在宅医療による看取りの実際とは?必要な準備や後悔しないためのポイントも解説

在宅医療での看取りとは、住み慣れた環境である自宅で医療または介護のサービスを受け、家族または親族等に見届けられながら最期を迎えることを指します。

家族または自身が最期を迎えるなら、病院や施設よりも今まで過ごしてきた自宅がよいと考える方も多いでしょう。在宅医療サービスを利用すれば、自宅での看取りを行うことも可能です。

この記事では、在宅医療による看取りの実際について解説します。その他、在宅で看取りをする際に必要な準備や知っておきたいポイントについて解説するので、ぜひ記事を参考にしてください。

在宅医療における看取りの現状

在宅医療における看取りの現状

厚生労働省が発表した「在宅医療の最近の動向」の結果によると、約60%以上の国民の方が「自宅で療養をしたい」と回答しています。[1

年々、高齢者の数は増加すると予想されているため、これからは住み慣れた環境である自宅で療養したいと考える方が、さらに増えるでしょう。

しかし、自宅での看取りとなると、介護を行う家族に負担をかけてしまうと考え、自宅での療養を諦めてしまう方も少なくありません。

介護を行う家族の負担を軽減しながら自宅で療養を受けるには、在宅医療における看取りに関する知識を持つ専門職者からの、適切な助言をもらうことが必要です。

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在宅医療での看取りにおけるメリット・デメリット

在宅医療での看取りにおけるメリット・デメリット

在宅医療の看取りには、メリットだけでなくデメリットも存在します。自宅での看取りで後悔しないためにも、メリットとデメリットどちらも理解しておきましょう。

メリット

在宅医療の看取りにおけるメリットは、以下の3つです。

  • 本人の意向に沿った最期を迎えられやすい
  • 住み慣れた環境で療養できる
  • 通院による負担が軽減する

それぞれのメリットについて解説します。

本人の意向に沿って最期を迎えられやすい

在宅医療による看取りでは、本人の意向に沿って最期を迎えられることがメリットです。

病院や施設での看取りとは違い、住み慣れた環境である自宅で療養できるため、自由に過ごすことができます。

飲酒や喫煙は、一般的な観点からみると、健康を害してしまう行動です。

しかし、在宅医療では利用者本人の意向が尊重されるため、人生の楽しみでもある喫煙や飲酒も可能になります。

自由に過ごせる環境の中で療養ができるため、利用者本人らしい最期を迎えられる可能性もあるのです。

住み慣れた環境で療養ができる

住み慣れた環境で療養ができることは、在宅医療における最も大きなメリットであるといえるでしょう。

病院や施設の馴染みのない一室で生涯を終えるよりも、実際にこれまで生活してきた自宅で最期を迎えたいと考える方も多いはずです。

また、病院や施設で看取りをする場合、面会時間が限られているので、家族と会える時間も限定されてしまいます。

しかし、自宅での看取りは、いつでも家族と顔合わせが可能であり、安心した状態で最期まで暮らすことも期待できるでしょう。

通院による負担が軽減する

在宅で看取りを行う場合には、自宅に医師や看護師が来てくれるため、通院による負担軽減が期待できます。

自宅で療養をする場合、医師の診察や処置を受けるために、病院やクリニックに通院しなくてはいけません。

しかし、在宅医療では往診や訪問看護、訪問リハビリなどのサービスを利用できるため、自宅にいたまま診察や処置を受けることができます。

通院する際に付き添いが必要な場合では、在宅医療に切り替えることで、移動による家族の負担も減らすことができるでしょう。

デメリット

在宅医療の看取りにおけるデメリットは、以下の2つです。

  • 家族の負担が大きくなる
  • スタッフが来るまでに時間がかかる

それぞれのデメリットについて解説します。

家族の負担が大きくなる

在宅での看取りでは、利用者が自由に生活できる反面、家族の負担が大きくなることがデメリットとして挙げられます。

病院や施設では、看護師や介護士がケアを行ってくれますが、在宅での療養となると家族が行わなくてはいけない場面もあるのが事実です。

利用者の状態によっても異なりますが、医療的処置や緊急時の連絡などを家族が行う必要もあります。また、身近にいて状態の変化が分かるからこそ、身体的な負担だけでなく、精神的な負担もかかる可能性があるでしょう。

スタッフが来るまでに時間がかかる

病院や施設とは違って、医師や看護師が常駐できない環境のため、緊急時の際にスタッフが来るまでに時間がかかってしまいます。

例えば病院のように、ナースコールを押せば看護師がすぐに駆けつけてくれるような対応は困難です。

現在では、24時間対応の訪問看護ステーションも増えてきてはいます。

しかし、大抵の場合は、連絡を受けてから車や自転車で移動するため、自宅に到着するまで時間がかかってしまうでしょう。

在宅で看取りをするために必要な準備

在宅で看取りをするために必要な準備

在宅医療での看取りをするために必要な準備は、以下の4つです。

  • ケアマネジャーと在宅医を探しておく
  • 看取りを行うためのチームを作る
  • 患者さんが安心して最期を迎えられる環境を作る
  • 自宅で看取る心構えをする

