在宅で看取るときには何をすれば良い?他施設での看取りと比較して臨終までに起きる身体の変化を解説

末期ガンや持病の悪化が原因で家族が最期を自宅で迎えたいという希望を持っていたときにみなさんはどうしますか?従来であれば、病院で最期を迎える・看取るのが一般的でしたが近年は在宅で看取るケースも増えてきています。そこで、今回は自宅で看取る場合にすべきことと臨終までに身体へどのような変化が起きるのか紹介していこうと思います。

■在宅で看取るということ

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」によると、2020年には年間約1400万人が死亡するとされており、その後も年々増加し2040年には約1600万人強が死亡するとされています。病院や老人向け施設で看取るという方法もありますが、患者さんが希望する場合には出来るだけ在宅看取りを検討してみてはいかがでしょうか。

 

  • 諸外国と比べた日本の看取り

諸外国と比べてみると、日本は病院で看取るケースが圧倒的に多いです。これは在宅で看取ることができないのではなく、「在宅で看取ることができる」ことを知らない人が多いからでしょう。

1950年代から1980年代までは自宅で看取るケースが多く、病院で最期を迎える方が珍しかったくらいです。しかし、医療設備の向上により病院での外来医療や入院医療の方へニーズが高まり、1980年代以降は病院で最期を迎える人の割合が多くなりました。また、2000年代になると病院で最期を迎える人は約70%近くいます。

諸外国の看取り場所をみてみると、スウェーデンでは病院での看取りが42%、在宅での看取りが20%程度です。オランダでは病院での看取りが約30%で在宅での看取りも30%となっています。

 

  • 在宅看取りに対する国民の意見

厚生労働省が終末期医療に関する調査を行った結果、一般国民の約1割が「自宅で最期まで療養したい」と回答しました。自宅で療養して、必要になれば医療機関を受診したいという選択肢も含めると約6割の国民が「自宅で療養したい」と回答したことになります。

しかし、その一方で「自宅で最期まで療養するのが困難」と考えている国民が60%近くいるのも事実です。自宅で最期まで療養するのが困難な理由として、「介護してくれる家族がいない」「急変したときにすぐ入院できるか心配」という問題があります。

 

  • ターミナルケアで看取る

在宅で看取るときに欠かせないのがターミナルケアです。これは、人生や病期の終末期がきたときに「残された時間を大切にする」ために行われます。病気により痛みや薬の副作用により苦痛を受けている場合は、苦痛なことから緩和することを目的にしています。延命治療というよりかは、患者さんが楽に最期を迎えるための手助けをするのがターミナルケアなのです。ターミナルケアは患者さんやそのご家族が希望した瞬間に始めることができます。

■臨終までに起きる身体の変化

人間の身体は日々「死」に向かい進んでいます。病気の種類や患者さんの状況で細かな状態は異なりますが、看取りの見通しを把握するためにもどのような変化が起きるのか理解しておくと良いでしょう。

  • 経口摂食量が減少する

患者さんに食欲があっても、口から食べ物や飲み物を摂取することが難しくなります。患者さん本人はもちろんですが、介助している家族の方も辛いと感じることが多いです。ここで点滴などで栄養補給をしてしまうと、患者さんの痰が増えてしまい患者さんの負担を大きくすることがあります。患者さんの希望だけでなく、医師や看護師など専門家と相談しながら今後の方針は決定しましょう。

  • 息苦しさやだるさ

末期ガンが進行すると背中や腰などに痛みが発生します。それに伴い、身体のだるさや息苦しさを感じるため患者さんが辛い場合は家族がさする・マッサージをするなどしてサポートしてあげましょう。ガンによる痛みには薬による緩和もできるため医師に相談して痛みを緩和してもらうのも方法の一つです。看取りが近くなると、呼吸が荒くなり不規則な呼吸をすることがあります。

 

