高齢者はなぜ頻尿になる?|原因とセルフチェック、予防・対策方法を解説
「尿の回数が増えた気がする」「トイレが近いのをどうにかしたい」こんなお悩みを解決できる記事です。
頻尿など、トイレが近いことで日常生活に影響を及ぼすこともあります。
高齢者の頻尿はさまざまな原因があり、病気が原因となるものもあるため注意が必要です。
この記事の前半で、「高齢者にみられる頻尿の原因」について、後半で「頻尿のセルフチェック・予防・対策方法」について紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
頻尿とは
頻尿とは、「トイレが近い、排尿回数が多い」という症状のことを言います。
1日の正常な排尿回数の目安は5〜7回で、1日8回以上排尿する場合は頻尿とされます。
しかし、7回以下の排尿回数であっても、ご自身で「排尿回数が多い」と感じる場合は頻尿の可能性があります。
高齢者に見られる頻尿の原因
高齢者に見られる頻尿の原因は、以下のとおりです。
- 前立腺肥大
- 急性膀胱炎
- 抗利尿ホルモンの低下
- 過活動膀胱
- 心因性による頻尿
以下で1つずつ解説します。
前立腺肥大症
前立腺肥大症とは、膀胱の下にある前立腺の内部が大きくなり、尿道を圧迫することで頻尿などのさまざまな排尿障害を引き起こす病気のことです。
主に50歳以降の男性に多い病気で、はっきりとした原因は解明されていませんが、加齢と共に男性ホルモンなどの性ホルモンの環境変化が影響しているという意見があります。
急性膀胱炎
急性膀胱炎とは、膀胱内に細菌が入ることで炎症が起こる病気です。
排尿時に不快感や痛み、尿の濁りがあり、頻尿になるのが特徴です。
炎症が起きると膀胱の神経が刺激され、尿が溜まっていなくても尿意を感じ頻尿となってしまいます。
また、免疫力の低下や尿道が短い女性は細菌が侵入しやすいため、膀胱炎になりやすいとされています。
抗利尿ホルモンの低下
夜間帯に頻尿となる場合は、抗利尿ホルモンの分泌が低下している可能性があります。
抗利尿ホルモンは「尿中の水分を減らして尿を濃縮する」という効果があり、夜間の尿量を減らすために分泌されるホルモンです。
本来、抗利尿ホルモンの分泌によって日中に尿を多く作って、夜はあまり作らないように調節されています。
しかし、加齢とともにその調節が上手くいかなくなると、夜間のホルモン分泌が減り、頻尿となるケースが多くあります。
過活動膀胱
過活動膀胱とは、膀胱に尿を上手く貯められなくなる病気のことです。
過活動膀胱の具体的な症状は、以下のとおりです。
- 昼間頻尿(目安8回以上):起きている間に頻繁にトイレに行く
- 夜間頻尿(目安2回以上):夜中に何回もトイレに起きる
- 尿意切迫感:急に起こる抑えられないほどの強い尿意を感じる
- 切迫性尿失禁:トイレに間に合わなくて漏らしてしまう
膀胱が過敏になり尿がそれほど溜まっていなくても、急に我慢できない尿意が起きたり、トイレが近くなったりなどさまざまな症状が現れます。
心因性による頻尿
心因性頻尿とは、心理的な不安や緊張などの精神的な問題によっておこる頻尿のことです。
膀胱や尿道などに明らかな問題はないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまいます。
尿意を感じたとしても尿がまったく出ない場合もあるのが特徴です。
ただし、何かに集中している時や夜間など、心理的な不安や緊張を感じない場面では尿意を感じにくくなります。
【セルフチェック】頻尿かどうか確かめる方法
出典:日本泌尿器科学会「尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」
頻尿が気になるという方は、セルフチェックとして「排尿日誌」をつけてみることをおすすめします。
なぜなら、排尿の回数、尿量などを正確に把握できるからです。
また、排尿日誌をつけておくことで、医療機関を受診する際に排尿の状況を正確に伝えることができます。
具体的には、トイレに行った時刻と排尿量、尿漏れの有無などを3日ほど記載するようにしましょう。
また、水分摂取量や種類、就寝時刻なども記載するとより正確に自身の排尿状況を把握することができます。
尿量や回数は、以下を目安にしてください。
- 1回の尿量:200〜400mL
- 1日の尿量:1,000〜1,500mL
- 1日の排尿回数:5〜7回
上記の目安よりも多い・または少ない場合は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
高齢者の頻尿を予防・対策する方法
高齢者の頻尿を予防・対策する方法は、2つあります。
- 筋力トレーニング
- 尿意を感じたら少し我慢
以下で、1つずつ解説します。
筋力トレーニング
頻尿や尿失禁などの排尿障害がある場合は、筋力トレーニングで改善・予防できます。
特に、膀胱や直腸、尿道、子宮などを下から支える「骨盤底筋群」、内臓を支えるコルセットのような働きをする「腹横筋」を鍛えることが重要です。
骨盤底筋群・腹横筋を鍛えることで膀胱が正しい位置に戻り、尿が溜まりやすい環境を作ります。
ここでは、骨盤底筋群・腹横筋のトレーニング方法を3つ紹介します。
骨盤底筋群の運動1|お尻上げ
【運動の手順】
- 仰向けに寝ます
- ゆっくりとお尻をあげる
- お尻を上げたまま、お尻の穴を3秒間締めてキープする
- 力を緩めながら、ゆっくり下ろす
- 2〜4を10回繰り返す
上記1〜5を1日に10回を3セット行います。
また、お尻を上げない状態でも効果があるため、お尻上げが難しい方でも行える運動です。
ご自身のからだの状態に合わせて、回数やセット数などを調整しましょう。
骨盤底筋群の運動2|ボール挟み
【運動の手順】
- 座った状態で、膝の内側にボールを挟む(タオルなどで代用可)
- お尻の穴を締めながら、膝を3秒間とじる
- 力を緩めながら、ゆっくりもどす
- 1〜3を10回繰り返す
上記1〜4を1日に10回を3セット行います。
この運動は座るだけでなく、仰向けに寝た状態でもできます。
また、ご自身のからだの状態に合わせて、回数やセット数などを調整し、無理のない範囲で行いましょう。
腹横筋の運動|お腹を凹ませる
【運動の手順】
- 仰向けに寝て、お腹の上に両手を当てる
- 5秒かけて息を吐きながら、お腹を凹ませる
- 息を吸いながら、お腹を戻す
- 2・3を10回繰り返す
上記1〜4を1日に10回を3セット行います。
ご自身のからだの状態に合わせて、回数やセット数などを調整し、無理のない範囲で行いましょう。
尿意を感じたら少し我慢(膀胱訓練)
尿意を感じても少し我慢して、尿を膀胱に溜める練習(膀胱訓練)をしてみましょう。
少しの間、トイレに行くことを我慢して膀胱に尿を溜めることで、膀胱容量が大きくなり尿を長く溜められるようになります。
無理をせずに5分・10分と我慢する時間を徐々に長くしていきましょう。
まとめ
この記事では、高齢者にみられる頻尿の原因や予防・対策方法について紹介しました。
筋力トレーニングや膀胱訓練については、早ければ2〜3週間後に効果が現れます。
しかし、高齢者の頻尿にはさまざまな原因があるので、まずはかかりつけ医に相談することをおすすめします。
かかりつけ医に相談する際に「排尿日誌」をつけておくと、より詳しく排尿状況を伝えることができるのでおすすめです。