ロコモティブシンドロームの予防で長く歩けるカラダ作り
近年、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という言葉を耳にするようになったのではないでしょうか。
ロコモティブシンドロームとは「運動器の障害によって移動機能の低下をきたした状態」を指します。
「まだ若いし、歩けてるから大丈夫」という認識だとロコモティブシンドロームとなる可能性が非常に高いです。
今回はロコモティブシンドロームの原因やチェックする方法、予防方法について解説します。
「最近、運動ができていない」「運動習慣がまったくない」という方はぜひ参考にしてください。
Contents
ロコモティブシンドロームとは?
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは、「筋肉や関節、骨などの運動器が障害されることによって移動機能の低下をきたした状態」をいいます。
わかりやすく言うと、人間は筋肉や関節、骨、神経などが連携して体を動かしていますが、どれか一つでも障害されてしまうと筋肉や関節などの連携がうまくいかず、立ったり歩いたりすることが難しくなることがロコモです。
ロコモが進行すると、将来的に寝たきりとなったり病気や骨折などのリスクが高くなってしまいます。
しかし、ロコモは早めに適切な対処をしていくことによって予防することができるので、ロコモについて理解を深めておきましょう。
ロコモティブシンドロームの原因は?
ロコモティブシンドロームの原因は、以下が挙げられます。
- 筋力の低下
- 骨粗しょう症
- 骨折
- 変形性関節症
- 変形性脊椎症
- 神経障害
加齢による全身の筋力やバランス能力の衰えや骨や関節の痛み、骨や関節の病気など原因はさまざまです。
これらの原因を何も対処せずにいると、歩く力が衰えて生活活動や社会活動が制限され、介護が必要な状態となります。
ロコモティブシンドロームと判定された場合は、原因を見極めて適切な対処・治療を行うことが必要です。
日本整形外科学会は「ロコモは回復可能なのが最大の特徴」と述べており、適切な対処・治療を行うことで、歩ける力をつけることが期待でき、はやめに対処することでロコモティブシンドロームを予防することができます。
「若いから」という認識は危険サイン?
運動習慣がなくても「若いから大丈夫」と言う認識は非常に危険です。
なぜなら、年齢と体力は比例しないからです。
スポーツ庁の調査によれば、ほぼ毎日運動する50歳の人は運動習慣のない30歳の人より体力があると発表されました。
そのため、どの年代の方でも今のうちに運動習慣をつけてロコモティブシンドロームにならない体作りをしておきましょう
【あなたはロコモ?】チェックする方法
ロコモティブシンドロームを判断するために、以下3つのテストを行います。
- 立ち上がりテスト
- 2ステップテスト
- ロコモ25
上記3つのテストのうち、どれか1つでも当てはまればロコモと判断されます。
また、ロコモティブシンドロームには3段階の判定基準があります。
- ロコモ度1:移動機能の低下が始まっている状態
- ロコモ度2:移動機能の低下が進行している状態
- ロコモ度3:移動機能の低下が進行し、社会参加に支障をきたしている状態
以下で解説するテストを行い、あなたのロコモ度をチェックしてみましょう。
立ち上がりテスト
まずは「立ち上がりテスト」を行います。
立ち上がりテストは足の筋力を測ることができ、高さによって片足または両足で立ち上がれるかをチェックします。
「立ち上がりテスト」の注意点
- 無理しないこと
- 膝などの痛みが出そうな場合は中止する
- 反動はつけずに行う
テストの方法は、台に座って腕を組んだ姿勢から片足または両足で立ち上がれるかをチェックします。
40cm・30cm・20cm・10cmの順番で行っていき、ロコモ度をチェックしましょう。
- ロコモ度1:片足で40cm台から立ち上がれないが、両足で20cm台から立ち上がれる
- ロコモ度2:両足で20cm台から立ち上がれないが、30cm台から立ち上がれる
- ロコモ度3:両足で30cm台から立ち上がれない
2ステップテスト
次は「2ステップテスト」を行います。
2ステップテストで歩幅を調べることにより、足の筋力・バランス能力・身体の柔軟性など総合的な評価をすることができます。
2ステップテストの注意点
- 万が一に備えて介助者をつける
