高齢化社会へ突入した日本で増加している認知症の検査方法を紹介します
当サイトでも紹介していますが、日本は超高齢化社会へと歩みを進めています。1億3000万人近くいる日本人のうち、何を基準に超高齢化社会と読んでいるのでしょうか。また、超高齢化社会になったことでどのような問題があるのでしょうか。今回は超高齢化社会によって起こされる問題の一つとして認知症に注目して話を進めてみたいと思います。
- 超高齢化社会の定義
高齢化という言葉の意味を十分に理解している人は少ないです。多くの人は高齢者になることを「高齢化」と呼ぶと思っていますがそうではありません。高齢者の人数が全人口の一定数を超えたら高齢化と呼ぶのです。では、高齢者とはどのような人たちのことを言うのでしょうか。WHO(世界保健機関)は65歳以上の人を高齢者と定義しています。WHO基準を採用し、当サイトでも65歳以上のことを高齢者と定義します。
日本の高齢化はどのような推移を辿ってきたのかみていきましょう。内閣府が発表している高齢社会白書を見ると日本の高齢化社会の現状や推移がわかります。2017年現在、日本の総人口は約1億2671万人です。この中の約27%にあたる3515万人が高齢者となっています。日本人の4人に1人が高齢者というデータが明らかになりました。この数字を見てみなさんは高齢化社会がきているとより強く感じるのではないでしょうか。高齢化社会真っ只中の日本がどのような推移で高齢化を迎えていたのか振り返りましょう。
統計調査を開始した昭和25年では、総人口が約8400万人でそのうち約5%が高齢者でした。およそ20人に1人が高齢者ということです。その後、ベビーブームを迎え人口は1億人を超えるようになりましたが、それに合わせて高齢者数も増加していきます。2000年には総人口1億20000万人、そのうち約17%が高齢者になりました。そして2017年現在では国民の4人に1人が高齢者になってしまったのです。では、日本の高齢化社会は今後どのような推移を辿るのでしょうか。
▲これからの高齢化
突然ですがみなさんに質問です。日本の人口は増加傾向であると思いますか?それとも減少傾向だと思いますか?答えは減少傾向です。2020年の8月には「前年度と比較して50万人減少している」というニュースが流れました。日本の人口は減少していきますが、国民が歳を取るのは待てません。
内閣府の予想では2025年から日本の総人口は減少の一途を辿ります。2050年には総人口1億人を割ると予想しています。人口が減る中でも国内の高齢者数は増加し続けるため、高齢化率も増加します。2065年には総人口8800万人に対して約40%が高齢者と予想されています。2.5人に1人が高齢者になると超高齢化社会になっていると実感が湧くのではないでしょうか。
- 高齢化からみる問題
高齢化が進行すると日本国内にはメリットよりもデメリットの方が多くなります。その中でも医療に関しての問題点は多いです。実際にどのような問題点があるのか紹介していきます。
▲医療施設の不足
医療施設とは病院やクリニック・診療所といった医療機関のことをいいます。高齢者数が多くなると入院しなければいけない人も増えます。病気の中には外科処置が必要なものや、寝たきりになってしまうものもあるからです。入院できる施設には限りがあり、高齢者の全てを収容できるとは思えません。2020年現在の施設数では今後起きるであろう超高齢化社会において医療施設不足問題が起きかねないのです。
この問題の背景には高齢者の持病だけでなく、寿命の延長も関係しています。1950年には男性の寿命が58歳、女性の寿命は61歳でした。それが2020年には男性の寿命81歳、女性の寿命87歳となっています。これが2065年になると男性の寿命84歳、女性の寿命91歳となる予想です。これはがんに対する重粒子線治療やiPS細胞などを使った再生療法が活発になるからと予想されています。他にもがんを早期発見する検査キットの発明や副作用の少ないワクチンや治療薬の流通なども影響しているのではないでしょうか。
▲医療従事者の不足
人口が減少して高齢者が増加すると働く世代が少なくなります。医療従事者が少なくなると病院など医療機関で働く人も少なくなり、病院機能にも影響を与えてしまうのです。医療体制だけでなく介護業界にも人材不足の流れは影響が出ていくことが想像できます。
