病院で行っている感染症対策を参考にしましょう
2020年はオリンピックイヤーとなるはずが、テレビや新聞をみると新型コロナウイルス感染症(以下:COVID-19)の話題ばかりですね。感染症対策を社会全体が意識するようになったことで季節性インフルエンザは例年よりも早く収束を迎えましたが、COVID-19はまだまだ流行しています。そこで今回はCOVID-19をはじめとする感染症に対して病院をはじめとする医療機関はどのような対策をしているのか紹介したいと思います。
- 病院は感染症の温床となる
病院や医療機関は健康な人よりも病気に罹患している人の方が多いです。体調不良という一つの症状だけでも、どのような病気が原因で体調不良が起きているのかわかりません。そこで症状からみる感染症の特徴について考えていきましょう。
▲発熱
発熱は風邪でも起きますが、季節性インフルエンザやノロウイルスなどでもみられます。また、COVID-19も発熱が初期症状として有名です。他にもHIVの初期症状として発熱や倦怠感など風邪のような症状が出ることもあります。インフルエンザは飛沫感染で、ノロウイルスは接触感染や経口感染・飛沫感染もします。発熱だけでもこれだけの感染症が疑われるのです。
▲咳・息苦しさ
咳や息苦しさは呼吸器系疾患でよくみられます。COVID-19は肺炎を起こすことが有名ですが、肺炎が進行することで咳や息苦しさ・呼吸困難を引き起こすことが知られています。COVID-19はコロナウイルスというウイルスが原因となっていますが、コロナウイルスは他にもSARS(重症呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の原因ウイルスとしても有名です。SARS・MERSともに呼吸器症候群とついていることから、肺や気管など呼吸器へ影響を及ぼし咳や息苦しさを引き起こすことがあるのです。COVID-19やSARSは飛沫感染や接触感染するため院内感染に気をつけなければいけません。
▲嘔吐
嘔吐とは胃から食べ物をはじめとする内容物が逆流して口腔から吐き出されることをいいます。風邪により消化器の機能低下が起きると嘔吐や胃部不快感を引き起こしますが、ノロウイルスも嘔吐が特徴的です。ノロウイルスは吐瀉物にもウイルスが含まれているため、吐瀉物を消毒してから処理しなければいけません。余談ですが、ノロウイルスはアルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムでなければ消毒できません。ノロウイルスは毎年病院や高齢者介護施設などで集団感染が報告されているため注意が必要です。
ここでは一部の症状を紹介しましたが、これだけでも様々な感染症のリスクがあることがわかりましたね。
- 病院における感染症対策方法
では、感染症対策として病院ではどのような対策をしているのでしょうか。感染症対策の前にみなさんが勘違いしやすい言葉の違いについて紹介していこうと思います。
▲抗菌と除菌と殺菌・消毒と滅菌の違いわかりますか?
