生活習慣病の割合は増加傾向!患者数と年間医療費を調べてみた
生活習慣病はがん、高血圧、脂質異常症、脳血管疾患、心疾患などがこれに該当します。以前までは成人病と呼ばれ、成人のみかかる疾患というイメージが強かったですが、近年では生活習慣が原因で発症すると判明して生活習慣病という名称へ変更されました。日本人の3大死因はがん・脳血管疾患・心疾患ですが、これら全て発症の起因は生活習慣病といっても過言ではないのです。そこで今回は生活習慣病について詳しくみていこうと思います。
- 生活習慣病と人類の戦い
生活習慣病に罹患している人は年々増加傾向となっています。その背景には食が豊かになったことがあります。高度経済成長期あたりから国内には多くの飲食店が乱立しました。海外から俗にいうファストフード店というものも登場します。そして、早い・やすい・うまいを合言葉にする飲食店まで登場するのです。これらは栄養バランスよりも美味しさやインパクトなどに重きをおく傾向があり、総じて高カロリー食となっています。
ファストフードの利便性や簡便性により、人々の生活は豊かになりましたが、生活習慣病の患者数が増加しました。外食文化に慣れてしまった結果、食事栄養バランスが崩壊したのです。生活習慣病は遺伝的要因も関係しています。しかし、確実に遺伝で発症するのではありません。あくまでも遺伝は要因であり、原因は生活習慣になるのです。
- 生活習慣病の特徴と対策
生活習慣病の特徴はまさに「無症状」です。ほとんどの生活習慣病では症状なく進行していきます。特に高血圧や糖尿病など後々重大な病気を招く恐れのある疾患は無症状で進行しやすいです。無症状で進行すると、健康診断などで指摘され、気付いたときには投薬治療開始となるケースも珍しくありません。
無症状が故に生活習慣病と真っ向から向き合う人の数も少ないです。症状がなければ病気として認識せず、意識改革もしないのです。次に生活習慣病の対策を紹介します。
▲健康づくりのための身体活動基準
厚生労働省はライフステージに応じた健康づくりのための身体活動(生活活動・運動)を推進することで健康日本21(第二次)の推進に資するよう、 「健康づくりのための運動基準2006」を改定し、 「健康づくりのための身体活動基準 2013」を策定しました。今回は、身体活動(生活活動及び運動)全体に着目することの重要性から、「運動基準」から「身体活動基準」に名称を改めたのがポイントとなります。厚生労働省は、身体活動の増加でリスクを低減できるものとして、従来の糖尿病・循環器疾患等に加え、がんやロコモティブシンドローム・認知症が含まれることを明確化しました。
▲栄養・食育対策
体重は健康と栄養状態の目安として医療現場でも使用されています。太り過ぎの場合、がんや循環器疾患、脳疾患、糖尿病のリスクが上がります。一方、痩せすぎでは骨量減少や低体重児出産のリスクが高くなり、適度な体重が求められるのです。
厚生労働省では、適正体重を決めています。適正体重はBMIという指標で求められます。BMI=体重(kg)÷身長(m)の二乗です。ここでポイントは単位を間違えないことです。体重はkgで身長はmです。Cmではなく、mで表記されるのがポイントとなります。年齢により適正体重は決まっています。
栄養素の面では、食事バランスに注意しましょう。主食や主菜・副菜を組み合わせてバランスの良い食事をとりましょう。主食にはご飯、パン、麺など穀物類が入ります。主菜は魚や肉、卵、大豆などです。副菜には野菜や芋、海藻が入ります。
▲飲酒・喫煙対策
適度な飲酒は健康維持に効果を示します。酒は百薬の長という言葉があるように、お酒を楽しみながら人生を謳歌している人はたくさんいるのです。しかし、中にはお酒に飲まれてしまう人もいます。お酒を飲み過ぎると数値が高くなるのがγ―GTPです。肝臓の数値で、アルコールにより肝機能障害が起きている場合高くなります。
過度な飲酒は健康被害の元となります。例えば、がんや脳萎縮、うつ病はお酒の飲み過ぎにより起きると報告されているのです。仕事上、どうしてもお酒の席が外せないという人でも、今はコロナにより飲食店が空いていません。これを良い機会だと思い、休肝期間としましょう。
