも言える課題が山積みとなっています。

例えば、滋賀県のケースを見てみましょう。滋賀医科大学の発表した「在宅医療の現状と課題」で滋賀県の問題が明らかとなっています。

▲在宅医療の施設基準問題

滋賀医科大学の資料によると、医師の往診へ診療報酬が適応されるようになったのは1981年です。その後、2年に一回の改定を繰り返し、2006年に在宅支援診療所が在宅医療の中心的な役割を担う機関への加算として認められるようになりました。在宅支援診療所として登録するには、24時間体制の往診を備えるだけでなく、常勤医師が3名以上、過去1年間の緊急往診実績が5件以上、過去1年間の看取り実績が2件以上という施設基準があります。

事実、これら施設基準は医療機関にとって高いハードルとなっていました。この背景には「高品質の在宅医療の提供」という本来の狙いをしたいが、内容が不透明な医療機関を増やしたくないという行政の葛藤がありました。施設基準として在宅支援診療所になるには、患者へ24時間ケアをするという付随責任も負うこととなるのです。在宅医療の品質を維持するために重要になるのです。

▲行政レベルの問題

滋賀医科大学の資料によれば、滋賀県内では病院間・病院、診療所間の退院調整ができていないことや、緊急時の対応ができていない点、在宅医療を担う医療・保健・福祉の社会資源が不十分な点、多職種連携が進んでいない点、24時間対応が難しい点、医療・保健・介護従事者の技術が向上していない点などが問題として挙げられています。他にも在宅医療で重要となる看取り体制が不十分なことが問題となっています。

医療や介護では自己負担金がありますが、患者の中には介護保険による制約で自己負担金が大きく、経済的な理由で必ずしも必要回数の往診を受けられない患者がいる点も問題となっています。

▲医師の過剰勤務

医師の過剰勤務は外来でも問題となっています。在宅医療でも同様です。24時間体制を強化するために、医師が過剰なサービスをするケースがあります。中には、患者へ直接電話番号を渡して連絡を取れるような体制を整えておく配慮をしていますが、それは医師にとって時間的制約が大きくなるのです。在宅医療は医師1人ではできず、多職種連携が重要となります。

▲訪問看護の問題

訪問看護とは医師の指示の下、在宅療養を続けている患者へ看護を提供するサービスです。在宅医療の推進に伴い、医師の代わりとして看護師が気管カニューレの交換や点滴を行うようになりました。一般的な看護業務と比べて、在宅医療では負担が大きくなってしまうのです。

●地域医療におけるSDGs

滋賀県の問題はあくまで氷山の一角です。地域全体で考えると、まずは地域包括ケアシステムの確立が在宅医療の前提としてあると考えるべきです。在宅医療は国や自治体、市町村などが中心となっていますが、単独では行えません。地域の介護や医療の専門職がネットワークを確立して、情報共有を行うべきなのです。

2007年内閣府により発表された「高齢者の健康に関する意識調査」をみると、治る見込みがない病気になった場合、自宅で最期を迎えることを希望する人の割合は約55%でした。一方、病院や診療所など医療機関を希望する人は約25%となっています。しかし、2011年の厚生労働省人口動態調査の結果をみると、在宅死亡率は約14%です。これは国民のニーズと実際の数値がかけ離れていることがわかりますね。

国民のニーズとかけ離れている背景には、患者それぞれの価値観や状況があります。2008年厚生労働省「終末期医療に関する調査」では、自宅で最期まで療養することは「実現困難である」と回答した人は約66%となっています。主な理由としては、介護する家族に負担がかかることや病状が急変したときの対応に不安感を抱いていること、往診してくれる医師がいないことなどが挙げられます。

2025年には団塊世代が75歳以上になり、医療や介護が必要となる人の割合が一気に増加します。しかし、現在の医療・介護サービスでは不十分です。在宅医療を地域で行うためには、住民が主体となり医療・介護サービスを適切に受けるための必要な知識を習得することが重要です。在宅医療・介護の推進と合わせて、人生の最終段階における心構えや本人の意思を尊重して準備することも重要です。地域によっては高齢者の独居・夫婦のみの生活・認知症の高齢者増加など地域ごとの問題が浮かび上がるでしょう。高齢者を取り囲む問題には地域差があるため、それぞれの自治体や住民が主体となり動く必要があります。

●在宅医療は1人でできない

在宅医療は1人では推進できません。必ずケアマネージャーさんをはじめとする多くの職種が関わるのです。医師や歯科医師・看護師・薬剤師など訪問事業を行っている医療職は増えています。多職種連携を推進して、在宅医療を進めていきましょう。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。

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