- 滑りにくい床で行う
- 準備運動をしてから行う
- バランスを崩さない範囲で行う
- ジャンプはしない
2ステップテストの方法は以下の通りです。
- スタートラインを決め、両足のつま先を合わせる
- 出来る限り大股で2歩歩き、両足を揃える(バランスを崩した場合は、やり直し)
- 2歩分の歩幅を測る
- 1〜3を2回行い、良い記録を採用
- 「2歩分の歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値」で2ステップ値を出す
2ステップ値が出せたら、以下でロコモ度をチェックしましょう。
- ロコモ度1:2ステップ値が1.1以上193未満
- ロコモ度2:2ステップ値が0.9以上1.1未満
- ロコモ度3:2ステップ値が0.9未満
ロコモ25
次は「ロコモ25」を行います。
ロコモ25は25個の質問から体の状態や生活の状況に点数をつけ、ロコモ度を調べます。
合計点数を計算し、以下でロコモ度をチェックしましょう。
- ロコモ度1:7点以上16点未満
- ロコモ度2:16点以上24点未満
- ロコモ度3:24点以上
ロコモティブシンドロームの予防策
あなたのロコモ度はいかがでしたでしょうか。
日本整形外科学会は「ロコモは回復可能なのが最大の特徴」と述べており、ロコモ度チェックで該当する方も適切に対処・治療を行うことで、ロコモティブシンドロームの進行抑制・改善が期待できます。
この記事では、ロコモティブシンドロームに良いとされている運動(ロコトレ)と食事について解説します。
「 ロコトレ」を運動習慣に!
ロコモティブシンドロームにならないためには、足腰を強くすることが重要です。
ロコモティブシンドロームに必要な運動(ロコトレ)は、たった2つです。
- 片足立ち
- スクワット
この2つの運動を毎日続けることで、強い足腰を作ることができるので続けて行ってみてください。
また、回数やセット数が楽だと感じる場合は、無理のない範囲で増やしても構いません。
それでは1つずつ解説していきます。
片足立ち
片足立ちは、バランス能力をつけるのに良い運動とされています。
左右ともに1分間をリセットとし、1日3セット行いましょう。
片足立ちの方法は以下の通りです。
- 必ずつかまるものがある場所で行う
- 姿勢をまっすぐ
- 床につかない程度、片足を上げる
手を離して行えない方は、机などに手や指をついて行いましょう。
スクワット
スクワットは足の筋力をつけるために良い運動とされています。
5〜6回で1セットとし、1日3セット行いましょう。
スクワットをする際の注意点は2つあります。
- スクワットをしているときは、息を止めないようにする
- 膝の曲は90度を大きく超えないようにする
スクワットの方法は以下の通りです。
- 足は肩幅に広げる
- お尻を後ろに引くように2〜3秒ほどかけて、ゆっくり膝を曲げる
- 2〜3秒かけて戻る
スクワットが難しい場合は、椅子に腰かけて机に手をついた状態で、立ち座りを繰り返します。
バランスの取れた食事もロコモに効果あり!
ロコモティブシンドロームの対策として「バランスのとれた食事」も重要な要素の1つです。
なぜなら、筋肉の量を増やす・筋力をつけるためには、筋肉を構成するタンパク質や、エネルギー源となる炭水化物や脂質を摂取しておくことが必要だからです。
先ほど紹介した運動(ロコトレ)を毎日行っても、バランスのとれた食事をとっていないと、思うように筋力がつきません。
以下で紹介するバランスのとれた食事を行うことで、ロコモ対策がより効果的となります。
バランスのとれた食事をとるために、合言葉「さあにぎやかにいただく」を使って献立を考えることをオススメします。
さかな |
動物性タンパク質やカルシウム、ビタミンDが豊富 |
あぶら |
適度な油脂分は、細胞などを作るために必要 |
にく |
良質なタンパク質源が含まれている |
ぎゅうにゅう |
タンパク質とカルシウムが豊富 |
やさい |
ビタミンや食物繊維が十分に摂れる |
かいそう |
ミネラルと食物繊維が豊富 |
いも |
糖質(エネルギー源)やビタミン、ミネラルが摂れる |
たまご |
調理法が多く、簡単にタンパク質が摂れる |
だいず |
必須アミノ酸(タンパク質の元)やカルシウムが摂れる |
くだもの |
ミネラルやビタミン、食物繊維が摂れる |
上記10項目のうち、毎日の食事で7項目以上入っていることを目指しましょう。