自宅で最期を迎えたいと思う方は約5割でも、1割の人しか希望を叶えられていない現状
日本国の高齢化社会問題は年々深刻さを増していて、2020年現在では超高齢化社会へ突入したと言っても過言ではありません。超高齢化社会へ入ったことで問題となっているのが「最期の迎え方」です。
一昔前の時代とは違い、医療は患者中心へとなり治療するために病名の告知は必須となりました。患者が希望する治療方針で医療が進められることも多くなり医療に対して多くのニーズが出てきています。もちろん人生の最期をどこで迎えるのか・どのようにして迎えるのかなども選べる時代になりました。
そこで今回は自宅で最期を迎えたい方がどれくらい増えているのか・そして実際に最期を迎えたい方のニーズがどれくらい叶えられているのかを紹介していこうと思います。
- 日本の人口推移から見る超高齢化の流れ
総務省の作成した人口減少白書をみると日本では2005年に1億2700万人をピークにしてから、年々人口が減少するとされています。これは0歳〜14歳までの年少人口が65歳以上の老年人口よりも少ないから人口が年々減少することになります。
1950年には年少人口が約3000万人いましたが、2020年現在では約1500万人と半数になっています。その代わり、老年人口は1950年に約400万人だったのに、2020年には約3600万人と9倍近くまで膨れ上がっています。
今や日本は高齢化率が30%近くまで上がっており、超高齢化と言っても過言ではない状態になっているのです。
▲問題は高齢者を取り巻く環境
超高齢化になることは政府も準備を進めていましたが、2020年現在高齢者を取り巻く環境は完璧とはいえません。病院や介護施設の数だけでなく・従事する人の数も足りていないのが現状です。
長期的な療養が必要な方でも、病院を追い出されて自宅療養をせざるを得ないこともあり、どこで療養するのかも問題になっています。そして、介護が必要な場合でも高額な有料老人ホームか自宅へ介護スタッフが来てもらう、訪問介護をするか選択が迫られているのです。
▲地域差がある
在宅医療で療養したい方や在宅介護を希望する方は全国に一定数いますが、そのサービスを提供する施設数には地域差があります。日本医師会総合政策研究機構の調査資料をみると地域により在宅医療への取り組みに差があることがわかります。北関東エリアでは在宅医療を提供している医療施設数は全医療施設中36%ですが、北陸エリアや北海道では約25%と10%近くの差があります。日本国内でも超高齢化に対応できているエリアとできていないエリアがあるのが現状だということがわかりますね。
- 自宅で最期を迎えたい人の割合
では、実際に自宅で最期を迎えたいと考えている人の割合はどれくらいなのでしょうか。その前に自宅で療養を受けている方の大まかな数についてみていこうと思います。
厚生労働省の作成した平成28年度の全国在宅医療会議の資料をみると、2008年には月間27万件だった訪問診療のレセプト数が2014年には64万件にまで増えています。ただし、訪問診療のレセプト数はここ数年で3倍以上増えていますが、往診に関しては横ばい傾向が続いています。訪問診療と往診の違いについては後述します。
同資料の中には、「最期をどこで迎えたいか」という高齢者にアンケートした結果も掲載されています。その結果をみると、約55%の方が自宅で最期を迎えたいと考えています。他の意見としては「子供や親族の家」、「高齢者向けのケア付き住宅」、「特養老人ホームなどの福祉施設」などの意見がありましたが、自宅の次点には「病院」で最期を迎える方が多かったです。
▲訪問医療と往診の違い
自宅で最期を迎える過程で大切なのは、自宅で正しい療養を受けることができるかです。実際に在宅医療を受けている方は増加傾向ですが、訪問診療と往診の違いを理解している方は少ないので、ここで訪問診療と往診の違いについて紹介していきます。
訪問診療とは、計画的に患者の自宅へ訪問するスケジュールが決められているものです。毎週○曜日の○時に訪問するという取り決めがされているものが「訪問診療」と呼ばれます。一方、往診とは時間が決められておらず突発的な依頼で発生するものです。患者の体調が急変しているが救急車を呼ぶほどではないというような状況で利用されることが多くなります。
▲実際に自宅で最期を迎えている人の割合
2017年度人口動態調査をみると「最期をどこで迎えているのか」を年別に見ることができます。1951年には病院で最期を迎える方は総死亡数の約10%程度でした。それが、2017年には約73%へと上昇しています。一方で、自宅で最期を迎えている人の割合は1951年に約83%だったものが、2017年には約13%へ下降しています。この数字の推移を見る限り、死亡数の約1割の方が自宅で最期を迎えられているということになります。
▲なぜ約60年で病院と自宅で最期を迎える人の割合が逆転したのか
1951年から2017年の約60年間でなぜ病院と自宅で最期を迎える人の割合が逆転したのか社会の変化を踏まえてみていきましょう。1951年に自宅で最期を迎える方が多かった理由としては、在宅医療が中心だったからでしょう。1955年に国民皆保険制度が導入されるまで、農業や自営業をしていた方を中心に、国民の約3割に当たる約3000万人が無保険だったということが問題になっています。無保険であれば医療を受けると高額になってしまい、病院へ行けず、訪問診療というよりは往診の形を取っていたと容易に想像できますね。その後、1955年に国民皆保険制度が整備され全国民が医療を受けられるようになりました。
それと同じくして病院の医療制度も向上していきます。病院には最先端の医療設備が導入されるようになった他、入院施設の充実や救急医療の整備により各地域で大きな病院が建設されるようになってきました。さらに、看護師や理学療法士などコメディカル職の数も増えたことで病院での医療を受けることが一般的になってきました。
- 自宅で最期を迎えるための障壁
自宅で最期を迎えたい方の割合は増加傾向です。先ほど紹介した2016年度人口動態調査をみると、2014年に病院で亡くなった方は75.2%ですが、年々減少し2016年には73%となっています。その一方、自宅で亡くなった方は2014年に12.8%でしたが2017年には13.2%と微増しています。自宅で最期を迎えたい方は一定数いるのにも関わらず、なぜ希望通り最期を迎えられないのでしょうか。それには個人が抱える障壁がありました。
▲医療や介護を受けるサービス
病院医療から退院して自宅をメインにした療養をするには医療や介護を提供しているサービスを受けなければいけません。冒頭部分でも紹介したように地域によって訪問医療を実施している施設の割合は異なるため、このような不安な気持ちになってしまうのだと思います。
▲家族の協力
自宅で療養を受ける・最期を迎えるためには家族の協力が必須です。訪問診療や訪問介護を受けない時間はどうしても家族の方のサポートが必要で、自宅で最期を迎えたいという気持ちを家族にも理解してもらう必要があります。
▲自宅が療養に向いていない
自宅がバリアフリーに対応していない・手すりがない・車椅子が入る幅がないなど、物理的に自宅が療養に向いていないという方もいます。このような場合、施設や病院で最期を迎えることが多くなりますが子供や親族の協力があればそちらの家で最期を迎えられるようなお手伝いができます。
▲医療従事者の確保・緊急事態の対応
病院医療では医師や看護師が近くにいる状態ですが、自宅で療養する場合はそうはいきません。しかし、多くの医療機関では患者の急変に対応できるよう整備をしていますし、緊急事態は救急車へ連絡するという方法もあります。
- 自由な場所で最期を迎えられるような社会へ
自宅で最期を迎えたいと希望する方の割合は増えていますが、実際はまだ環境が整っているとはいえません。しかし、数年前から比べれば着実に「最期の場所」を選べるような社会へとなってきています。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。