  • 会話が不鮮明になる

患者さんと話をしているときに会話の内容が合わない・ちぐはぐした受け答えをするなどがみられると病状が進行していることがあります。また、聞いている内容とは異なる回答をするときも同様です。会話の内容が不鮮明になるのは、病気の信仰だけでなく認知症でもみられます。看取りが近くなると、1日のうち眠っている時間が多くなってしまい話しかけても起きないことが増えます。

 

  • 生活の制限

病気が進行し、身体が虚弱になることで日常生活を送れなくなります。在宅で療養していると、失禁してしまうことがあり、失禁を機に在宅で療養したくないと言い出すかもしれません。もし、患者さんが在宅医療や在宅看護から病院・施設へ移動したいと急に言いだしても対処できるように移動できる療養場所について検討しておくことも大切です。

■在宅看取りと他施設看取りの違い

看取りは在宅だけでなく、病院や介護施設でも行えます。そこでここでは在宅看取りと比較して病院で看取ることと介護施設で看取ることの違いについて解説していきます。

 

  • 施設での看取り

施設で看取る場合は、介護のプロが常時診てくれているため家族が介護をしないで良いというメリットがあります。また、介護をプロに任せることで、患者さんの精神的な支えになれることが多いです。どうしても家族に排泄処理や食事の補助をしてもらうことに抵抗があるという方でも、ストレスを感じることなく過ごせるのではないでしょうか。

ただし、入居している施設の面会時間の中でしか家族と過ごせない・住み慣れた環境とは異なりリラックスできない場合があるなどデメリットもあります。さらに、入居している間は経済的な負担がかかり続けることも考慮しなければいけません。自宅と施設が離れている場合は看取る瞬間に立ち会えないこともあるため注意が必要です。

 

  • 病院での看取り

病院で看取るのは一般的ですが、保険診療上の注意点もあります。実は厚生労働省が看取りを目的にして入院するのを許可しているのはガン患者とエイズ患者のみです。これ以外の疾患や老衰で診療行為をせずにターミナルケアとして最期を病院で迎えるのはできないことになっています。つまり、現在病院で最期を迎えている方の多くはしなくても良い治療を受けて入院し続け最期を迎えているのです。もちろん入院期間中は治療費や入院費がかかります。また、各病院によって面会時間が限られているため家族に寄り添う時間が限られてしまうのもデメリットです。

しかし、医師や看護師が常に近くにいるため容態が急変しても対応してくれます。介護施設同様、介護もしてくれるため家族の方にかかる負担が少ないのも特徴です。

■在宅看取りをするまでに家族ができること

在宅で看取るまでに家族ができることは限られています。しかし、そのできることをするだけで、看取られる方だけでなく看取る方も満足感を得られるかもしれません。大きく分けて2つの看取りまでに家族ができることを紹介しようと思います。もちろんこれ以外にも看取りまでにできることはたくさんあります。

  • 思い出作り

最期を迎える前のまだ身体が動くときに家族旅行や、「したかったこと」を叶えさせてあげましょう。仕事が忙しくて今まで家族の思い出がなかったという家庭でも最期を迎えたときに「あの時出かけられてよかったね」と言い合えるような思い出を作っておくと笑顔で送り出せるのではないでしょうか。

  • 寄り添い続ける

患者さんがターミナルケアや終活を続ける中で、家族の方に寄り添ってもらうのは心強いです。最期を迎える瞬間まで寄り添い続けて、昔話や世間話で楽しい時間を過ごすのもできることの一つです。

 

■まとめ

在宅で最期を迎えたいというニーズは昔からありますが、医療機関の整備や緊急事態への対応を懸念して病院で最期を迎える人が多いです。しかし、現在は医療技術の発展や在宅医療に対応する医療機関が多くなったことで在宅看取りも可能となっています。

大切なご家族との残された時間を有意義に過ごすには、病院でも介護施設でもなく在宅でゆっくりと時間を共にするのが一番ではないでしょうか。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。

アグリケアからのメッセージ