老老介護とは?解決策について解説

高齢化により、介護問題がとても増えています。その中でも特に問題とされているのが「老老介護」です。老老介護は深刻な問題を引き起こす可能性があり、社会全体の課題にもなっています。将来誰もが老老介護になる可能性があるため、詳しく理解し対策を考える必要があります。
「子供がおらず、将来の介護に不安がある」「家族の介護に悩んでいる」という方は、ぜひ参考にしてください。

老老介護とは?

高齢の夫婦

老老介護とは、高齢者が高齢者の介護をすることで、65歳以上の方が65歳以上の方を介護していることを指します。関係性としては、高齢夫婦、兄弟、親子などが当てはまります。
「2019年 国民生活基礎調査」によると、介護者の続柄としては配偶者が一番多く、次に子供、子供の配偶者となっています。
年齢別に見ると、要介護者が「70〜79歳」の場合、「70〜79歳」の方が介護している割合が56.0%。「80〜89歳」の場合、「50〜59歳」の方が介護している割合が31.6%です。
また要介護者と同居者の年齢別組み合わせでは、60歳以上同士が74.2%、65歳以上同士が59.7%、75歳以上が33.1%で、年々増加していることがわかります。

老老介護になってしまう原因


老老介護の原因として、まずは高齢化や平均寿命が伸びていることが挙げられます。若者が減り、高齢者が介護するしかない現状があります。
核家族が増え、三世代で同居する家族が減り、夫婦だけで同居する世帯が増えています。他に頼る人がおらず、どちらかが介護するしかありません。
ライフスタイルの変化から共働きの家庭が増えたり、晩婚化により子育てに時間が取られ、親の介護ができないというケースが増えています。
また経済的な問題から、介護サービスを利用したくないという方や、そもそも介護サービスなど利用できる制度を知らないという場合もあります。
このようにさまざまな原因で、老老介護を招いているのです。

認認介護との違い

認知症


老老介護と似たような言葉で、認認介護があります。認認介護とは、「認知症の高齢者が、認知症の高齢者を介護している状態」のことを指します。
高齢者の要介護者には認知症の方が多いため、認知症がいる世帯では、介護が必要になることが多いです。介護者が認知症になったとしても、自覚していないことが多く、共倒れになってしまうということがあります。
そのため老老介護の中でも、認認介護は事故なども起こりやすく、危険な状況と言えます。

老老介護の問題点

悩んでいる夫婦

老老介護は、具体的にどのような問題を引き起こすのでしょうか。

心身ともに疲労してしまう

介護は体力が必要ですが、自分よりも体が大きい方を介護する場合は尚更体力が必要です。そのため体を壊してしまう可能性があります。介護職の方でも、腰痛が職業病とされているくらいなので、毎日の介護は体への負担が大きいでしょう。
また精神的にも疲労が溜まってしまうことがあります。一人で抱え込んでしまったり、介護で周りとの交流ができず、介護する側がうつ病や認知症を発症してしまうことがあります。
特に認知症の方を介護する場合、昼夜逆転・暴言・暴力などの症状が出ることがあり、余計に介護の負担が増えます。介護をする側もイライラしてしまうことが多くなり、介護放棄やネグレクトなどに繋がる可能性があります。心身ともに疲労が溜まると、共倒れを招いてしまうこともあり、注意が必要です。

介護にかかる時間が長くなる

心身ともに疲労が溜まる上に、高齢者は若い人と比べて体力がないため、介護に時間がかかってしまうことが多いです。要介護者の介護度が上がると、どんどん介護に費やす時間が増えてしまいます。介護する側も、自分の時間を確保できなくなり、精神的にも参ってしまうことがあります。こうなると、介護する側もされる側も苦痛を感じてしまいます。

老老介護の解決策

笑顔の夫婦

老老介護を乗り切るためには、どのような解決策があるのでしょうか。

周りの人への相談

親族や友人・地域の方など、まずは誰かに相談しましょう。一人で抱え込んでしまうのはやめましょう。気持ちが落ち込んでしまうだけでなく、冷静に物事を考えられなくなることがあります。
もしも兄弟がいるのであれば、介護や金銭面で援助してもらえないか相談してみましょう。同居している人だけが介護をしなければならないというわけではありません。介護問題は、家族全体で考えるべきものです。

地域包括支援センターへ相談する

もし周りに相談できる人がいない場合、地域包括支援センターへ相談しましょう。地域包括支援センターとは、高齢者の暮らしをサポートしてくれる機関で、介護の相談窓口でもあります。
老老介護へのアドバイスや、必要であればさまざまなサービスに繋げてもらうことができます。専門の方からの知識やアドバイスで、不安やストレスが解消されるかもしれません。

介護サービスを利用する


1人で介護をするのは、とても負担が大きいです。介護サービスを利用して、第三者にも援助してもらえる体制を整えましょう。
介護サービスには、ヘルパーや訪問看護など自宅に訪問してくれる在宅サービスや、デイサービスやデイケアなどの通所サービスがあります。日中だけでも介護サービスを利用できれば、自分の好きな時間を過ごせるため、介護者もリフレッシュできるでしょう。
ショートステイなどのお泊まりのサービスもあるため、自宅と施設を行き来しながら生活する方法もあります。このようにさまざまなサービスを組み合わせることで、介護負担を減らすことができます。
利用するには、まず介護認定を受ける必要があります。お住まいの役所で申請するだけでOKです。
申請や利用方法がわからない場合、役所や上記で紹介した地域包括支援センターなどへ相談しましょう。

施設への入居を検討する

自宅で生活するのが困難になった場合、施設への入居も検討するのも一つです。共倒れになってからでは遅いので、限界を迎える前に考え始めましょう。
「施設に入居するのは可哀想…」と思われる方もいるかもしれませんが、お互い安全な暮らしをすることが一番大切です。
施設はすぐに見つかるわけではないので、事前に入居相談を始めましょう。最近は介護施設の仲介業者などが増えているため、経済面や本人の状態に合わせた施設を選定してもらうことができます。

日本では高齢化が進み、より老老介護は増加するでしょう。限界を迎える前に、周りの人に相談したり、介護サービスの利用を検討することで、お互いが健康的に生活することができます。
メドアグリケアでは、相談員やケアマネジャーなど、在宅生活を支えるスタッフが揃っています。何か悩んでいることや不安なことがあれば、いつでもご相談ください。