訪問看護のサービス内容とメリットとは?
1.訪問介護と訪問看護のサービスの違い
普段から馴染みが無いと「訪問看護」と「訪問介護」の違いがわからないという方も多いかもしれません。人によっては違いがわからないままサービスを受けている人もいます。しかし、この2つはサービス内容に大きな違いがあります。今回は、具体的なサービス内容の違いと、その中でも訪問看護を受けるメリットについて紹介したいと思います。
①医療処置と介助という違い
「訪問介護」は、サービス利用者の居宅に訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問して、食事や入浴、歩行、排泄の介助などを行います。掃除や洗濯などの家事を手伝うこともあり、生活を送るために必要なことをサポートします。
特定の研修を受けたスタッフは淡(たん)の吸引ができるのですが、基本的に医療行為を行うことは禁止されています。爪切りや耳掃除、血圧測定は医療行為とみなされており訪問介護ではできません。
「訪問看護」は、サービス利用者の居宅に医療資格を持つスタッフが訪問して、医療的な処置を行います。また、体の拘縮予防や機能維持のためのリハビリテーションに加えて、食べるのに大切な舌や喉を鍛える嚥下訓練を受けることもできます。医師に相談して入浴や食事、排泄の介助をサービス内容に含めることも、もちろん可能です。
また、精神的な症状がある方は、看護師に服薬指導や生活相談をすることができます。外出が難しいという方でも看護師の援助やアドバイスによって、楽に生活を送れるようになったというケースが少なくありません。
②医師の指示によるケアが受けられる
訪問看護では医師が発行する「指示書」に基づいて医療処置を行うため、利用者はその時の症状に合わせたサービスを受けることができます。指示書の内容はかかりつけ医と相談しながら決めることができるため、利用者が負担に思う必要はありません。
リハビリテーションの内容も指示書に基づいて行われます。医師の指示による効果的なリハビリテーションを定期的に行うことで、モチベーションを維持し、続けることが期待できます。
2.訪問介護を受けるメリット
訪問看護には、医療処置を受けられること以外にもたくさんのメリットがあります。数ある中から一例をご紹介します。
①生活環境を維持できる
慣れ親しんだ環境で過ごしながらも、医療的なケアを受けることができます。普段寝たきりの方や、車椅子などで移動が難しい方も通院の負担が減ることで、安心してサービスを受けることができます。最近はできるだけ入院や通院をしないで、自宅で最期まで過ごしたいと願っている方も増えており、終末期医療(ターミナルケア)を望まれる方もいます。
高齢者の方は突然大きく環境が変わると、精神的に疲れてしまうことが多々あります。しかし、環境を変えないことによってその負担を減らし、健康維持のために続けてみようという前向きな気持ちになりやすいです。自宅であればサービスを受けながらも、すぐそばにご家族が居るため、リラックスしていられるというメリットもあります。
②チームでのケアを受けられる
生活環境を維持しつつも、訪問看護では「チーム医療」を受けることができます。スタッフ同士の連携はもちろん、医師やケアマネージャーなどもチームとなって支えます。訪問した際に新たな症状を確認した場合は、かかりつけ医に素早く連絡するなど迅速な対応が可能です。
訪問看護を受けたいと思っている方の中には、身体的な問題や精神的な問題のために外出が難しい状況の方も多いでしょう。しかし、訪問看護を受けることで社会という輪の中から孤立することを避けられます。そのような他者との関わりは、生活を豊かにしていくことに繋がるのではないでしょうか?
③家族の負担が少ない
ご家族では医療的な処置をするのが難しいため、容体が急変しないか不安で目が離せないという方がいます。また、通院の付き添いや送り迎えにかなりの時間を割いている方も多いでしょう。しかし、訪問看護サービスを導入することによって、そのような時間や、急激な病状悪化を防ぐことができます。日常生活のなかで体調について気になる点があれば、早めに訪問看護スタッフに伝えておくこともできます。
事前に決められた訪問日時にスタッフが伺うため、病院などでありがちな事前に予約する必要も無くなります。このように、ご家族の負担を減らすことで長期的な支援のお手伝いができます。真面目な日本人にありがちですが、頑張りすぎて「全て自分でやろう」として追い込まれてしまうご家族の方もいらっしゃいます。しかし、専門のスタッフに頼むことにより、生活に余裕が生まれて、上手に向き合うことができるようになります。一人で抱えこんでしまわずに、訪問看護サービスの利用を検討してみてください。
3.医療従事者による専門的なサポート
訪問看護事務所には看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が在籍しています。リハビリテーションと言っても、内容によって担当するスタッフが違うのをご存知ですか?
理学療法士は、怪我や病気や高齢に伴う身体能力の低下によって、基本的な動作能力の低下に対して回復するようなサポートを行います。歩く、座る、立ち上がるなどの日常的な動作のリハビリテーションが中心です。
作業療法士は、作業を通して身体や心のリハビリテーションを行います。内容としては日常生活での動作や作業を用いたり、手芸のような手先を使うようなレクリエーションから訓練したりします。精神障害がある方のサポートも担当することができます。理学療法士よりも繊細な動きのリハビリテーションが中心です。
言語聴覚士は、病気などでコミュニケーションが困難な方に向けて、発声や発音、聴覚、嚥下などのリハビリテーションを行います。コミュニケーションが困難になってしまい本人が辛い思いをしていても、周りの人は気付かないこともあります。ですが、言語聴覚士と訓練することで気持ちが伝わり、家族のコミュニケーションが前よりもスムーズになります。
訪問看護では、その人の状況や症状に合わせたリハビリテーションを受けることができます。サービスを受けるなかでニーズが変化しても、様々なスタッフが居るため、変化に対応することができるのもメリットです。
4.サービスを受けるために必要なこと
訪問看護のサービスを受けるには、かかりつけ医からの「指示書」が必要です。医師に伝えて発行して貰いましょう。また、サービス利用のさいに介護保険か、医療保険のいずれかを使用することができます。介護保険を未取得という方は、ご本人かご家族が市区町村に申請し認定して頂く必要があります。
医療保険でも訪問看護を利用できるケースもありますが、回数や時間数に制限があり、自費での利用が必要になる可能性もありますので、状況に合わせて確認してみてください。現在40歳以下の方は介護保険の使用ができないため、自動的に医療保険か自費での利用になります。
メドアグリケアグループでは、「断らない医療」をモットーに、これまで医療や介護を提供してきました。ひとりひとり充分に時間をかけて、訓練された五感を用いながら、大切なお身体を拝見させていただいております。より丁寧な診療を心がけて、迅速に動きつつも、患者様やご家族の要望にあった医療を提供するようにしています。
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