喫煙も生活習慣病を誘発します。タバコが生活習慣病にとって厄介なのは吸う人だけでなく、吸わない人にも健康被害を及ぼすのです。吸っている本人に起きる健康被害は「能動喫煙」によるもので、吸わない人にまで及ぼす健康被害を「受動喫煙」と呼びます。
能動喫煙では、口腔がんや肺がんなど各種がんの発症要因となるほか、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患を招く恐れがあります。他にも慢性閉塞性肺疾患(COPD)や早産など妊娠期の疾患も招くのです。一方、受動喫煙は肺がんや心疾患の原因となります。
- 生活習慣病の患者数
世界や日本で生活習慣病に罹患している人はどれくらいいるのでしょうか。また、それらにかかる医療費はどの程度なのでしょうか。今回は各生活習慣病とその医療費・患者数などをみていこうと思います。
▲高血圧
高血圧の患者数は993万7000人です。年間医療費は1兆7907億円、年間死亡者数は9500人ですが高血圧が起因となり発症する関連疾患によるものです。厚生労働省が2019年に公表した国民生活基礎調査をみると、病院や診療所へ通院している人の通院理由上位に高血圧が入っています。高血圧は血管にダメージを与え続けるため、放置してしまうと脳血管疾患の発症を招いてしまいます。
▲脂質異常症
脂質異常症の患者数は220万5000人です。このうち男性は63万人、女性は156万人と、圧倒的に女性の患者が多いのです。
▲糖尿病
糖尿病の患者数は1000万人です。年間医療費は1兆2239億円。年間死亡者数は1万3900人となっています。生活習慣病の王様といっても過言ではなく、多くの方が糖尿病で苦しんでいます。糖尿病と診断されている人以外にも、「糖尿病が強く疑われる」人の数も年々増加傾向となっているのです。その背景には、ファストフードなど外食革命があります。糖尿病患者数の増加に伴い、肥満者の割合も増加しているのです。
▲メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームの患者はそうでない患者と比べて、高血圧の頻度が約3倍あります。肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症のうち3つ以上あてはまると、当てはまらない人と比べて心筋梗塞・狭心症の発症率が36倍もあるとされています。2019年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」では、肥満の人は男性で33%、女性で22%となっていました。
▲慢性腎臓病
慢性腎臓病の患者数は1330万人です。そのうち透析治療をしている患者数は33万人となります。透析は体力を消耗するため、寿命が短くなる傾向があります。糖尿病が起因となり発症する慢性腎臓病患者も多いです。
▲心筋梗塞
心筋梗塞の患者数は173万人です。そのうち年間死亡者数は20万人前後。年間医療費は7500億円です。心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患は急に発症して、死亡することが多いため、発症リスクとなる生活習慣病を改善する必要があります。
特に喫煙者や動脈硬化の人は心筋梗塞の発症リスクが高いでしょう。動脈硬化の人は、5人に1人が心臓や脳の病気で亡くなっています。
▲歯周病
歯周病患者数は世界で一番多いとされています。ギネスブックに歯周病は世界で最も多い患者が罹患した疾患として登録されているのです。日本における医療費はおよそ2兆9000億円。今まで紹介した疾患よりも莫大に医療費がかかっているのです。日本の医療費は年間約42兆円です。その1/20が歯周病に費やされています。
- 生活習慣病を治すのは自分次第
生活習慣病を治す特効薬は自分の生活を改めることです。自分が変われば病気が治ると思えば、すぐに行動できるのではないでしょうか。しかし、重くて腰が上がらない…そんな方はぜひ医療機関へ相談ください。
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