高齢者が筋力低下を起こす原因は〇〇|予防策まで解説!
「歩いている時につまずきやすくなった」「ペットボトルやビンの蓋が開けられなくなった」こんなお悩みありませんか?
年齢を重ねると筋力が低下しやすく、転倒して骨折するリスクも高まります。
しかし、原因と予防策を知っておくことで、筋力の低下は予防することができます。
この記事では、高齢者が筋力低下を起こしやすい原因と予防策まで解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
Contents
高齢者が筋力低下を起こす原因とは?
全身の筋肉量が減少することで、筋力・身体機能が低下することを「サルコペニア」といいます。
サルコペニアとなる原因は、以下の4つがあります。
- 純粋な加齢
- 運動不足
- 病気や病気による後遺症
- 栄養不足
加齢に伴って筋力低下が起こることを「一次性サルコペニア」といい、病気や栄養不足など加齢以外が原因で筋力低下が起こることを「二次性サルコペニア」といいます。
一次性・二次性サルコペニアを放っておくと要介護の状態となる原因になるため、早い段階で対策・予防が必要です。
【高齢者】筋力低下による日常生活への影響
高齢者の筋力低下が進むことで、日常生活に影響を及ぼすようになります。
具体的な症状は、以下の7つ。
- 疲れやすい
- 床からの立ち上がりは、手をつかないとできない
- 横断歩道を青信号のうちに渡りきれない
- つまずきやすい
- 転倒するようになった
- ペットボトルやビンの蓋が開けられない
- 階段を昇り降りする時は、手すりが必須
このように、筋力が低下している状態を放っておくと「ロコモティブシンドローム」や「フレイル」へと進行し、要介護となる危険性があります。
「ロコモティブシンドローム」
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは、「筋肉や関節、骨などの運動器が障害されることによって移動機能の低下をきたした状態」のことを言います。
わかりやすく言うと、人間は筋肉や関節、骨、神経などが連携して体を動かしていますが、どれか一つでも障害されてしまうと筋肉や関節などの連携がうまくいかず、立ったり歩いたりすることが難しくなってしまうことがロコモです。
ロコモが進行すると、将来的に寝たきりとなったり病気や骨折などのリスクが高くなってしまいます。
また、ロコモと高齢者の筋力低下(サルコペニア)は密接に関係しており、サルコペニアが進行することで、筋力だけでなく、関節や骨、神経にまで影響が及ぶためロコモになってしまいます。
そのため、まずは筋力低下を予防することが重要です。
「ロコモについて詳しく知りたい!」という方は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
〈参考記事〉ロコモティブシンドロームの予防で長く歩けるカラダ作り
健康と要介護の間「フレイル」
フレイルは低栄養や運動器障害(ロコモ)などによる身体面、うつや認知症などの精神・認知面、引きこもりや孤立などの社会面の3要素で構成されています。
そのため、フレイルを改善するためには3要素を総合的に判断し、対応することが必要です。
しかし、身体面からなるフレイルは予防できる可能性があります。
なぜなら、身体面からなるフレイルは加齢や病気などによる筋力低下(サルコペニア)も要素の一つだからです。
以下の厚生労働省が発表した「フレイルサイクル」をみてみましょう。
出典:厚生労働省「高齢者」
サルコペニアがフレイルの原因のひとつです。
そのため、まずは筋力低下を予防することが重要であるといえます。
「フレイルについて詳しく知りたい!」という方は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
〈参考記事〉フレイルとは?簡単チェックや予防方法について解説
【簡単】高齢者の筋力低下をチェックする方法
筋力低下を簡単にチェックする方法を紹介します。
チェック方法は「指輪っかテスト」です。
指輪っかテストの手順は以下の通りです。
- 両手の親指と人差し指で輪を作る
