免許更新時に必要な認知症検査とは?テストの流れや問題に正解するためのポイントについても解説

75歳を超えた高齢者の方が運転免許を更新するには、3年に1度のタイミングで認知症検査によるテストを受けなくてはいけません。しかし、認知症検査によるテストと聞いて、ピンと来る方は少ないのではないでしょうか。

地方に住む高齢者の方であれば、移動手段として、どうしても車を運転しなくてはいけないこともあるでしょう。そのため、本記事では、75歳以上の高齢者の方が免許を更新するために必要な認知症検査のテスト内容や流れについて解説します。

併せて、テストを受ける流れや問題に正解するためのポイントについても紹介するので、ぜひ記事を参考にしてください。

免許更新時に必要な認知症検査によるテストとは?

免許更新時に必要な認知症検査によるテストとは?

運転免許を更新する際に必要な認知症検査は、簡単な問題に答えてもらうだけで、運転が可能な判断力や記憶力があるのかを判定できるテストです。年々、高齢者による交通事故については問題視されており、2023年に公表されている警視庁での「事故全体に占める高齢運転者の事故割合」では、年々増加の一途をたどっています。[1

運転する車の性能は上がってきていますが、最終的に判断するのは運転者本人です。高齢者の方は、若い方と比較すると判断力や記憶力が低下してしまうため、認知症検査によるテストで判定を行います。

認知症検査の対象者 

認知症検査によるテストの対象者は、以下の2つが挙げられます。

  • 運転免許の更新が必要な75歳以上の方 
  • 運転中に違反をした75歳以上の方

それぞれの対象者について解説します。

運転免許の更新が必要な75歳以上の方 

年齢が75歳を超えると、例外なくすべての方が、3年に一度のタイミングで認知症検査によるテストを受けなくてはいけません。厳密には、運転免許を更新する期日までの年齢が75歳以上の方が対象となります。

認知症検査によるテストを受ける必要がある方には、運転免許の更新期間が満了する期日の6ヶ月前までに、警察署から自宅に通知が届きます。更新期間が満了する半年前から受けられるため、後々焦らないためにも、認知症検査の通知を受け取ったらテストを受けに行っておきましょう。

運転中に違反をした75歳以上の方 

認知症検査によるテストは、75歳以上の方で運転中に違反をした場合、必須で臨時的に受験をする必要があります。その年に認知症検査によるテストをパスした場合でも、違反をしてしまうと、必ず受験をしなくてはいけません。

なぜなら、認知症検査を受けてから違反をするまでの間に、認知機能が低下している可能性があるためです。もし、臨時で行う認知症検査の通知を受け取ってから1ヶ月を経ってもテストを受けなかった場合、免許証の停止または取り消しの対象となるので注意しましょう。

臨時で認知症検査が必要になる違反の項目 

臨時で認知症検査が必要になる違反の項目としては、以下が挙げられます。

  1. 信号無視
  2. 通行禁止違反
  3. 通行区分違反
  4. 横断等禁止違反
  5. 進路変更禁止違反
  6. しゃ断踏切立入り等
  7. 交差点右左折方法違
  8. 指定通行区分違反
  9. 環状交差点左折等方法違反
  10. 優先道路通行車妨害等
  11. 交差点優先車妨害
  12. 環状交差点通行車妨害等
  13. 横断歩道等における横断歩行者等妨害等
  14. 横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害等
  15. 徐行場所違反
  16. 指定場所一時不停止等
  17. 合図不履行
  18. 安全運転義務違反

上記に挙げられる違反に1つでも該当すると、臨時での認知症検査によるテストを受けなくてはいけません。

認知症検査のテスト内容について

認知症検査のテスト内容としては、以下の3つが挙げられます。

  • 時間の見当識に関するテスト
  • 手がかり再生に関するテスト
  • 介入課題によるテスト

それぞれのテスト内容について解説します。

時間の見当識に関するテスト 

認知症検査では、時間の感覚を調べるために、「時間の見当識」に関するテストを行います。現状の時間を把握する能力を問われるテストであり、検査を受けた日の年月日、曜日、時間を解答する内容です。

認知症のスクリーニングにおいて、時間の見当識の有無は重要なポイントであり、テストの内容によっては車の運転が危険であると判断されます。時間の見当識に関するテストの内容は、認知症でなければ容易に答えられる内容であるため、さほど心配をする必要はありません。

手がかり再生に関するテスト

手がかり再生に関するテストは、認知症であるか判断するために必要な記憶力を検査する内容です。何種類かのイラストを記憶して、テスト内容には関係のない介入課題を行った後、どれだけ覚えていられるかを採点します。

