最期をどこで迎える?看取りの場所について考えよう。
皆さんは人生の最期をどこで過ごすか考えたことはあるでしょうか。「看取り」と聞くと、「自分にはまだ早いのではないか」と思われる方も多いと思いますが、今のうちから話し合っておくことがとても大切です。
今回は看取りや最期を迎える場所について解説します。ぜひこの記事をきっかけに、ご家族とも話し合っておくことをおすすめします。
看取りとは
平成26年に「公益社団法人 全国老人福祉施設協議会」が発表した看取りの定義として、「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援する」とされています。
つまり終末期の方に最期まで寄り添ってケアしていくことを看取りと言います。 以前は終末期になると、点滴や酸素などたくさんの医療行為を受けながら病院で療養することがほとんどで、延命治療をしながら最期を迎えることが多かったです。
延命治療をすると、途中で中断することは容易ではありません。点滴や人工呼吸器など、たくさんの機器に繋がれ、意思疎通が取れないまま過ごすことに、苦痛を感じている方もたくさんいました。
「本人だったらこんなことは望まないのではないか」「たくさんの機械に繋がれて苦しい思いをしているのではないか」と、辛い思いをしているご家族も少なくありません。
つまり医療技術の進歩によって、救われた命もたくさんありましたが、「生かされている」ということを苦痛に感じている方もいたということです。 風向きが変わったのは、平成18年4月の介護報酬改定において「看取り介護加算」ができたことです。その人らしい最期を迎えるために、医師の指示で適切な処置を行い、穏やかに死を迎える「看取り」の考えが広がりました。
訪問診療や訪問看護、介護サービスを利用することで、自宅や施設での看取りが可能となりました。
ターミナルケア・緩和ケアとの違い
似たような言葉で「ターミナルケア」があります。ターミナルケアは終末期医療とも呼ばれ、医療ケアを指します。積極的な治療や延命治療は行わず、痛みの緩和など本人の苦痛を取り除くことです。
また「緩和ケア」という言葉もあります。緩和ケアは、がんの方に対して身体的・精神的な緩和を優先させ、本人が最期まで自分らしい日々を送れるよう支援していくことです。がんの末期からではなく、がんと診断されてから同時進行で緩和ケアを受けることもあります。
病院で最期を迎える人が8割
厚生労働省が発表している「令和元年 人口動態」によると、日本人の死亡場所は病院が71.3%、老健・介護医療院が3.0%、老人ホームが8.6%、自宅が13.6%となっています。約7割の方が病院で亡くなっていることがわかります。オランダでは約4割、フランスは約6割であり、日本は世界的に見ても、病院で亡くなる数が多いです。
日本財団の「人生の最期の迎え方に関する全国調査結果」によると、死期が迫った時に人生の最期を迎えたい場所として、自宅が58.8%、医療施設が33.9%と回答しています。また避けたい場所として「子の家」42.1%、「介護施設」34.4%と回答しています。半数以上の人が、住み慣れている自宅で過ごしたい一方、子供達に迷惑をかけたくないと考えている方が多くいらっしゃいます。病院だと医療者がいるため、家族の負担も少なく、安心感が得られるため、病院を選択する方が多いことがわかります。
看取りの場所はどんなところがある?
看取りの場所は、病院というイメージが強いかもしれませんが、そんなことはありません。
看取りの場所を考える上で、どんな場所があるのかを紹介します。
病院
一つ目は病院です。病院と言っても様々な種類があり、病院の機能によって入院できる状態や期間が異なりますが、看取りを迎える病院としては療養型病院になります。急性期治療が終了し、病状が落ち着いた方が入院できる病院です。
療養型病院の中には、療養病棟、障害者一般病棟などがあります。緩和ケア病棟は、がん末期の方が入院できます。病院のため、医療行為が必要な方が入院し、中心静脈栄養や麻薬等で疼痛コントロールもしてくれます。
療養型病院は国で定められている医療区分によって、医療度が高い方を優先的に受け入れています。
医療行為がないと病院には入院できない。
介護施設
二つ目は介護施設です。介護保険を利用して入所する施設で、最近は看取りができる施設が増えてきました。
看護師がいる施設であれば、看取りをしてくれるところが多いでしょう。例えば、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、ナーシングホームなどが挙げられます。訪問診療を利用しながら、医療行為を実施してくれる場合があります。ただし介護施設のため、病院と比べると行える医療行為は限られてきます。
看護師がいなくても、医療行為を実施せず、自然で看取る形であれば受け入れできるところもあります。どの介護施設でも看取りができるというわけではないため、事前に確認が必要でしょう。
自宅
三つ目は自宅です。住み慣れた自宅で最期を過ごしたいという方は多いですが、自宅で看取りができると知られていないことがあります。訪問診療や訪問看護を利用することで、医師の指示によっては点滴などを行ってくれます。24時間・365日対応できる事業所もあるため、安心して過ごせるでしょう。もしも重介護の場合はヘルパーなどを利用することで、家族の負担を減らすことができます。
訪問診療を決めずに亡くなってしまうと、警察を呼ばなければならず、残されたご家族が辛い思いをするかもしれません。
現在のかかりつけ医や担当ケアマネジャーへ相談してみましょう。
事前に本人と話し合っておくことが大切
元気な時に「自分が最期をどこで過ごしたいか」を考える機会はあまりないかもしれません。しかし話ができるうちから、事前に本人・家族で話し合っておくことをおすすめします。
2018年頃から、治療やケア・価値観などについて、本人・家族・関係機関が話し合いをしていく「人生会議」の普及が取り組まれています。厚生労働省でも大きく取り上げられており、内容や手順などの動画も紹介されています。
人生会議を行うことで、本人が後悔しない最期を過ごせたり、残されたご家族の負担が減らせると言われています。
病状が進んでくると意思疎通が取れず、しっかりと話し合いができない可能性があるため、本人が意思決定できるうちに話し合いをしておきましょう。
最期をどこで過ごすのかは、本人にとってとても大切な選択です。日頃から話し合いをして、
メドアグリケアグループでは、医師・看護師などの様々なスタッフがチームとなり、患者様やご家族に寄り添った医療を提供しています。
24時間体制の訪問診療も行っており、住み慣れた自宅で生活できるようにサポートいたします。そしてこれからどんな生活を送りたいか、どんな最期を過ごしたいかなど、一緒に考えるお手伝いをさせていただきます。
「病院に通院するのが大変」「これからどんな風に生活していけばいいかわからない」など些細なことでも構いません。お気軽にお問い合わせください。