【熱中症】高齢者ならではの特徴や症状・予防策についても解説
「真夏の暑さで体がしんどい」
「夏に散歩をしていたらめまいがする」
このような経験はありませんか?それらは熱中症によるものかもしれません。
特に、体力や免疫力が低下しがちな高齢者は熱中症にかかりやすく、発見が遅れると重症化してしまうケースもあります。場合によっては命に関わる非常に怖い病気です。
正しい知識、予防策、対処法などを知っておくことで、自分自身だけでなく、家族など周りの人も助けることができるでしょう。この記事では、特に高齢者に焦点を当て、「熱中症」について詳しく説明します。
Contents
高齢者が熱中症になりやすい理由
2024年7月のデータによると、熱中症により救急搬送された患者の約60%が高齢者です。[1]
高齢者は年齢とともに体温調節機能が低下しやすく、汗をかきにくくなるため、体内の熱を効果的に放散できません。
また、暑さや喉の渇きを感じる感覚が鈍くなるため、水分補給が遅れ、知らないうちに脱水症状に陥りやすくなります。
さらに、多くの高齢者が抱えている基礎疾患が、熱中症の発症リスクを高め、症状も重篤化しやすくなります。
〈関連記事〉高齢者が脱水を起こす原因|脱水症状を見逃さないためのポイントや対処法について解説
高齢者によく見られる熱中症の症状
高齢者が熱中症を発症すると、様々な症状が生じます。
軽度、中等度、重度に分けて、それぞれ解説していきます。
軽度の症状
- 倦怠感や疲労感
- めまいやふらつき
- こむら返り
- 頭痛
軽度の症状として、上記のようなものが見られます。
これらの症状は一見、暑さや単なる疲れと区別がつきにくく、風邪とも勘違いしてしまうことがあるため、特に注意が必要です。
こうした軽度の症状は初期症状として現れるため、早めに涼しい場所に移動し、水分補給を行うようにしましょう。
中等度の症状
- 発熱
- 吐き気や嘔吐
軽度の症状から進行すると、上記のような症状が見られます。
これらの症状は、軽度の状態から進行し、体内の水分や塩分のバランスが崩れていることの現れです。
特に高齢者は、体温調節機能が低下しているため、発熱や吐き気が現れた時点で重症化するリスクが高まります。
重度の症状
- 高熱(40度以上)
- 痙攣
- 意識障害
- 呼吸困難
これらの症状は、命に関わる非常に危険な状態です。
体温が40度以上に達すると、体の各機能が正常に働かなくなり、意識がもうろうとしたり、痙攣が起こることがあります。
呼吸が浅くなり、酸素が十分に取り込めなくなることで、呼吸困難に陥ることもあります。これらの重度の症状が現れた場合、直ちに医療機関に緊急搬送し、専門的な治療を受けることが必要です。
わたしたちアグリーグループでは、関東を中心に1都8県31箇所(2024年7月現在)に訪問診療所を展開しています。急な体調の変化に対しても、24時間365日対応が可能なため、お気軽にお問い合わせください。
高齢者が熱中症になったときの特徴
高齢者の熱中症には、以下のような特徴があります。
- 進行が緩やか
- 基礎疾患との複合リスク
- 一人暮らし高齢者のリスク
それぞれ説明していきます。
進行が緩やか
高齢者の熱中症は、若年者に比べて症状の進行が緩やかな傾向があります。これは、体内の機能低下により、急激な変化が現れにくいためです。
軽い倦怠感やふらつきという症状だった場合、重症化していることに気づかない場合が多いです。
高齢者自身が症状を把握しにくいため、注意深く観察をしないと周囲の人も気付くのが困難なケースもあります。
基礎疾患との複合リスク
高齢者は、糖尿病や心臓病などの基礎疾患を抱えていることが多く、これらが熱中症の症状と重なることで、さらに発見が遅れるケースがあります。
特に糖尿病による倦怠感や心疾患による息切れなどは、熱中症の症状と重なり混同されることもあるので注意が必要です。
一人暮らし高齢者のリスク
日本では、高齢者の一人暮らしは年々増加しています。
高齢者が一人暮らしをしている場合、熱中症が発生したときに誰も気づかない可能性があります。
家の中で熱中症を発症しても外からは気づきにくく、発見が遅れるケースが多いため、特に注意が必要です。
高齢者が熱中症にならないための予防策
高齢者の熱中症を予防するためには、日頃からの予防が重要です。以下のポイントを抑えることで、熱中症のリスクを大幅に軽減することができます。
- 定期的な水分補給
- 適切な冷房の使用
- 外出をできるだけ控える
- 初期症状を見逃さない
それぞれ解説していきます。
1. 定期的な水分補給
高齢者は、喉の渇きを感じにくいため、意識的に水分を摂る必要があります。
水分補給には水だけでなく、電解質を含んだ経口補水液やスポーツドリンクなどが効果的です。
また、冷たい飲み物は体を冷やしますが、胃腸に負担をかける場合もあるため、常温の飲み物を適度に摂ることが勧められます。
2. 適切な冷房の使用
室温が高くなる夏場は、エアコンや扇風機を効果的に使って、室内温度を快適に保ちましょう。
室温の目安は26~28度です。冷房を使用している場合でも、適度な換気を行い、室内の空気を新鮮に保ちます。
3. 外出をできるだけ控える
猛暑日はできるだけ外出を控え、涼しい室内で過ごすように心がけましょう。
どうしても外出が必要な場合は10〜15時などの特に暑い時間帯を避けて、日陰や涼しい場所を選び、休憩を頻繁に取ることが重要です。
4. 初期症状を見逃さない
軽度の症状でも油断せず、早めに対策を取ることが重要です。
軽い頭痛や倦怠感を感じた時点で、すぐに涼しい場所に移動し、水分補給を行うことが推奨されます。
また、一人暮らしの高齢者を抱えているご家族の場合、定期的に連絡を取り、体調確認を行うようにしましょう。
熱中症になる前に予防策を
高齢者にとって、夏の暑さは命に関わる深刻な問題です。
日常生活の中で、こまめな水分補給や適切な室内温度の管理、外出時間を考えるなど、簡単な対策を取るだけでも熱中症の予防に大きく役立ちます。
また、少しでも体調の変化を感じたら早めに対応することが重要です。
わたしたちアグリーグループでは、関東を中心に1都8県31箇所(2024年7月現在)に訪問診療所を展開しています。急な体調の変化に対しても、24時間365日対応が可能なため、お気軽にお問い合わせください。
<参考文献>
[1]総務省消防庁の熱中症情報サイト
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r6/heatstroke_sokuhouti_20240701.pdf