パーキンソン病のセルフチェック|パーキンソニズムとの違いも解説
「パーキンソン病のセルフチェックについて知りたい」こんなお悩みを解決できる記事です。
パーキンソン病は、病状が進行していく厚生労働省が定める難病の一種です。
しかし、日本神経学会は、「早期パーキンソン病を未治療のまま経過観察するリスクを考慮し、特別な理由がない限りにおいて、診断後できるだけ早期に治療開始することを提案する※1」としているため、早期発見が重要です。
この記事では、パーキンソン病で見られる症状を元にセルフチェックを紹介していますので、少しでも疑いがある場合はかかりつけ医に相談してください。
また、パーキンソニズムとの違いについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
※1:引用:日本神経学会「CQ1早期パーキンソン病の治療はどのとうに行うべきか」
Contents
パーキンソン病の症状
パーキンソン病は、「運動症状」と「非運動症状」が現れます。
具体的には以下のとおりです。
- 運動症状
- 振戦(ふるえ)
- 筋強剛(こわばり)
- 無動・動作緩慢
- 姿勢保持障害
- 歩行障害
- 非運動症状
- 睡眠障害
- 自律神経障害
- 精神・認知症状
- 嗅覚障害
- 痛み・倦怠感
参照:日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」
これらの中にはパーキンソン病特有の症状もあるので、以下でチェックしてみましょう。
パーキンソン病のセルフチェック
パーキンソン病は、「運動症状」「非運動症状」が出現するため、それぞれのセルフチェックを紹介します。
※以下で紹介するセルフチェックは、パーキンソン病を断定するものではありません。
本来、パーキンソン病は医師が問診・症状の確認・検査などを行った後に診断されますので、疑いがある場合はかかりつけ医に相談してください。
パーキンソン病のセルフチェック①|運動症状
以下の症状は、パーキンソン病特有の動きや反応が多いので、しっかり観察しておきましょう。
運動症状のチェック項目は、以下のとおりです。
- 振戦(ふるえ)
- 安静にしているが、手足がふるえる(1秒間に4〜6回程度)
- 動かすと震えが止まる・減少する
- 筋強剛(こわばり)
- 他人が動かすと抵抗を感じる(自覚なし)
- 常に一定の抵抗がある
- カクカクとした抵抗がある
- 他人が動かすと抵抗を感じる(自覚なし)
- 無動・動作緩慢
- 動きがゆっくり
- 表情が乏しい
- 字が小さい
- 声が小さい
- 言葉がはっきりしないことがある
- 姿勢保持障害
- バランスを崩し、転ぶようになった
- 歩行障害
- 一歩目がすくんで出ない
- 歩幅が小さい(小刻み歩行)
- 歩き出すとブレーキできない(突進歩行)
- 方向転換がむずかしい
- 歩く時の腕の振りがない
出典:日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」
振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(こわばり)は、パーキンソン病の初期症状として現れることが多いと言われています。
ただし、個人差があるため、姿勢保持障害などについても注意深い観察が必要です。
上記のような症状が少しでも見られる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
パーキンソン病のセルフチェック②|非運動症状
パーキンソン病は非運動症状も現れるので、しっかりチェックしておきましょう。
日本内科学会によると「非運動症状は、運動症状が発症する20年前もしくはそれ以上前に発症することがある※2」と発表されています。
自覚症状がないケースが多いため、ご家族さまなどの注意深い観察が必要です。
非運動症状のチェック項目は、以下のとおりです。
- 睡眠障害
- なかなか寝付けない(夜間不眠)
- 朝になっても起きられない(日中過眠)
- 急に眠くなることがある
- 寝ていると大声をあげたり暴れたりする(レム睡眠行動障害)
- 寝る前に足に不快感がある・運動欲求が抑えられない
- 自律神経障害
- 急に立ち上がると立ちくらみやめまいがする
- トイレの回数が多い
- 尿失禁がある
- 汗の量が多い
- 食べ物が飲み込みにくい
- 便秘
- 精神症状
- 気分が落ち込みやすくなった(うつ)
- なにごとにも意欲・興味がわかなくなった
- 幻覚が見えるようになった
- 認知症状
- 記憶力が低下した
- 注意力が低下した
- 予測を立てた行動ができなくなった(洋服を順序立てて着れないなど)
- 物体の認識ができなくなった(空間の把握がむずかしくなる)
- 嗅覚障害
- においがわかりにくくなった
- 痛み・倦怠感
- 筋肉や関節が痛む
- 疲れやすくなった
出典:日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」
日本内科学会は、「個人差が多いが、うつやレム睡眠行動障害(症状:寝ていると大声をあげたり暴れたりする)・便秘・嗅覚障害・痛みなどは運動症状の発症前もしくは発症後早期からみられる傾向にある※2」と発表しています。
また、嗅覚症状はパーキンソン病患者の約90%が発症すると言われているので、まずは嗅覚症状を確認するといいでしょう。
※2引用:日本内科学会:「Parkinson病の新しい理解-非運動症状を含めて-」
パーキンソン病とパーキンソニズムの違い
「パーキンソニズム」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
パーキンソニズムとは、「パーキンソン病とは違う原因でパーキンソン病とよく似た運動症状」が出現することです。
つまり、パーキンソン病とパーキンソニズムは異なります。
発症する原因も異なるため、以下で詳しく解説します。
パーキンソニズムの原因
パーキンソン病は、体を思い通りに動かすために必要な神経物質であるドパミンが減少することで発症しますが、その原因は未だに解明されていません。
しかし、パーキンソニズムの原因はさまざまあります。
パーキンソニズムの発症原因は、以下のとおりです。
- ウイルス性脳炎
- アルツハイマー病
- 多系統萎縮症
- 大脳皮質基底核変性症
- 前頭側頭型認知症
- 進行性核上性麻痺
- 脳腫瘍
- 脳卒中
- 頭部外傷
- ウィルソン病
- 薬剤(抗精神薬など)
- 毒性物質(マンガン・一酸化炭素など)
パーキンソニズムは、パーキンソン病に使われる薬(レボドパなど)を使用しても効果がないことが多く、異なる治療が必要です。
まとめ|パーキンソン病は早期治療が推奨されています
この記事で、パーキンソン病のセルフチェックやパーキンソニズムとの違いについて解説しました。
パーキンソン病は症状・進行度などに個人差があり、医師でも判断がむずかしい場合があります。
しかし、早期に治療開始することが推奨されているため、パーキンソン病の疑いがある場合は注意深く観察し、医師へ相談しましょう。
また、この記事で紹介したセルフチェックは、パーキンソン病を断定するものではありません。
パーキンソン病と診断するには、医師による問診や適切な検査などが必要ですので、まずはかかりつけ医へ相談しましょう。