それぞれの必要な準備について解説します。

ケアマネジャーと在宅医を探しておく

在宅で看取りをする場合には、まずはケアマネジャーと在宅医を探しておきましょう。

ケアマネジャーとは、介護保険制度に関連したサービスを適切に受けられるように調整する専門職であり、介護支援専門員とも呼ばれています。

地域包括支援センターに行くと、在宅での看取りに関して詳しいケアマネジャーを紹介してくれるため、まずは足を運んでみましょう。

在宅医に関しては、担当になったケアマネジャーに相談するか、自身で在宅まで往診が可能な医師を探す必要があります。

看取りを行うためのチームを作る

ケアマネジャーと在宅医が決定したら、本人の意向に沿った最期を迎えられるように、看取りを行うためのチームを作りましょう。

看取りを行うためのチームを作るには、利用者本人の状態と家族の介護力をみて、在宅医とケアマネジャーが編成します。実際のチーム編成には、以下のような職種が関わってきます。

  • 在宅医
  • 訪問看護師
  • 薬剤師
  • 在宅歯科医・歯科衛生士
  • 理学療法士
  • 管理栄養士
  • 介護福祉士

チームの編成に関わる職種の方は、利用者本人の状態や家族の介護力によっても変わってきます。

患者さんが安心して最期を迎えられる環境を作る

在宅で看取りをする場合には、利用者本人が自宅に戻られる前に、安心して最期を迎えられるように環境を整えておきましょう。

自宅が安心して過ごせるポイントとしては、病院や施設のお部屋とは違って、住み慣れた環境であるということです。

そのため、安心して最期を迎えられる環境を作るには、以前暮らしていた雰囲気になるべく近づけておくことが重要です。

昔大切にしていた物を並べたり、好きな音楽をかけたりするなどをして、利用者本人が穏やかに過ごせる環境を作っておきましょう。

自宅で看取る心構えをする 

在宅での看取りをするためには、自宅で最期まで看取りをするという心構えを準備しておきましょう。

看護師や介護士がサポートしてくれるとはいえ、実際に24時間ともに生活して、利用者本人をケアするのは家族です。

在宅で看取りをする場合には、私生活を犠牲にしなくてはいけない場面も多く、家族が介護疲れを起こしてしまう可能性もあります。

自宅での看取りを選択するためには、ある程度の覚悟が必要となってくるため、これからどのような経過をたどっていくのかイメージしておくことが重要です。

<関連ページ>訪問看護の利用をおすすめしたい家族形態・家族環境 

在宅医療での看取りで後悔しないためのポイント

在宅医療での看取りで後悔しないためのポイント

 

在宅医療での看取りで知っておきたいポイントは、以下の3つです。

  • 自分たちで抱え込みすぎない
  • 利用者本人の意思をきちんと確認しておく

それぞれのポイントについて解説します。

自分たちで抱え込み過ぎない

在宅医療での看取りでは、決して悩みや不安を利用者本人やご家族だけで抱え込まないようにしましょう。

自分たちで抱え込み過ぎると、介護疲れを起こす原因ともなり、自宅での看取りに後悔してしまいかねません。

現在の日本では、ご家族の負担が大きくなりすぎないように、社会保障制度の整備もされています。社会保障制度を使用して、訪問看護や訪問介護を取り入れることで、ご家族にかかる負担を軽減しながら満足のいく最期を迎えることが期待できるでしょう。

看取りに関する悩みや不安を抱え込み過ぎる前に、担当のケアマネジャーや訪問看護師に相談をすることが重要なポイントです。

本人の意思をきちんと確認しておく

在宅医療での看取りで最も大切なポイントは、本人の意思です。本人の意思に反した最期を迎えることは、利用者本人やご家族にとっても辛くなってしまい、後悔してしまうことになるでしょう。

本人の意思をきちんと確認するには、自身の最期をどのように迎えたいのか、自分の言葉で伝えてもらうことが大切です。

加齢や病気により話せなくなってしまってからでは、本人の意思確認が困難となってしまいます。

そのため、健康な状態の時からどのような最期を迎えたいのか、ご家族同士で話し合っておくことが必要となるでしょう。

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まとめ 

まとめ

最期を迎える場所として、病院や施設などが挙げられますが、多くの方が住み慣れた環境である自宅で生涯を終えたいと思う方が多いのではないでしょうか。

現在では社会保障制度も整備されているため、ご家族だけに負担がかかることはありません。初めは分からないことも多いため、居住区内の地域包括支援センターで情報を集めることから始めてみましょう。

わたしたちメドアグリケアは、在宅医療を専門としたスタッフが自宅での生活を支援します。ご自宅での看取りをお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。