認知症でも一人暮らしはできる?
近年一人暮らしの高齢者が増加しています。そんな中で「認知症」と診断された場合、どうすれば良いのでしょうか。
住み慣れた自宅で生活したいと思う一方、自宅での生活が大変になってくることもあります。認知症でも一人暮らしをすることはできるのでしょうか。
今回は、認知症になった時の問題点や実際に認知症でも一人暮らしをしている事例を紹介します。一人暮らしができるか悩まれていた方は、ぜひ参考にしてください。
一人暮らしの高齢者は増えている
「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上がいる世帯は2558万4千世帯あります。世帯構造は、「夫婦のみの世帯」が827万世帯で、次に「独居世帯」が736万9千世帯になっています。年間で見ると、三世代家族がどんどん減少していき、独居世帯が増えています。
高齢者の独居世帯が増えている理由として、まずは人口の高齢化が挙げられます。また配偶者との死別や、未婚率が高まっていることから、年々独居世帯が増えていると言えるでしょう。以前は三世代家族が多かったが、ライフスタイルや仕事の変化から、世帯構造が変化しています。
高齢者が一人暮らしをすることは、様々なリスクがあります。病気や認知症になっても、本人の状況がわからず、異変に気付きづらいです。家族が毎日連絡を取れれば異変に気づくことも可能ですが、難しい場合の方が多いでしょう。近所の方との交流や介護サービスを利用することで、他社との関わりを増やすことができます。
認知症になった場合の問題点とは
認知症とは、病気や障害により脳の働きが悪くなり、認知機能が低下する病気です。物覚えが悪くなる、日常生活に支障が生じるなどがあります。また意欲が低下することがあり、うつに近い状態になることもあります。
もし認知症と診断された場合、どのような問題があるのでしょうか。
◆外へ徘徊して自宅へ戻れなくなる
一人で外に出たが自宅がわからなくなり、警察に保護されるケースが増えています。そのまま事故に巻き込まれ、怪我や行方不明になっている方も少なくありません。
警視庁が発表した「令和元年 行方不明者状況」によると、行方不明者が23,906人。そのうち認知症の方が17,479人というデータがあります。
◆火事の危険性がある
日常生活で火の消し忘れが増える可能性があります。一番多いのは調理中のガスコンロの消し忘れです。
ガスコンロをIHに変えるという手もありますが、認知症になってから新しく機械の操作を覚えるのは大変です。そのため早いうちから、IHに変えておくというのも一つでしょう。
ガスコンロによっては、長時間火がついていたら自動的に火が消える物もあります。先を見越して、安全機能があるガスコンロを選択したり、なるべく火を使わないで済む機械を選ぶようにしましょう。
◆孤独死の可能性がある
独居世帯が増えていることで、孤独死の件数も増えています。異変があっても、助けを呼ぶことができず、そのまま亡くなってしまうためです。また他者との関わりがないと、異変に気付きづらいです。
孤独死の場合、警察も介入しなければならず、残された家族は辛い思いをすることがあります。
◆ごみ屋敷の可能性がある
認知症になると、意欲が低下し、片付けができなくなることがあります。きっかけは曜日や時間がわからなくなり、ゴミ出しが出来ずにゴミが溜まり始めることも。
また認知症になると「収集癖」で不要な物を溜め始めることがあります。周りはゴミだと思っていても、本人にとっては必要であり、物を手放すことができなくなります。
◆車の運転で交通事故の可能性
高齢者による交通事故が年々増えています。認知症になると、判断力が低下し、運転はとても危険です。
そろそろ免許を返納しないといけないと思っていても、地方に住んでいると移動手段が少なく、車を手放せないと考えている方が多いのが実状です。
免許を返納すると、お住まいの市町村によって公共交通機関やタクシー代の助成があるため、確認しておくことをおすすめします。
◆健康管理が難しくなる
食事の栄養管理や内服管理に影響を及ぼします。
インスタント食品などばかり食べていると、栄養バランスが乱れる原因に。また自分で内服薬が飲めなくなることで、健康に影響が出てくることがあります。
◆金銭管理が難しい
認知症になると、お金の管理が難しくなります。財布に小銭がたくさん貯まっているようであれば要注意。小銭が出せず、お札しか出せなくなっているのかもしれません。そのような症状は認知症になると、よく見られる症状です。
社会福祉協議会が行っている日常生活自立支援援助や成年後見人などの利用も検討が必要です。
認知症でも一人暮らしはできる
認知症と診断されると、一人暮らしは難しいと考えてしまいがちです。認知症は徐々に認知機能が低下していく病気のため、一気に全てのことができなくなるというわけではありません。そのため診断後すぐは一人暮らしを継続できることが多いです。
中には近くに住むお子さんたちが交代で見守りをしているということもあるでしょう。ただ仕事や自身の生活を両立させながら、介護をするのはかなりの負担です。
そのため介護サービスを利用することで、一人暮らしを継続することができます。
今回は認知症の方が、介護サービスを利用して一人暮らしを継続したケースを紹介します。
【事例紹介】Aさん・女性(80代)
数年前に認知症と診断されましたが、一人暮らしで生活していました。
ある日自宅で転倒し、大腿骨骨折で入院。手術をしリハビリを続けました。
入院を機に認知症が進行。歩行は何とかできますが、一人での入浴や家事が困難。また内服薬の飲み忘れも目立つようになりました。
入院中に介護保険を申請し、要介護2と認定。Aさんは自宅での生活を強く希望され、複合型サービスを利用することにしました。
毎日月〜日曜は通所サービスを利用。入浴介助や看護師へ内服管理を依頼しました。自宅では朝食・夕食は配食サービスを利用することで、調理しなくても済みます。
複合型サービスは定額制で、介助をより必要とする方に適しているサービスです。
このように様々なサービスを組み合わせることで、ご家族の手を借りなくても、一人暮らしを継続することができています。
利用できる介護サービスは?
認知症でも利用できる介護サービスは以下の通りです。 ・訪問介護(ヘルパー)
・訪問看護
・訪問リハビリ
・訪問入浴介護
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・ショートステイ など 他にも小規模多機能や複合型サービスなどの地域密着型サービスを利用できます。
地域密着型サービスは、お住まいの市町村でしか利用できません。市町村によって利用条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
認知症と診断されても一人暮らしを続けることは可能です。もしも認知症と診断されて、一人暮らしを迷っているのであれば、介護サービスの利用を検討してみましょう。
メドアグリケアグループでは、在宅生活を支えるスタッフがたくさんいます。相談員も配置しているため、自宅での生活に悩みを抱えている方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。
「介護サービスの利用方法がわからない」「これからどんな風に生活していけばいいかわからない」など些細なことでも構いません。お気軽にお問い合わせください。