フレイルとは?今から対策して介護予防を!
最近、「歩くのが遅くなった」「出かけるのが億劫」「体重が減った」などと感じたことはありませんか?そのような場合には、フレイル状態がはじまっているかもしれません。
今回は、フレイルについて解説します。高齢者やその家族はぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。
フレイルとは
フレイルとは、高齢者が病気や老化などの影響により、心身の活力と生活機能が低下し、将来要介護状態となる可能性が高い状態のことをいいます。つまり、フレイルは健康と要介護の間の状態であるということです。脳血管疾患や転倒などにより健康な状態から突然要介護状態になる高齢者を除いて、多くの高齢者は健康な状態からフレイルを経て、要介護状態に陥ります。
よって、フレイルを予防することで早期からの介護予防が可能です。また、フレイルに足を踏み込んでしまったとしても、早い段階で適切なケアや支援を受けられれば、健康な状態に戻れる可能性があります。
フレイルについて理解を深めセルフケアを行い、介護状態を予防しましょう。
フレイルの原因
フレイルの主な原因は、生活習慣病などの慢性的な管理が必要となる疾病と、老化です。詳しくは、以下のとおりです。
- 生活習慣病などの疾病(心・脳血管疾患、メタボリックシンドローム、高血圧、呼吸器病、貧血、抑うつなど)
- 加齢に伴う活動量の低下と社会参加の減少
- 身体機能の低下(歩行速度の低下、口腔機能の低下)
- 筋力低下
- 認知機能低下
- 低栄養、体重減少
- 易疲労性
- 喫煙
これらの原因のうち複数が絡み合ってフレイル状態となることもあります。引きこもりがちな高齢者は、どうしても活動量や社会参加の機会が減少します。そのため、筋力が低下し、歩くのが億劫になり、さらに引きこもりになりという、悪循環に陥ってしまいがちなのです。
フレイルをセルフチェックしてみよう
フレイルは、セルフチェックできます。以下の項目のうち、3つ以上該当すれば「フレイル状態」、1つでも該当すれば「フレイル予備軍」です。ぜひ、この機会にチェックしてみましょう。
- 体重減少(6ヵ月で2~3kgの体重減少)
- 筋力低下(握力が男性26kg、女性18kg未満)
- 疲労感(ここ2週間のうち、わけもなく疲れた感じがある)
- 歩行速度の低下(通常歩行で毎秒1m未満)
- 身体活動の低下(軽い運動、定期的な運動を週に1度もしていない)
フレイル予防法
介護状態を予防するには、フレイルを予防することと、フレイルになってしまった場合にできるだけ早く対策を講じることが重要です。ここからは、フレイル予防について解説します。
適切な食生活
食事は、元気の源です。1日3食、バランスの良い食事を摂取しましょう。料理が大変な場合には、市販の惣菜やレトルト食品、缶詰などを上手く利用しながら、栄養バランスに気を配りましょう。
高齢者がとくに積極的に摂取したい栄養素は、タンパク質です。タンパク質が不足すると、筋肉量が減少し、運動機能の低下を招いてしまいます。肉や魚、卵、大豆製品、乳・乳製品など、タンパク質を多く含む食品を摂取するよう心がけると良いでしょう。プロテイン飲料などもおすすめです。
高齢者のなかには、活動量の低下などにより、食事を少量食べただけで満腹になってしまう人もいるでしょう。また、一緒に食事を摂る人がいない場合などには、食事の準備が余計に億劫になってしまうかもしれません。日中はできるだけ活動量を確保するようにし、可能であれば家族や友人と一緒に食事を摂る機会を作り、楽しく食事できるのが理想的です。
適度な運動
フレイル予防には、運動も重要です。加齢に伴って低下してしまった体力や筋力は、適度な運動によって回復が見込めます。そのためには、日常生活での活動よりやや負荷の強い運動が必要です。日々の生活に、家庭でできる筋トレや早歩きでのウォーキング、ストレッチなどを取り入れてみましょう。
とはいえ、今まで運動習慣のなかった人がいきなりハードな運動をするのは、身体への負担が大きく危険です。そのため、まずは歩く距離を少し伸ばす、歩くスピードを少し上げる、ラジオ体操をするなど負担の少ない運動から始め、徐々に負荷をかけていきましょう。
社会参加
食事や運動と同じくらい大切なのが、社会とのつながりを維持することです。ある調査によると、週1回以上友人などとの交流がある高齢者は、そうでない人と比較し活動能力障害や死亡リスクが低くなることがわかっています。さまざまな人と関わることは、抑うつ状態や認知機能低下の予防にもつながりますので、趣味やボランティアなどを通して積極的に社会参加していきましょう。
口腔の健康
口腔内の健康は、全身の健康につながっていることを知っていますか。口腔は、食べ物を咀嚼するだけでなく、発声するための音を作り出す機能や、嚥下機能など、さまざまな機能を担っています。それらの役割は、食事やコミュニケーションなど、生きていくのに重要な機能ばかりです。
口腔機能が低下している人は、介護状態となるリスク、そして死亡リスクが高いことが明らかになっています。歯みがきやうがいなどで口腔内の清潔を保つのはもちろんのこと、定期的にかかりつけの歯科医を受診するようにしましょう。口腔の衛生を保つことは、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。
今回は、フレイル予防について解説しました。
フレイル予防の大きな柱は、「食事」「運動」「社会参加」「口腔の衛生」の4つです。介護状態を予防し毎日を楽しく生活するためにも、できることから取り組んでみましょう。