在宅医療で日本が抱える問題点はこれ!問題点を理解して在宅医療と向き合おう
近年、在宅医療のニーズが高まっています。その背景には、日本政府の方針が関係しています。しかし、まだまだ在宅医療には問題点や課題があり利用者の方々のお悩みとなっているのではないでしょうか。そこで今回は在宅医療を取り巻く現状だけでなく、在宅医療が抱える問題点を挙げ、みなさまが在宅医療にどのように向き合っていけば良いか紹介していきます。
◼ 在宅医療の現状
▶︎在宅医療の歴史と各種制度の変化
在宅医療は、各年代によって捉え方が変わってくるといっても過言ではないです。例えば、2019年現在で高齢者に分類される1949年以前に生まれた方からすれば在宅医療は身近なものだったと思います。それまでは医療を受ける場合、病院へ出向くよりも自宅に医師が来る在宅医療が主でした。といっても月に何回、毎週何曜日に訪問するといった今のようなあらかじめ決まった定期的な訪問ではなく、容態が急変したら訪問する「往診」という形が一般的でした。よくドラマでも、医師が往診用のカバンを持って亡くなりそうな患者さんの元へ走っていく姿が描かれていますよね。
その後、在宅医療から病院の外来を受診する外来医療へと医療は変化していきました。これは一重に、生活習慣病の増加や高度経済成長で自家用車の保有率が向上したことや交通機関が発達したことで病院までアクセスしやすくなっただけでなく、病院に高度医療機器が導入されたことで精密な検査や診断、治療が可能になったことなど医学の進歩も関係しています。高度医療機器で代表的なものはレントゲンやCT、MRIです。CT、MRIなどの高度医療機器は現在でも在宅医療で使用できず、精密検査や高度な治療が必要な場合は医療機関を受診しなければいけません。
外来医療が中心となった日本ですが、病院へ移動することができない患者さんへの法整備・制度の構築もされてきました。1980年には在宅医療における指導管理料の新設として、糖尿病を治療中の患者さんに対して自己インスリン注射の方法を指導することが保険医療の範囲に設定されました。そして、1986年になると訪問診療の基本的な概念として寝たきり老人に対する訪問診療科の新設が行われました。1996年には在宅終末期医療の提供体制の充実として、在宅で終末期医療を受けている患者さんに対して訪問診療や訪問看護費用が保険医療の範囲内となります。このように日本を挙げて、在宅医療か外来医療か選択できるような環境整備をしてきました。
しかし、時代は流れて日本は高齢化社会へと突入します。70歳未満の健康な人であれば保険料の自己負担額は総額の3割、70歳〜74歳の前期高齢者であれば自己負担額が2割*、75歳以上の後期高齢者は1割*の自己負担額です。(*現役並み所得者・収入額が基準額を超える方は3割負担)
日本は長寿大国として世界からも一目置かれています。その結果、日本の社会補償費を医療費が圧迫しており、病院の数や看護師の数に対して外来医療・入院医療の提供が追いつかないのです。そこで日本は病院医療から在宅医療へとシフトチェンジを試みます。医師や歯科医師などへ向けて、在宅医療を促すような保険点数の設定にしたのです。
もちろん国や医療機関側の意見だけでは病院医療から在宅医療へとシフトチェンジできません。患者さん側からも一定のニーズがあります。厚生労働省が調査した在宅医療に関する国民のニーズを見てみると、終末期の療養場所として希望する場所の約5割強が自宅や住み慣れた場所と回答しているのです。また、終末期ではなく療養の希望としては約4割の人が自宅で介護してほしいと回答しています。ひと昔であれば最期は病院で迎えるのが当たり前だと考えられていましたが、現代では最期の迎え方にも個人の意見や希望が反映されるようになりました。
▶︎在宅医療の利用者数
では、実際に在宅医療は年間どれくらいの人に利用されているのでしょうか。2014年度に実施された患者調査(厚生労働省調べ)によると在宅医療の患者数は過去最多の約15万人超とされています。ここでいう在宅医療とは、定期的に医師が訪問する訪問診療と急変や緊急事態に対応する往診・医師以外が訪問する場合の合計です。