▲疾患の増加
高齢者の方は若い方に比べて疾患を多く抱えています。高齢者の方がかかりやすい病気には以下のものがあります。
■がん
がんは日本人の死因第一位になる疾患です。胃がんや大腸がん、肺がんなどが発生率が多いですが肝臓がんや膵臓がん、口腔がんなど珍しいがんもあります。他にも骨にできる肉腫や皮膚にできるメラノーマなどもがんの一部です。がんは長期的な療養が必要になる他、外科処置や化学療法・薬剤療法など多くの治療法を併用しながら行われます。
■高血圧
血管に圧力が強くかかっている状態を高血圧と呼びます。自覚症状なく進行しますが、高血圧は万病の元と呼ばれるように高血圧がある人は心臓血管病のリスクが高くなります。また、腎臓にも負担をかけるため腎機能低下が見られることもあるのです。
■糖尿病
食後に増加した血糖値を減少させるインスリン。このインスリンの分泌が低下してしまう病気が糖尿病です。生活習慣病の代表として知られる糖尿病ですが、放置したままにすれば腎臓病や肝硬変など全身疾患を引き起こすリスクが高くなります。
■認知症
近年、高齢者で増加傾向にあるのが認知症です。高齢者の増加とともに認知症患者数も増加しています。高齢になれば物忘れやうっかりミスも増えていきます。しかし、認知症はそれらと比べ物にならないほど記憶が欠落してしまうのです。
- 認知症と高齢者
認知症とは、脳機能が低下する・脳細胞が死滅することで脳機能が十分に働かなくなる状態をいいます。人間の脳は日々数百個死滅していますがそれでも脳機能は十分に働いています。日常生活に支障が出るほど脳の働きが低下してしまうと認知症の疑いが強くなります。
▲加齢による物忘れと認知症の違い
加齢による物忘れは老化が原因になります。直近に経験したことだけでなく、昔話も一部忘れることがあり、自分が物忘れをしている自覚もあるのです。日常生活に支障はなく、買い物をするときにはメモを取るなどの対処法があります。
一方、認知症による物忘れは病的に進行していきます。記憶のほとんどを忘れてしまい、トイレをする・歯磨きをする・ご飯を食べた食べないなどの記憶も無くなってしまい日常生活へ影響が出てしまうのです。
▲認知症の種類
認知症は大きく3種類に分けることができます。アルツハイマー型認知症・脳血管型認知症・レビー小体型認知症の3種類です。
■アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は脳内にタンパク質が沈着することで脳神経が死滅していきます。記憶の中枢を司どる海馬という部分を中心に萎縮していき、認知機能障害が出てきます。
■脳血管型認知症
脳血管型認知症は脳梗塞や脳出血など、脳血管疾患が原因で脳の血液循環が悪化し、脳細胞が死滅することで進行する認知症です。脳血管疾患が起きた部位のみで脳神経細胞が死滅するため進行することは少ないです。記憶障害だけでなく、手足の痺れなど脳血管疾患の後遺症も付随して見られます。
■レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体というものができ脳神経細胞が死滅することで進行する認知症です。脳萎縮は見られませんが、パーキンソン病のような振戦(身体が小刻みに震える)や睡眠障害・自律神経症状などが特徴的です。疾患の症状は良い時と悪いときで波があり、急速に進行することも珍しくありません。
▲認知症の検査
認知症の有無を調べるときはMRI検査やCT検査など脳画像検査をすることがあります。また、併用して神経心理学検査を行うことも珍しくありません。神経心理学検査の中には長谷川式簡易的知能評価スケールやミニメンタルステート検査、時計描画テストがあります。
これらの検査を複数行い、総合的に認知機能の低下や脳の萎縮などを判断して認知症の有無を決定するのです。
- 認知症は総合的なサポートが必要
認知症は家族だけでなく近所の人や親戚など総合的なサポートをしなければいけません。ご家族が認知症かもと不安な方は早めに医療機関へ相談するようにしましょう。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
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