覚えたイラストに答える際は、まずはヒントなしで解答をし、その次にヒントをもらって記入をしていく流れになります。時間の見当識に関するテストと同様に、手がかり再生に関するテストも、認知症の方でなければ問題なく記入できる難易度となっているので、特に対策をする必要はありません。

介入課題によるテスト

介入課題によるテストでは、複数の数字が記されている表の中から、指示された番号を消していく課題です。指示された番号を車線で引くだけなので、特別難しいことは行いません。

介入課題のテストは、手がかり再生に関するテストでイラストを覚えた後に行います。イラストを覚えた後に介入課題のテストに取り組むことで、記憶したイラストを忘れていないか判定します。

認知症検査によるテストを受けるために必要な準備

認知症検査によるテストを受けるために必要な準備 

認知症検査によるテストを受けるために必要な準備は、以下のとおりです。

  • 認知症検査によるテストを受けるための予約と持ち物
  • 認知症検査によるテストにかかる料金や時間

それぞれの準備について解説します。

認知症検査によるテストを受けるための予約方法や持ち物

認知症検査によるテストを受けるためには、まずは予約をしておく必要があるので忘れずに行いましょう。まず、免許の更新期間が満了する約190日前になると、自宅に「検査と講習のお知らせ」というハガキが届きます。

ハガキが届いたら、お手元に「運転免許証」と「ハガキ」を準備の上、インターネットまたは電話で予約を行いましょう。インターネットは、24時間受付が可能なため、時間を気にすることなく予約ができて便利です。

また、認知症検査によるテストを受けに行く場合は、以下を持参していきましょう。

  • 「検査と講習のお知らせ」のハガキ
  • 検査手数料
  • 筆記用具
  • メガネまたは補聴器(必要な方だけ)

認知症検査を受けに行く前日に、上記の持参物があるか確認をしておきましょう。

認知症検査によるテストにかかる料金や時間

認知症によるテストにかかる料金や時間は、以下のとおりです。

  • テストにかかる所要時間:30分程度
  • 検査手数料:750円

認知症検査によるテストにかかる所要時間は、前後はしますが30分程度で終了するので、期間に余裕をもって受けに行くことがおすすめです。

認知症検査のテスト問題に正解するためのポイント

認知症検査のテスト問題に正解するためのポイント

認知症検査では、前述でもお伝えしたとおり、以下3つのテストがあります。

  • 時間の見当識に関するテスト
  • 手がかり再生に関するテスト
  • 介入課題

時間の見当識に関するテストのポイントは、事前に検査日の日付や曜日を確認しておくことです。直前に検査日の年月日と曜日、時間を確認しておくと、安心して検査に臨めるでしょう。

手がかり再生に関するテストでは、イラストを覚える問題がでてくるため、短期記憶に自信がない方は少しトレーニングが必要かもしれません。短期記憶力のトレーニングに関しては、動画やアプリを活用するのがおすすめです。

<関連ページ>「認知症」と「もの忘れ」の違いは?|予防・進行させないために必要なことも解説 

認知症検査のテスト結果について

認知症検査のテスト結果について

認知症検査のテスト結果については、即日、書面で通知されます。検査結果は、採点された点数によって、以下のように判定されます。

  • 記憶力・判断力に心配ありません
  • 記憶力・判断力が少し低くなっています
  • 記憶力・判断力が低くなっています

「記憶力・判断力に心配がありません」と結果が出た方は、2時間程度の高齢者講習を受けることで、運転免許証を更新できます。次いで、「記憶力・判断力が少し低くなっています」の方は、3時間程度の高齢者講習を受けることが必要です。

「記憶力・判断力が低くなっています」と判定がでた場合は、臨時適性検査の受験をするか、医師の診断書の提出が必要となります。どちらかを受けて、認知症と診断されなければ、3時間程度の高齢者講習を受けた後に、更新手続きが可能です。

しかし、認知症と診断されてしまった場合は、残念ながら運転免許証の取り消しとなってしまいます。

<関連ページ>【1人で悩まないで】家族が認知症になったときに頼れる窓口はここ! 

まとめ 

まとめ

認知機能検査によるテストは、75歳以上の高齢者の方が免許証を更新するには、必ず受けなくてはいけません。テスト内容は、認知症がなければ簡単に答えられる内容ではありますが、心配な方は動画やアプリを活用してトレーニングをしておくとよいでしょう。

「車を自分で運転しなくては病院やクリニックに通えない」とお悩みの方は、在宅診療を検討してみてはいかがでしょうか。

わたしたちメドアグリケアでは、関東一都5県(群馬県を除く)、静岡県、愛知県、新潟県など30箇所(2024年5月現在)に在宅診療所を展開しています。24時間365日、対応可能な体制を整えているため、車で病院やクリニックに通うことが難しい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

<参考サイト>

[1]警視庁/防ごう!高齢者の交通事故!/https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html