熱中症から身を守ろう!原因や予防方法を理解してしっかり対策
夏になると怖いのが「熱中症」です。気温が高くなると、熱中症で救急搬送される方も多く、最悪命を落とす可能性があります。そのため熱中症から身を守ることが大切です。
今回は熱中症の原因や予防方法について解説します。夏本番に向けて、ご自身や周りの方の身を守るためにも、しっかり理解しましょう。
熱中症ってどんな病気?
ここ最近テレビでも熱中症のニュースがよく報じられています。
熱中症は、気温の高い所にいることで体温を調節する機能に異常が生じたり、体内の水分や塩分が減少することで、頭痛・痙攣・意識障害などを引き起こすことを言います。
東京消防庁によると、令和元年6月1日から9月30日までの4ヶ月に、熱中症(熱中症疑い等を含む)で5,634人が救急搬送されています。
また救急搬送人員の初診時程度をみると、2,328人(41.3%)が入院の必要がある中等症以上と診断され、そのうち272人が重症以上と診断されています。そして救急搬送されている内の約53%が65歳以上の高齢者です。
つまり65歳以上の高齢者が熱中症になると、重症化しやすく、命に関わる可能性があります。
熱中症の種類は?
熱中症には4つの病型がありますが、はっきりと分かれているわけではなく、これらが組み合わさって発症すると考えられています。
熱中症が起こる原因とは?
①熱失神
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなることにより起こります。炎天下でじっとしていて、急に立ち上がったり、運動した後に起きやすいです。横になって足を高く上げ、脳へ血流が行くようにしましょう。
【特徴】失神・めまい・顔面蒼白・脈は速くて弱くなる
②熱けいれん
大量に汗をかいて、水だけを補給していると血液の塩分濃度が薄まり症状を引き起こします。
手足や腹筋のけいれんや筋肉痛が起こります。
塩分が濃い食塩水の補給や点滴などで症状が改善することが多いです。
【特徴】けいれん・手足がつる・筋肉痛
③熱疲労
大量に汗をかいたり、体内が脱水状態になると起こります。
食塩水やスポーツドリンクを補給することで症状が改善することが多いです。
【特徴】全身倦怠感・脱力感・めまい・嘔気・嘔吐
④熱射病
体温が上昇し体温調節ができなくなり、高体温・意識障害が見られます。多臓器不全を起こし、最悪命を落とす可能性もあります。
体を冷やしながら、すぐに救急車を要請しましょう。
【特徴】高体温・意識障害・歩行困難
熱中症が起こる原因は「環境」「からだ」の要因が掛け合わさっています。
①環境
・気温や湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い
②からだ
・寝不足や疲れが溜まっていて、体調がよくない
・暑さに体が慣れていない
・激しい運動でたくさん熱が生成された
こういった要因が重なることで、熱中症を引き起こしやすくなります。また乳幼児や高齢者、基礎疾患がある方は熱中症になりやすいと言われています。
乳幼児は体温調整が苦手です。またベビーカーは地面からの熱を受けやすく、空気中の気温よりも高くなるため、気付かない間に熱中症になっている可能性があります。
高齢者は体内の水分量が減るため、熱中症になりやすいと言われています。また暑さや喉の渇きを感じづらく、重篤化しやすい傾向があるので注意が必要です。
熱中症が起こりやすい時期は?
最も暑い季節になる7〜8月が熱中症になりやすいですが、最近は6月頃から気温が高くなることが多く、熱中症で救急搬送される方も増えています。
真夏日(30度以上)から発生し始め、猛暑日(35度以上)になると、急激に発症者が増える傾向があります。風が弱くて、日差しが強い日や、湿度が高い日は熱中症になりやすいです。
熱中症は日中だけではありません。ムシムシとした熱帯夜が続くと、夜間でも熱中症になる可能性があります。
梅雨の間で急に気温が上がった時期などは、体が暑さに慣れていないため注意が必要です。
熱中症警戒アラートをチェックしよう!
熱中症警戒アラートが発令されている時は、熱中症になりやすく、救急搬送の数が増えることが多いです。
令和2年に、暑さ指数(WBGT)に基づき、熱中症の危険性が極めて高いと予測される場合に、新たに暑さへの「気づき」を呼びかけ国民の熱中症予防行動を効果的に促す「熱中症警戒アラート(試行)」を関東甲信地方で先行的に実施しました。令和2年度に実施された「熱中症警戒アラート(試行)」の検証結果等を踏まえて、令和3年から全国で運用を始めております。
熱中症の危険性が高くなった際、気象庁と環境省のウェブサイトで発表されるほか、天気予報などと同じように、気象庁から報道機関や民間気象事業者、地方自治体に伝えられ、テレビやラジオ、各種天気予報サイト、防災無線等でアラートの情報を受け取ることができます。
熱中症が疑われたら?
①涼しい場所へ移動する
・日陰や室内、エアコンが効いている場所などへ移動する。
②体を冷やす
・衣服をゆるめたり、脱がせたりして、体内の熱を外へ逃がす。
・太い血管がある、首元や太ももの付け根、脇の下などを冷やす。
・体に水をかけて、うちわや扇風機などで仰いだりするのも有効。
③水分・塩分を補給する
・冷たい水やスポーツドリンク、経口補水液などで水分と塩分を補給する。
・水分だけでなく、塩分を補給することが大切。
・自力で水が飲めない場合や意識が低下している時は、すぐに救急車を呼ぶ。
熱中症を予防するためには?
熱中症にならないためには、日頃から予防することが大切です。
①暑さを避ける
【屋外】
・日傘や帽子を着用する。なるべく日陰を歩くようにする。
・こまめな休憩を挟む。
【屋内】
・レースやブラインドなどで、直射日光を遮る工夫をする。
・扇風機やエアコンで、温度・湿度を調節する。
②服装を工夫する
・吸汗・速乾素材のものや、体内の熱を逃がせるように通気性の良い服を選ぶ。
・密着していると通気性も悪くなるため、なるべくゆったりとした服を選ぶ。
・できるだけ黒よりも白の服装。
③こまめな水分補給
・「喉が渇いた」と感じる前に水分補給をすることが大切。
・コーヒーや緑茶などカフェインが多く含まれているものは利尿作用があるため、水分補給には適していない。
・スポーツドリンクは水分とミネラルを補充できるが、糖分が気になる。
・麦茶がお勧め。ノンカフェインでミネラルも補給できる。
④暑さに備えた体づくり
・暑くなる前から、暑さに耐えられるような体づくりが大切。
・ウォーキングやランニング、筋トレなどで筋肉をつける。
・汗をかくことに慣れて、夏に備えることが必要。
熱中症は環境や体の状況によって、引き起こされます。適度な水分補給や涼しい服装を心がけるなどして、熱中症対策を心がけましょう。
最近は電気代が高くなり、ついついエアコンを節約しがちですが、体を壊さないためにもこまめに室温調節をしましょう。