高齢者のひきこもりとは?解決方法を解説
「ひきこもり」と聞くと、若い人のイメージがありますが、最近は中高年の引きこもりが増加しているのをご存知でしょうか?
ひきこもりの子が高齢になり、高齢の親が高齢の子の生活を支える「8050問題」が課題になっており、事態は深刻化しています。
今回は高齢者のひきこもりや8050問題について解説します。「ひきこもりをどのように防いだら良いかわからない」などご不安がある方はぜひ参考にしてください。
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高齢者のひきこもりとは
ひきこもりの定義として、以下の4つの状態が6ヶ月以上続いていることを指します。
・自室からほとんどでない
・自室からは出るが、家からは出ない
・ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける
・ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する
ひきこもりと言えば、若い人のイメージがありますが、40代以上のひきこもりの割合は年々増加しています。内閣府によると、40〜64歳のひきこもりは全国に61万3,000人いると発表されました。15~39歳の54万1000人を上回っており、ひきこもりの高齢化が進んでいることがわかります。
また全国ひきこもり家族会連合会「KHJ全国実態調査報告」によると、2010年は40歳以上の割合が10%でしたが、2021年には30%を超えています。
ひきこもりが長期化すればするほど、事態が複雑化し解決が困難になるため、早期に問題解決することが重要と言えます。
ひきこもりの原因とは
ひきこもりのきっかけは、どのようなものがあるのでしょうか。
①仕事を失う
職場環境や人間関係などが原因で退職してから、就職ができていないケースです。転職活動がうまくいかず、そのまま諦めてしまうことがあります。
中高年の場合、リストラや会社の倒産で退職を余儀なくされたという方も多い年代です。「この年から新しい仕事をしたくない」「年下に教えてもらうのが嫌」など、新しい仕事に就くことへの抵抗感から、ひきこもりが長期化することがあります。
②病気や怪我
病気や怪我が原因で、就労や外に出ることができなくなってしまうことがあります。精神疾患によって人との関わりを拒否してしまうことも。
仕事を休んでいたブランクから、復職に対して抵抗がある方も多いです。
③ニートの増加
総務省によると、2010年は99万人だった無業者が、2020年には108万人に増加していると発表しています。若い頃からひきこもっていると、インターネットやゲームなどに熱中し、社会に出ず、家にひきこもってしまうことがあります。
④親がひきこもりを隠してしまう
子供が家にひきこもっていることに対し、周りの目を気にしてしまって、ひきこもりを隠してしまうことがあります。親が「恥ずかしい」という気持ちになり、親子共にひきこもりになってしまうケースもあります。
ひきこもりの事実がわからないと、行政も援助することができなくなってしまいます。
海外から見ると、日本の風潮や文化がひきこもりを引き起こす原因になっていると指摘しています。
8050問題とは
今問題になっているのが「8050問題」です。80代の親が、ひきこもっている50代の子供の生活を支えることを指します。
ひきこもりの当事者が徐々に高齢になり、親が80代・子が50代になっています。そのため親に大きな負担がかかっていることがわかります。1980~1990年代にかけて顕在化した若者の”ひきこもり”を放置したことにあると多くの専門家は指摘しています。
親子共に高齢になると、フレイルに陥って体力が落ちてしまい、体力低下や認知症を発症しやすくなる可能性があります。
またコロナ禍により、ひきこもりはより深刻になっています。コロナで外出を控えたり人との関わりがより少なくなっていたり、コロナによる失業が理由です。
8050問題は今後も深刻な事態になっていくと予測されており、9060問題に移行していくのではとも言われています。
ひきこもりで問題になること
①経済的問題
子供がひきこもりになると、親の収入で生活するしかありません。子供が若い頃は親が働いて養えていたとしても、親が定年退職すると親の年金に頼るしかありません。
コロナ禍で収入が減り、より生活が大変になっている方も増えています。生活保護を申請そもそも自分が対象になることを知らなかったり、生活保護は「最後の砦」と考えている方が多く、経済的問題を抱えたまま生活している人も少なくありません。
②介護問題
親子共に高齢になると問題になるのが介護です。ひきこもりが長期化すると筋力の低下や認知症を発症し、介護が必要になることがあります。
周りとの関わりがないと、困っていても人に相談することができず、ネグレクトにつながる恐れがあります。実際介護問題を解消できず、自宅で親子で亡くなっていたというケースがあります。
引きこもりを解決するためには
①早めの対応が必要
ひきこもりの期間が長くなればなるほど、解決が難しくなることがわかっています。
ひきこもりは、10代後半〜20代前半から始まることが多く、一度ひきこもりになるとなかなか状況が変わらないです。
ひきこもりが長期化すると、社会復帰も難しくなる可能性があります。
②病院や支援団体へ相談する
ひきこもりの家庭では、相談できる人がいなかったり、相談するきっかけがありません。
ひきこもりを支援する団体もありますが、そもそもの存在を知らないという方も多いです。例えば受診している病院や行政へ相談することで、関係機関へつながることができるでしょう。
ひきこもりは、状況が長くなると解決が難しくなるため、早期介入が必要です。支援が必要な状況であれば、まずはかかりつけ医や役所などの自治体へ相談してみることをおすすめします。