- 利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分を力を入れずに軽く囲む
以下の画像を参考にすると、サルコペニアの危険度がわかります。
出典:東京大学高齢社会総合研究機構 鮫島研究室「フレイルを知ろう」
「ふくらはぎをちょうど囲める」「指と足の間に隙間ができる」という方は、特に筋力低下が起きている可能性があるので、対策・予防する必要があります。
高齢者が筋力低下しないための予防策
高齢者の筋力低下を予防するには、以下3つが重要です。
- 運動習慣をつける
- たんぱく質を摂る
- 多くの人と接する
以下で1つずつ解説します。
運動習慣をつける
高齢者の筋力低下の多くは、運動不足が原因です。
そのため、運動習慣をつけて、筋力・体力をつける必要があります。
具体的に以下のような運動をオススメします。
- 筋力トレーニング
- 有酸素運動
以下で、1つずつ詳しく解説します。
筋力トレーニング
筋力をつけるためには、筋力トレーニングが必須です。
高齢者の筋力低下(サルコペニア)では、以下の部位で筋力低下を起こしやすいと言われています。
- 広背筋(背中の筋肉)
- 腹筋
- 足全体の筋肉
- お尻の筋肉
これらの筋肉は、重力に逆らうために必要な筋肉です。(抗重力筋)
そのため、抗重力筋が筋力低下することによって、立ち上がりや歩行が難しくなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。
具体的には以下のような運動を行うと良いでしょう。
- ハーフスクワット
- つま先立ち
- お尻上げ
- もも上げ
これらの運動が抗重力筋を鍛えるには効果的です。
有酸素運動
筋力トレーニングだけでなく、軽く息が上がる運動(有酸素運動)を取り入れていきましょう。
理由は、有酸素運動をすることによって全身の筋肉が働き、タンパク質の合成を促進させるからです。
タンパク質の合成が促進されることで、筋肉量の増加・維持に繋がります。
以下が有酸素運動です。
- ウォーキング
- ランニング
- 水泳
- サイクリング
- ラジオ体操
できるだけ毎日続けることが重要です。
いきなりハードな運動を行うと体への負担が大きいため、ウォーキングから始めるのがオススメです。
心疾患などの持病がある方は、どのくらいの運動にすれば良いのかかかりつけ医へ相談するようにしてください。
たんぱく質を摂る
高齢者の筋力低下を予防するためには、たんぱく質を摂りましょう。
特に高齢になることでたんぱく質の合成が遅くなるため、より一層たんぱく質を含んだ食材を食べるように意識する必要があります。
たんぱく質の摂取量は、厚生労働省が作成した以下の画像を参考にしてください。
より詳しいたんぱく質の目標値を知りたい方は、お住まいの市町村にある保健センターや管理栄養士にご相談ください。
また、たんぱく質だけでなく、さまざまな食材を食べてバランスの良い食事を摂るようにしましょう。
薬剤の見直しが必要かも?
「食べたいけど、食事が進まない」という方は”薬の見直し”が必要かもしれません。
なぜなら、薬の副作用によって食欲不振を起こしている可能性があるからです。
また、薬が病気などに適していても、高齢者になると生理機能低下によって薬が効きすぎることもあります。
その場合は、薬の量や種類の変更などをかかりつけ医へ相談するといいでしょう。
多くの人と接する
運動や栄養の摂れる食事だけでなく、人との関わりも重要です。
その理由は、独居や孤独感も高齢者の低栄養の要因と言われているからです。
出典:厚生労働省「高齢者」
人と接する機会を作っておくことで、認知症予防や生きがいにもなります。
地域活動などに積極的に参加し、健康的な生活を送りましょう。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、高齢者が筋力低下を起こす原因について解説しました。
筋力低下を起こすことでロコモやフレイルとなり、将来寝たきりとなる可能性が高くなります。
まずは、「指輪っかテスト」で筋力低下していないか現状を把握し、予防・対策することがおすすめです。
長く健康的な生活を送るために、筋力トレーニングや有酸素運動、食事、人との関わりを積極的に実践しましょう。