過去のデータを見てみると、1996年から2005年までは在宅医療利用者数は7万人前後で推移していましたが、2011年から11万人と10万人の壁を超えるようになり2014年のデータにつながっています。
それに比し、外来医療の利用者はどうでしょうか。同じく患者調査を見てみると外来医療利用者数は過去最大の351万人となっています。およそ23倍の差があります。この背景には、新薬の開発や医療技術の向上のおかげで通院での治療が可能になっていることなどが関係しているでしょう。
◼ 在宅医療が抱える問題点とできる対策
在宅医療は多くの患者さんにとって、希望や要望を叶える理想的な医療サービスと感じることもできますが、その反面で問題点もあります。そこでここでは在宅医療の抱える問題点とその解決方法について提案していこうと思います。
▶︎家族の負担や迷惑がかかることへの懸念
在宅医療は患者さんの元へ医師や看護師・歯科医師などが訪問して療養を提供する医療サービスです。医療従事者が提供するのはあくまで医療であり、それ以外の日常生活は患者さんやそのご家族に負担がかかることになります。追加で訪問ヘルパーにお願いをしても、ヘルパーさんのいない時間帯には家族が対応しなければいけません。前述の厚生労働省が行なったニーズ調査の結果からも「療養に関する希望」の回答で「子供の家で介護してほしい」と答えた人は全体の2.5%でした。また、「親族の家で介護してほしい」と答えた人はわずか0.5%です。このように多くの人が家族には迷惑をかけたくないという思いがあることがわかっています。例えば子供であっても迷惑がかかてしまうのではないかと在宅医療に踏み切れないという方が一定数いるというのはご家族も理解してあげましょう。
この問題の解決方法としては、家族の方から在宅医療を提案してあげることに尽きます。どうしても患者さん(両親や子供)側から家族へお願いをするのは難しいものです。だからこそ家族から「甘えていいよ」という雰囲気を作ることで、在宅医療を導入する垣根を取り払ってあげることができるのではないでしょうか。
▶︎急変時の不安
在宅医療を検討されている方の多くが急変時の対応に不安な気持ちを持っています。しかし、最近の在宅医療機関の多くは24時間対応できる体制を整えています。また、患者さんやご家族、介護する方に急変時にはどのように対処したら良いか、また在宅医療で対応できる病状か、それとも救急を要する病状なのかの的確な判断と具体的な説明などのサポートをしてくれます。
▶︎後方支援があるのか
急変時に後方支援として、病院など医療機関へ入院する必要が生じても問題ありません。医療機関は患者さんが在宅医療を利用しているからという理由で入院や治療を拒否しません。むしろ在宅医療期間からの紹介状や連携している病院でベッドの確保をしてくれることがほとんどです。在宅医療で対応できない急病の時などは外来医療や入院医療を利用することも、選択肢のひとつとして考えていてもいいでしょう。
▶︎地域に訪問サービスを提供している医療機関があるのか
在宅医療を受けたくても、在宅医療を提供している医療機関がどこにあるのかわからないという方がいます。そういうときは、現在受診している医療機関に相談しましょう。最寄りの在宅医療機関を紹介してくれます。また、家族など身寄りがいない方には身元保証等高齢者サポートをしてくれるスタッフやサービスの紹介なども行なってくれます。
医療機関に相談しにくいという方は、各地域にある地域包括支援センターに相談しましょう。ここでは、ケアマネージャーが介護に関する相談や悩みに真摯に対応してくれます。
◼ まとめ
外来医療から在宅医療へとシフトチェンジされた背景には、日本の進める医療改革だけでなく、患者さんのニーズもありました。実際、在宅で療養を希望する方の割合は増加傾向で、それに伴い在宅医療を利用する人の数も増加の一途をたどっています。その反面、在宅医療を利用するには家族の理解や協力・緊急事態の対応など問題点もありました。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。