ドラッグストアやディスカウントストアなどで販売されている衛生品に「抗菌」や「除菌」「殺菌」と書かれていますがこの違いってわかりますか?抗菌とは菌の増殖を抑制することを意味しています。菌は増殖しやすいところとしにくいところがあり、抗菌効果のある素材で菌が増殖しやすい部位の部品を作ると衛生的になります。除菌は菌を取り除くという、読んで字のままの意味があります。この後に紹介する殺菌にも除菌と同じような効果が含まれますが、日本の法律で医薬品や医薬部外品以外で殺菌という文言を入れることができないため、除菌という言葉で殺菌を表現している商品もあります。殺菌は細菌を殺すことを意味しています。ここでポイントなのは細菌の数が減れば殺菌できたということです。あまり現実的ではない話ですが、100個細菌がいて殺菌効果のあるスプレーで99個まで細菌が減っただけでも「殺菌」という文言が使用できるのです。ただし、実際は100個いた細菌が10程度まで減少して初めて製品化されることが多いためこのような極論は非現実的となるでしょう。
これと同じように消毒と滅菌にも言葉の違いがあります。消毒は細菌の活動性が弱くなる状態です。人体に有害な物質は無害化されることで、微生物の活動性が低下します。しかし、消毒をしたからといって微生物が完全にいなくなるわけではありません。どれくらいの微生物を無害化させるかで高水準〜低水準か定義されます。一方、滅菌は全ての菌・ウイルスを死滅させることをいいます。市販品の中で「滅菌」という言葉はあまり聞きませんが、「滅菌済ガーゼ」というような表現で使用されることが多いですね。滅菌することで微生物や細菌・ウイルスを問わず死滅させることができるため、手術など衛生的な操作が求められる際にも安心して使用できます。
▲病院で行われる感染症対策
COVID-19だけでなくインフルエンザやノロウイルスなど感染症対策として何を重要視しているのでしょうか。
■感染者の隔離
感染症には必ず感染者がいます。その感染者を非感染者と隔離させることで新しい感染経路を防ぐことにつながるのです。インフルエンザの疑いがある患者さんは他の患者さんと違う待合室を用意することで感染拡大防止ができます。COVID-19でも同様のことがいえます。飛沫感染するような疾患の場合は隔離が必須となります。
患者さんだけでなく医療スタッフや職員も体調不良があればすぐに連絡してお休みをとる必要があります。患者さんへ感染させてしまうだけでなく医療スタッフや職員にも感染を拡げてしまうリスクがあります。
■感染者の早期発見
感染者を早期に発見して隔離することが感染拡大を防ぐことにつながります。インフルエンザが疑われるような場合は隔離した上で、早期検査・早期治療をすると治療期間も短くなります。
■使用器具の消毒・滅菌
患者さんに使用した器具は必ず消毒・滅菌をしています。レントゲン機器やCT機器など大型なものは滅菌操作できないため消毒をする・使用するときにシートを敷くなどして汚染を抑えるようにしています。患者さんに直接使用するピンセットやガーゼなどは洗浄してから滅菌操作することで衛生的な医療が提供できます。
■施設の衛生管理
病院内には多くの疾患を抱えた患者さんがいます。その患者さんが手すりや扉などを触るため手すりや扉も消毒します。さらに、院内はほこりやダニなどハウスダストの原因となるものもないように清潔に保ちます。このように施設の衛生管理をすることで感染症予防につながります。
- 感染症になったらどのようにすれば良いのか
病院では感染症対策を十二分に行っていることがわかりましたね。しかし、COVID-19を初めノロウイルスなどは定期的に院内感染が起きています。では、みなさんが自宅などで感染症の疑いがある症状が出た場合はどのようにすれば良いでしょうか。
▲すぐに病院へ行かない
感染症が疑われるような症状がある場合はすぐに病院へ行かず、相談ダイヤルなどへ電話して指示を仰ぎましょう。症状によっては専門的な医院へ紹介しなければいけません。一般的な風邪のような症状と違う場合は一度相談してから病院へいきましょう。
▲人に会わない
COVID-19関連で「ステイホーム」という合言葉が身近になりました。症状がある場合は自宅で療養するようにしましょう。少し前までは風邪気味でも仕事へ行く・遊ぶ約束があれば遊びに行くなど少し無理をしていた人もいましたよね。ですが、COVID-19の騒動から変わりましたよね。人に会わないことは英断です。ぜひ体調が優れないときは人に会わないようにしてください。
- 感染症はいつ誰がなってもおかしくない
COVID-19によって手洗い・うがいの習慣がついた方も多いのではないでしょうか。しかし、感染症はCOVID-19だけではありません。他にも多くのウイルスや細菌が街中に溢れているのです。そしてそのウイルスや細菌は誰でも感染するリスクを抱えています。当クリニックでも訪問医療を行う際に患者さんのご自宅へウイルスや細菌を持ち込まない・患者さんの自宅から持ち帰らないよう配慮をしております。COVID-19はまだまだ終息の気配を見せませんが誰がいつ感染してもおかしくないという意識を持ち、手洗い・うがいなどの感染症対策をしてください。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。